ファンの人と一緒に曲を作ってみたい
──撮影中に印象的だったことは?
予想はしていたんですけど、やっぱり段ボールなのでテイクを重ねるごとにヘタってくるんですよ。特にドラムセットとマイクスタンド。壊れそうになったら途中で補強したりして、なんとか形を保っているうちにOKが出て撮影が終わった感じでした。
──かなりスリリングな撮影だったんですね。
でも楽しかったです。お客さんを模した200体以上の段ボールをフロアに並べたときは圧巻でした。段ボールにプロジェクトに参加してくれたファンの顔が貼ってあって、「あ、この人いつもライブに来てくれてる人だ!」って思ったり。みんないろんな表情の写真を送ってくれてうれしくなりました。不思議なことにMVを撮りながら、ライブをしている感じになったんです。楽器も段ボールだから音は出ないし、撮る前はちゃんとライブのテンションに持っていけるか不安だったんですけど、撮影が始まってみたらそんなことはなく。
──メイキング映像を拝見しましたが、モリスさんが「お客さんが段ボールなのに熱い」って汗をかいてましたもんね。
そうなんですよ(笑)。
──まさやんさん的な見どころは?
段ボールのお客さんに囲まれながらフロアで演奏するシーンですね。段ボールをスタッフが手で動かしているんですけど、普通の格好をしていたらMVが台無しになるっていうんで、わざわざ黒い全身タイツを着てくれて。僕らのやるバカバカしいことに乗っかってくれたのはうれしかったし、アホらしいことを全力でやる姿勢が伝染していってる様をその場で感じました。
──一生懸命作ったMVは、サポーターが400人を超えたことを受けて、シングルの限定盤に収録されることにもなりました。
そうなんです! 最初サポーターが400人集まったら、シングルの限定盤DVDに入れるよって言われたんですけど、そんなに人数が集まるとは思ってなくて。でも、超えたときはうれしかったです。コメント欄に「あと何人だがんばれ!」とか「400人突破おめでとう!」とか応援や祝福の言葉が並んでいて、みんなで一丸になってプロジェクトを進めているんだなって感じられたし。ライブ以外で初めてファンの方と一体感を作れた気がします。いい刺激と言うか、いい体験をさせていただいたと思います。
──今回のことを踏まえて、今後WIZYでやってみたい企画は?
ファンの人と一緒に曲を作ってみたいです。例えば歌詞を1節ずついただいて、それをつなげて曲を作ってみるとか。四星球は「なんでもあり」がコンセプトなので、そういう無茶なこともできる気がします(笑)。
──「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」の歌詞には「作れないものはない」という一節がありますが、まさやんさんが今後段ボールで作ってみたいものはありますか?
うーん……作ってみたことはあるんですけど、仕上がりに納得できなかったものがあって。
──それは一体なんですか?
ほら貝です。過去に2回作ってみたんですけど、紙をくしゃくしゃに丸めただけで、どう見てもほら貝じゃなくて。いつか完璧なほら貝を段ボールで作ってみたいです!
──最後にまさやんさんにとって段ボールとは?
四星球の活動をしていくうえで欠かせないものですね。段ボールを使い始めたきっかけって、身近にある素材で手に入りやすいからという理由だったんです。お金がない分、知恵を絞るしかなかったから。ただ段ボールの小道具はだいたい折り畳めるから移動でも場所を取らないし、多少雑に扱っても壊れることはないし、いいこと尽くめですね。まあ、水に弱いのが難点ですけど(笑)。
- 完成したMVを観たときの感想は?
