ナタリー PowerPush - WORLD ORDER

ポップなタイアップ曲引っさげ成長期から成熟期に突入

来年あたりには2度目の臨界点がやってくる

──お話を聞いていて、ビジネス的にも、表現的にも新しいフェイズに入ったことはよくわかりました。では来たるべき成熟期に向けて、WORLD ORDERはどういうことを仕掛けていきましょう?

須藤 ポニーキャニオンと組むようになってから、いろいろな音楽番組に出させていただいたり、こうやっていろんな媒体に取材をしていただいたりする機会が増えました。とはいえ、僕らのやっていることが大きく変化したかと言われればそうではないんですよ。だから僕たちはこれまでどおり、いい作品を作ってさえいれば今後もやっていけるはずですよね。確かに導入期が終わったといえ、WORLD ORDERを知らない方はまだまだたくさんいらっしゃる。でもこのまま順調に仕事を続けていれば、来年あたりにはそういう方々に認知してもらうための2度目の臨界点がやってくるとは思っていますし、実際そのための準備は進めています。

──ものすごく事も無げにおっしゃってますけど、クリエイターにとって「いい作品を作る」ことって一番頭を悩ませる部分なんじゃないんですか?

須藤 もちろん一朝一夕にできあがるものではないんですけど、その一方でメンバー全員WORLD ORDERとしてメシを食っていけるようになって、精神的余裕も出てきているので。「衣食足りて礼節を知る」じゃないですけど、余裕があれば新しい芸術が生まれるはずなので。ポニーキャニオンと仕事を始めるまでは本当に大変だったもんね。みんなバイトしてるから、深夜に集まって練習したり。ビデオも死にものぐるいで作ってたし。

インタビュー写真

野口 というか、死にかけましたからね(笑)。

須藤 撮影中メンバーが倒れたり、本当に過酷な状況でやってきたんですよ。だからこそ中身の詰まったものになっている自信はあるんですけど、そういうヘビーな環境で作ったからか、これまでの作品ってやっぱり土臭いんですよ。

──そうなんですか? YouTubeに動画をアップし始めた当時から、ものすごくコンセプチュアルでスマートなグループだと思っていました。

須藤 もちろんそういうふうには見せているんですけど、僕の中では土臭いし隙がある。本当の初期は完全にゲリラ撮影だったし、その撮影スタッフは知り合いの学生ボランティアだったし、彼らに持たせていたカメラはお手軽なものだったし、制作費は20万円とかだったし(笑)。でも今ならちゃんとクリエイティブチームを組んで、プロ仕様の機材で撮影できる。ロケ先の使用許可だってちゃんと取っている。ゲリラだからこそ周りにいる人たちの素のリアクションを収められたり、面白いことはたくさんあったんだけど、今ならそういうWORLD ORDERならではの土臭い味わいと洗練された要素がバランスよく混在した、クオリティの高い作品を作れるんですよね。実際今回の「PERMANENT REVOLUTION」のビデオはその成果のひとつといえる作品になっているし、次の作品についても「WORLD ORDERの集大成的な絵になればいいな」と思いながら、今作業を進めていますし。

主軸さえブレなければもっと違う表現もできるはず

──パフォーマンスの面で新しいことを考えたりは?

野口 「これまでとは本当に全然違う表現をやってみたい」っていう気持ちはありますね。実は無表情っていうコンセプトさえ変えなければ、どんな動きをしても結構ロボットっぽく見えるんですよ。魂や気持ちが前面に出てこない、内に秘められた状態でさえあれば。実際、僕らのダンスも厳密にはロボットダンスじゃない。無表情だから「ロボット」と言っているだけで。だから、それこそ主軸さえブレなければ、もっと違う表現もできるはずなんですよね。

森澤 さっき元気さんが言っていた「いいものを作っていれば間違いない」っていうことは僕も思っていて。WORLD ORDERはルックスじゃなくて、ダンスが評価されているっていうことは自分たち自身が一番わかっていることなので。そういう新しい表現に挑戦することも含めて、ダンスをもっと突き詰めていきたいっていう気持ちは確かにありますね。

須藤 一番ルックスがいいヤツが「ルックスじゃなくて踊りが」って言うと、イヤミに聞こえるよな(笑)。

落合 ええ(笑)。

──あははは(笑)。

落合 ただ、僕も祐介と同じように「いいものを作って、いいパフォーマンスをしたい」とは思っていて。「仕事」って言っちゃうとちょっと冷たい感じになっちゃうかもしれないんですけど、それでもやっぱりこのメンバーと一緒にいい仕事をしていきたいですね。

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上西隆史 で、そのいいパフォーマンスをいろんな人に観てもらいたいですよね。元気さんが以前から話しているように、WORLD ORDERのマーケットって日本だけじゃないということは最近本当にすごく感じていて。成長期にあるだけに、自分たちの伝えたいことやパフォーマンスがどこまで広がっていくのか、どこまで広げられるのかっていうことには挑戦したいんですよ。

内山 単純にビデオ撮影やライブのためにいろんな国に行って、いろんなものを観たり、いろんな人とコミュニケーションをとること自体楽しいはずだし、刺激にもなるはずですから。

──高橋さんは何か今後の目標ってありますか?

高橋 足の状態が状態なんで、とりあえずはみんなと一緒に活動できるだけでOKかな、と(笑)。

須藤 協調性のかたまりみたいな男なんですよ(笑)。1回もワガママを言ったことがないし、「はい」以外の返事を聞いたことがない。

高橋 はい(笑)。

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1stシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」[CD+DVD] / 2012年11月28日発売 / 1500円 / PONY CANYON PCCA-03756
1stシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」
CD収録曲
  1. FIND THE LIGHT(「洋服の青山」CMタイアップ曲)
  2. PERMANENT REVOLUTION(「アシアナ航空」タイアップ曲)
  3. FIND THE LIGHT - Remix -
  4. PERMANENT REVOLUTION - Remix -
DVD収録内容
  1. PERMANENT REVOLUTION
  2. PERMANENT REVOLUTION(アシアナスペシャルバージョン)
  3. 「洋服の青山」CMオリジナルメイキング
WORLD ORDER(わーるどおーだー)

プロフィール画像

元格闘家で、タレントや作家などとしても活躍する須藤元気が、男性ダンサー6名(野口量、内山隼人、森澤祐介、高橋昭博、落合将人、上西隆史)とともに結成した7人組ダンスパフォーマンスユニット。スーツにメガネ、きっちり整えた髪型という統一感のあるファッションと、須藤が歌うポップなダンスミュージック、ダンサーたちの高い身体能力を活かしたロボットダンスが、アジアをはじめアメリカ、カナダ、ヨーロッパ圏で熱烈に支持されている。また、独創性の強い映像作品も各国で高評価を獲得。2012年6月にはDVD / Blu-rayとCDからなる2枚組作品「2012」、同年11月には初のシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」をリリース。