WOWOWプラス「生中継!フレデリック『FREDERHYTHM ARENA 2022 ~ミュージックジャンキー~』」放送記念|フレデリックインタビュー (2/2)

広い場所で「フレデリズム3」の曲を鳴らしたい

──国立代々木競技場第一体育館という会場に対しては、皆さんそれぞれどんなイメージを持っていますか?

高橋 実際に会場を見に行ったときにすごくいいなと思ったのは、入口に入るとすぐに音が聞こえてくるんですよ。入口からステージが地続きになっている会場の作りが、僕らが今ライブハウスを回りながら、アリーナに対して抱いている希望にもつながっている気がして。きっと当日、お客さんにも、僕らが抱いているアリーナへの思いを同じように感じてもらえるんじゃないかと思いますね。

赤頭 個人的には、武道館や横浜アリーナと同じように「歴史のある有名な場所」というイメージが国立代々木競技場にはあるし、憧れもありました。そこでフレデリックとしてライブができるのは嬉しいです。

赤頭隆児(G)

赤頭隆児(G)

健司 今までいろんな場所でアリーナ公演をしてきましたけど、国立代々木競技場に立つのはイベントも含めて初めてなんです。なんなら、僕個人としては代々木に行ったこともほとんどないくらい。そもそもアリーナ公演をやろうとなったとき、「2021年にやった日本武道館でもう1回やる」というアイデアもあったんですけど、それでも代々木がいいなと思ったのは、僕の直感なんですけど、奥行きのある広い会場がいいなと思ったからなんです。武道館は1階席、2階席、3階席って、どんどん上に上がっていくじゃないですか。なので、自分たちとお客さんの距離はめちゃくちゃ近いんですよ。だけど、僕が今やりたいアリーナは、ちゃんとお客さんと距離がある広い場所で。そういう場所で「フレデリズム3」の曲を鳴らしたいという気持ちがあって。

康司 武道館でやったのは「ASOVIVA」という作品を出したタイミングだったんですけど、僕らにとって武道館という場所に意味ができたのって、健司が「日本武道館を遊び場にしたい」と言った、その言葉があったからだと思うんです。そこから僕らにとっての武道館はすごく特別な場所になった。それと同じで、国立代々木競技場第一体育館という場所も「『フレデリズム3』をここで鳴らしたい」とバンドで決めたからこそ、代々木は今、フレデリックにとって大事な場所になったんだと思っていて。まさにこの取材を受けている今は、代々木を特別な場所にするための準備をしている段階だと思います。代々木を自分たちの音楽があふれる場所にしたいですね。

──「特別な会場でやる」というだけでなく、「自分たちがその場所を特別なものにする」という意志は、すごく大切なものですよね。だからこそ、バンドの歴史を振り返ったときにも、そのライブが重要なものになっている。

健司 フレデリックのアリーナ公演は2018年の神戸ワールド記念ホール、2020年の横浜アリーナ、2021年の日本武道館と続いてきましたけど、この3公演に関しては、フレデリックのバンドとしての思いがすごく強かったと思います。まず、最初の神戸ワールド記念ホールは、そもそもフレデリックは神戸を拠点に活動してきたバンドなので、ずっと目標としてきた場所だったというのが大きくて。2014年から2016年くらい、僕らと同時期にデビューしたバンドたちが目指すのは日本武道館で、そこを自分たちも目指したいと思いつつ、最初のアリーナ公演は、やっぱり地元でやりたかった。その次に横浜アリーナを選んだのは、僕ら3人(三原健司、三原康司、赤頭隆児)は神戸が故郷だけど、タケちゃん(高橋武)は横浜出身というのがあって。僕らの地元神戸でやった次には、やっぱりタケちゃんの地元のアリーナでやりたいという思いから、横浜アリーナを選んだんです。その後、ついにバンドとして「今ここでやるべきだ」という思いで、武道館でできた。しかも今、康司が言ってくれたように、「日本武道館を遊び場に」という思いのもとで、フレデリックとして日本武道館という場所を楽しむことに向き合えた手応えも感じていて。そのうえで、今度の代々木に関しては、「今ここで鳴らしたい曲がここにあるんだ」と思っています。「コロナ禍だからこそ、フレデリックの音楽は広い場所で鳴らすべきだ」という僕の個人的な考えもありましたし。

三原健司(Vo, G)

三原健司(Vo, G)

長くフレデリックの音楽を愛してもらうために

──「YONA YONA DANCE」の大ヒットにも顕著ですが、コロナ禍以降も、フレデリックは着実にバンドの認知を広げていったし、音楽の多様な魅力を幅広い層に伝えてきたと思うんです。それはすごく難しいことだと思うのですが、なぜ、自分たちにはこれが成せたのだと思いますか?

健司 「なぜ、成せたのか」の理由はまだ見つかってはいないんですけど、自分たちが大事にしてきたものが少しずつ伝わっている喜びは感じていますね。デビューしたタイミングで一番大事にしていたのは、「長くフレデリックの音楽を愛してもらいたい」ということだったんですけど、それが伝わっているのかなって。僕らは、自分たちの新しいスタンダードを生み出した「オドループ」の存在がありつつ、アルバムを聴いてもらえば、もっといろんな音楽性を楽しんでもらえる作品を作ってきたと思うんです。認めてもらえた個性を保ちつつも、新しい自分たちの個性を提示することで、音楽の素晴らしさを伝えることをあきらめなかったし、僕らの音楽に触れることで、聴いてくれる人の音楽の楽しみ方が増えていくことを大事にしてきた。これは、すぐに成し遂げられたことではないんです。ただ、ゆるやかに、ゆるやかに、1人ひとりに広がっていった。それによって、今の状況があるんじゃないかと思うんです。

──聴き手と本当に深いつながり方をしてきているバンドですよね、フレデリックは。

康司 音楽って、“人”があってこそですからね。自分たちは演奏をして、音楽を届けることで「生きてるな」と感じることができるけど、同じように、聴いてくれる人たちも僕らの音楽を聴いて「生きてるな」と思える、そんな関係を、アリーナもそうだし、フェスやライブハウスでも、自分たちは作れてきたんだなって思うんです。それはこのコロナ禍で特に感じたことで。何かつらいことがあったときに、いつでもフレデリックは音楽を鳴らし続けている存在でありたいし、逆に僕ら自身、リスナーにたくさん支えられているし。そこにある「つながりたい」という思いは「フレデリズム3」にも込められたので、それを国立代々木競技場第一体育館という大きな場所で表現したいと思います。

フレデリック

フレデリック

プロフィール

フレデリック

2009年6月結成。双子の兄弟の三原健司(Vo, G)、三原康司(B, Vo)と、赤頭隆児(G)、高橋武(Dr)の4人からなる。幅広い音楽要素から生み出されるユニークなサウンドと、ライブならではのアレンジや多彩な演出でライブバンドとしても定評がある。2012年にMASH A&Rが主催するオーディション「MASH FIGHT!」にて特別賞を受賞。2014年9月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「oddloop」を発表した。その後もコンスタントにリリースを重ね、2018年4月に初のアリーナ単独公演を兵庫・ワールド記念ホールで行い、2020年2月には神奈川・横浜アリーナ公演、2021年2月にはバンド初の日本武道館公演を成功させた。2022年3月に3rdアルバム「フレデリズム3」をリリース。6月29日に東京・国立代々木競技場第一体育館でバンド史上最大規模のワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2022」を開催する。