グソクムズ中島雄士との化学反応
──4曲目は「Refrain」。松下さんによるシンセのプログラミングが凝っていて、カッコいいですね。ボカロ的なボーカル処理を施しているところもあって、未来的な音の印象です。
ボーカルの処理の仕方は自分でもこだわった部分で、松下さんと一緒にスタジオに入って時間をかけながら作っていったんです。ビブラートをかけたり、エフェクトをかけてみたり。それによってこんなに聞こえ方が変わるんだという発見があって面白かったです。そういう意味で、今作の中で一番挑戦しているのがこの曲かもしれないですね。歌詞も「このサウンドに合うのはどういうものだろうか?」と考えて少し抽象的にしていて。「Day 6」や「Monday to Friday」とは全然違うスタイルになりました。
──ライブだとどんなふうになるのか、特に楽しみな1曲です。
ね。全然変わるかもしれないな。
──5曲目の「余韻」は、8月の「XinU presents Collective」で初披露された曲ですね。
そうです。あのときはまだタイトルが付いていなかったんですけど。
──作曲はグソクムズの中島雄士さんです。どうして彼にオファーしたのでしょう?
グソクムズのマネージャーの方と松下さんが長いお付き合いがあって、私もそんな流れでグソクムズのライブを観に行くことがあったんですね。そんな中で、作家の方ではなくバンドをやられている方と曲を作ってみたらどうなるんだろう?という興味が湧いてきたんです。私とグソクムズは音楽性は全然違うけど、中島さんの書く曲が持っている懐かしい雰囲気がXinUの音楽に混ざったら面白いんじゃないかと。結果的にこれまでのXinUになかった新しいサウンドになったと思います。
──漂うムードが気持ちいいバラードで、歌詞はこれまでも1作に1曲くらい入っていたセンシュアルな雰囲気を持つものになっています。
そうですね。過去の恋愛を引きずっているような。引きずり続けている何かが今もあって、それを恋の余韻として捉えて書いているわけですけど。実はこれ、「触れる唇」のアンサーソングみたいなところもあるんですよ。「触れる唇」で夏に始まった1つの恋が、秋には終わってしまうという、その余韻を書いてみようと。聴く人にはそこまで伝わらないと思いますけど(笑)。
──歌ううえで意識したことは?
まず、ベストなキーを探すことを大事にしました。高い声で歌うのではなく、リラックスして歌えるキーであることが肝心だなって。やっぱりリラックスして歌えたもののほうが、あとで自分で聴いても浸れるんですよ。そのことを再確認しました。
──この曲もシンセのサウンドが効いてます。
今まではギターを中心に作っている曲が多かったんですけど、このEPではシンセで遊ぶということをたくさんやっていますね。
XinUの1.5章を飾る「XinU EP #04」
──6曲目は松下さんのビートプログラミングに、武藤さんのキーボードなどが入っただけの「バースデーナイト」。この宅録感がたまらないですね。あえてミニマルにして、チープな感じを出そうと?
最後の最後にギリギリでできた曲だったので、開き直ってあえてチープ感を目指すことにしたんです。そこまでの5曲を一生懸命作ったから、最後の1曲くらいは気楽に楽しもうってことで。歌入れも変に考えたりしないで、楽しく歌えればいいやって気持ちで臨みました。
──歌詞はこのサウンドができてから書いたんですか?
そうです。「最後だから楽しもう! パーティだ!」という感じになって(笑)。そこから「今日はパーティーナイト」というサビが生まれた。18歳の頃に観たアメリカのハイスクールミュージカルのイメージですね。高校生たちの恋愛模様を描いたドラマで、最後にプロムでダンスパーティをする、みたいな。その映像が頭に浮かんで、ストーリーも10代の子たちの恋愛みたいに甘酸っぱいものにしてみました。
──EPの6曲を改めて振り返ってみてどうですか?
やっぱり今まで積み上げてきたものがあったからこそ挑戦できた曲もあるし、だからこそ「バースデーナイト」のように、ただ「楽しもう!」って曲もやれたんだと思います。次のフルアルバムがXinUの第2章になるとしたら、このEPは1.5章じゃないですけど、ここからの広がりを自分でも期待できるものになりました。聴く人には、気楽に聴いてもらえたらいいですね。「Monday to Friday」をリリースしたときに、「生活の中で気持ちよく聴いてます」っていう声がけっこうあったんですけど、このEPもそういうものになったらいいなと思います。
──11月には東京4カ所、大阪1カ所のインストアライブがあり、そして2026年1月には恵比寿のLIQUIDROOMで、2月には大阪のMusic Club JANUSでリリースライブがあります。どんなものになりそうですか?
インストアライブはこれまで庄司さんと2人でやることが多かったんですけど、今回は私1人の弾き語りの日もありますし、近さを大事にして親密な空間、親密な時間を作れるようにしたいと思っています。それから来年のリリースライブですけど、これには「NEXT COLLECTIVE」というタイトルを付けました。LIQUIDROOMでライブをやるというのがデビューから3年間の1つの目標だったんですけど、それが去年の12月に叶って、バンドや映像チームを含めての1つの集大成を見せることができた。そして今度はまた同じLIQUIDROOMという場所からさらなる進化を見せていきたい。そういう思いをそのタイトルに込めました。それとJANUSのライブは、私にとって初めての大阪でのワンマンになる。そういう意味でも挑戦で。いつものメンバーたちと必ずいいライブにするので、ぜひ観にきてほしいですね。
公演情報
XinU「XinU EP #04」発売記念インストアイベント
- 2025年11月11日(火)東京都 HMV&BOOKS SHIBUYA 6F
- 2025年11月12日(水)東京都 タワーレコード 渋谷店
- 2025年11月13日(木)東京都 タワーレコード 新宿店
- 2025年11月15日(土)東京都 タワーレコード 池袋店
- 2025年11月23日(日・祝)大阪府 タワーレコード 梅田NU茶屋町店
XinU EP #04 Release Live - NEXT COLLECTIVE
- 2026年1月13日(火)東京都 LIQUIDROOM
- 2026年2月13日(金)大阪府 Music Club JANUS
プロフィール
XinU(シンユウ)
「あなた“U”にクロス“X”する」をキーワードに、東京で鳴っているサウンドと自然体でありながらも芯を突いた日本語詞で今を切り取るミュージックコレクティブ。R&Bやジャズ、ヒップホップ、フォークロアなど多様な音楽を飲み込んだサウンドと、透明感がありながらもスモーキーな歌声で注目されている。2025年7月にシングル「Monday to Friday」をキングレコード内のレーベル・HEROIC LINEから発表。11月に最新EP「XinU EP #04」をリリースした。




