WOWOWプラス「生中継!フレデリック『FREDERHYTHM ARENA 2022 ~ミュージックジャンキー~』」放送記念|フレデリックインタビュー

フレデリックが6月29日に東京・国立代々木競技場第一体育館でワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2022~ミュージックジャンキー~」を開催し、この模様がWOWOWプラスで生中継される。

「FREDERHYTHM ARENA 2022」はフレデリック史上最大規模のワンマンライブ。バンドは3月にリリースしたアルバム「フレデリズム3」を携えて本ライブに臨む。音楽ナタリーではライブの開催およびWOWOWプラスでの放送を前にフレデリックにインタビュー。史上最大規模のワンマンへの意気込みや、ライブの模様を映像で届けることへの思いを語ってもらった。

取材・文 / 天野史彬撮影 / YURIE PEPE

今のフレデリックが一番カッコいい

──6月29日に初の東京・国立代々木競技場第一体育館でのワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2022~ミュージックジャンキー~」が開催され、この模様がWOWOWプラスで生中継されます。同公演はフレデリック史上最大規模のワンマンということで、3月にリリースされた3rdフルアルバム「フレデリズム3」期のフレデリックを総括するライブとしても、バンドの歴史のうえでも、とても重要なライブになるのではないかと思います。このワンマンに対して、現状、どのような気持ちでいますか?

三原健司(Vo, G) 「フレデリズム3」は僕らとしても最高傑作ができたと思っていて。このアルバムをどんな表現でライブに昇華しようかと話し合っていたときに、ライブハウスでワンマンライブをするだけでは、この世界観は収まり切らないなという話になったんです。じゃあもうアリーナでやっちゃおうということで決めたのが今回の代々木での公演で。僕は今の時点で、お客さん1人ひとりの顔まで想像するくらい楽しみです。

三原康司(B, Vo) 僕も楽しみですね。フレデリックはこれまでも大事なタイミングでアリーナをやってきましたけど、大きい音で音楽を鳴らすことってやっぱり夢があるんですよね。中学生くらいの頃に初めてフェスに行ったときからずっとそういうことを感じてきたし、大きな会場で常にやり続けられるバンドであることを目標にすると、作っていく音楽にも熱が入っていいものになると思うんです。

三原康司(B, Vo)

三原康司(B, Vo)

高橋武(Dr) 最近、過去のアリーナ公演の映像を観返す機会があったんですけど、そのときに僕が思ったのは、「フレデリックはその時期その時期にしかできないライブをやってきたんだな」ということで。それは裏を返せば、今の自分たちにはできないライブを過去の自分たちはやってきたということでもあるんですけど、そのうえで僕自身としては、今このメンバーで出す音、今作っている曲、今の健司くんの歌い方……“今”のフレデリックが一番カッコいいと思えているんです。過去のライブ映像を観たときにそう思えたのが、自分としてはすごくうれしいことだったんですよね。僕らは、自分で自分たちのことを「好き」と思える音楽をできているんだなって。この状態で代々木を迎えたら、また今回も、今まで見たことのない景色が生まれるんじゃないかと思っています。この先の未来で振り返ったときに、「この日にしかできないライブをやっていたな」と思えるようなライブになると思うし。

赤頭隆児(G) そうだね。会場では声を出したらダメだとは思うんですけど、それでも楽しめるような方法を今たくさん考えているので、6月29日はいろんな楽しみ方ができる日になると思います。

中継時の大事なテクニックとは?

──生中継という点に関してはいかがでしょうか。コロナ禍以降、カメラの向こうにファンがいるライブが増えたと思うんですけど、ライブ中に意識されていることはありますか?

赤頭 中継されるライブに関して、わかってきた仕組みがあって。ライブ中継って、カメラが複数台あるけど、その中で、どのカメラの映像が放送されているのかは僕らにはわからないんですよね。

──そうですね。

赤頭 なので、一瞬ふざけても抜かれないことがあるって気付いたんです。その解決策として、ふざけるなら、長めにふざけたほうがいい。

一同 (笑)。

赤頭 ちょっと恥ずかしいけど(笑)。

高橋 大事なテクニックだよ(笑)。ライブの会場にいる人だけじゃない、もっと多くの人に届けたいという意志は、僕個人としても、バンドとしても持っていると思うんですけど、コロナ禍で配信ライブが多くなったことで、カメラの奥にいる人たちを「不特定多数の人」とは捉えなくなったような感覚があって。もっと具体的なイメージができるようになった気がします。それによって、配信ライブとの向き合い方もより真摯になった気がしますね。

高橋武(Dr)

高橋武(Dr)

康司 やっぱり、2020年以降はその都度その都度、正解が変わっていくような状況の中でライブをやってきたから。その中でもフレデリックは、ちゃんと4人で「俺たちはこういう答えを持ってライブをする」ということに意識を向けて活動できたなと思うんです。その経験がバンドの糧になっていると思うし、それは最近のライブにも出ている部分だと思いますね。

──「フレデリズム3」は、音源が精緻に作り込まれているからこそ、それがどうバンドのフィジカルを伴って代々木で響くのかも楽しみです。

健司 フレデリックは、作品を作ってそれを世に出したらゴール、というバンドではないですからね。どうライブで見せるのかもすごく大事にしてきたし、ライブで聴く楽しさと音源で聴く楽しさの両方をわかってもらいたいと思ってやってきた。今まさに「フレデリズム3」の曲をツーマンやフェスでやりながらアレンジを考えているんですけど、場所によって鳴らし方も変わるんです。例えばキャパ800人くらいのライブハウスだったら、出した音がそのまますぐにお客さんに届くから、速いBPMの曲でもガンガンにノれるんだけど、アリーナや野外フェスのような大会場になると、何十メートル、何百メートルとステージとお客さんの距離が離れるから、音を鳴らした瞬間と、その音が実際にお客さんに届くまでの間に時差が生まれる。そういう場所で速いBPMの曲をそのままやってしまうと、前のほうにいるお客さんは盛り上がるけど、後ろのほうの人は追いつけない、みたいなことも起こってしまう。

──なるほど。

健司 なので、例えばフェスで「ジャンキー」をやるときは、ちょっとBPMを下げてやっていて。そういう部分で、代々木でどういうアレンジになるのかも楽しみにしていてもらいたいです。