MV内の“ビク田”は楽曲の途中で感涙し、最後にはノリノリになっていますが、まさにあの感じでした。
ヒト型段ボールのサポーター顔写真には、ヘン顔とキメ顔が入り混じってましたが、どちらも違和感なく、楽しく飲み込めるような、楽曲と企画の包容力を感じました。全サポーター名を掲載するエンドロールにシングルの収録曲をBGMで使用しているのはメンバーからの提案で、それ自体、画期的な試みですが、そこに応募いただいた全顔写真を載せる演出も画期的だったと思います。
MV本編とエンドロールがセットになって1つの作品になっているので、ぜひエンドロールまで見ていただきたいです。一般的に、MVは「1つの切り口」を軸に制作することが多いと思いますが、今回の作品は、WIZYというプラットフォームを最大限に活用することで、“メンバー賛歌”という楽曲の基軸に加えて、バンドとレーベルの確執という茶番劇、ヒト型段ボールに囲まれたライブシーン、そこへのファンの参加、段ボール会社とのコラボ、そしてエンドロールの手法まで、たくさんの画期的な試みが詰まったMVになったと思います。
- WIZYでのプロジェクトを大成功に終えた四星球メンバーに一言。
インディーズのやり方もメジャーのやり方も、作品作りには関係ないですね。アーティストと楽曲、そして応援してくださるファンがすべてだと思い知らされました。
- “共創”をコンセプトにアーティストとファンをつなぐ企画を提案し、その実現を支援するプラットフォーム。ファンは“サポーター”として各企画に参加し、アーティストと一緒にプロジェクトを実現させることを目指す。これまでに山下達郎、BOØWY、ゆず、ナオト・インティライミ、GACKTなどが参加した。
- WIZYのプロジェクトを見る
- 四星球「鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.」
- 2018年1月31日発売 / Getting Better / Victor Entertainment
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完全限定生産盤 [CD+DVD]
2138円 / VIZL-1296 -
通常盤 [CD]
1382円 / VICL-37347
- 収録曲
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- 鋼鉄の段ボーラーまさゆき
- 発明倶楽部
- 3:00 a.m.
- はじめてのたいあっぷ
- 六文役者
- 直りかけのCamera
- シークレットトラック
- 完全限定生産盤DVD収録内容
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「四星球 at OTODAMA’17~音泉魂~“夏フェスというボケ編”」
- <サウンドチェック~今年出てないひとメドレー>
- <大トリ入場>
- Mr. Cosmo
- お告げ
- クラーク博士と僕
- 妖怪泣き笑い
- 四星球十五年史 ~上巻~
- <まさやん卒業祭り>
- WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント
- 我ら吉野川同盟
<Bonus>
- 鋼鉄の段ボーラーまさゆき -Music Video-
※四星球「鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.」はプレイパス対象作品です。プレイパスとは、CD、DVD、Blu-rayの収録曲をすべてスマホで簡単にダウンロード・再生することができるサービスです。ご利用にあたっては、CD、DVD、Blu-rayに封入されているプレイパス専用カードをご確認ください。
ツアー情報
- 四星球1st e.p「鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.」レコ発ツアー
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- 2018年2月4日(日)大阪府 なんばHatch
- 2018年3月3日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2018年4月12日(木)神奈川県 CLUB CITTA'
- 2018年5月10日(木)香川県 高松オリーブホール
- 四星球(スーシンチュウ)
- 2002年に北島康雄(Vo)とU太(B)を中心に鳴門教育大学の音楽サークルで結成。2009年に北島、U太、まさやん(G)、モリス(Dr)という現在の編成に落ち着く。オーディエンスを巻き込む型破りのライブパフォーマンス、さまざまな“あるあるネタ”をキャッチーなサウンドに乗せて表現するコミックソングが注目を集める。2010年代に入ってからは全国各地のロックフェスに出演し、度肝を抜くステージで話題を呼ぶ。約15年におよぶインディーズでの活動を経て、2017年1月にアルバム「メジャーデビューというボケ」でメジャーデビュー。8月にシングル「お告げ ~さあ占ってしんぜよう~」を発表した。2018年1月にシングル「鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.」をリリース。
北島康雄
ちゃんとお客さんの前でやってるような表情になってるところですね。撮影が進むに連れて、ホンマにライブしてる気持ちになれたんです。
最初段ボールを使ってMVを撮るというアイデアは、僕が会議でポロっと言った案だったんですよ。それがこんな大きなプロジェクトになってしまい、申し訳ないなっていう気持ちもちょっとあって。でも、考えてみたらいろんな事情でライブに足を運べない人とかがフロアにいる画を作ることができるし、少しでも参加してる気持ちになるんじゃないかと思ったんです。思い付きで言ったわりにはいいアイデアなんじゃないかと感じて。面白いものを作りたいという気持ちはあったんですけども、同時に意味のあることをやってるなという気持ちになりました。
ずっと前から四星球主催でバンドマン対抗大運動会みたいのをやりたいなと思ってるんです。紅組白組に分けて本気でリレーとかしたいんですよ! 運動場を借りて、お弁当とか持ち寄って。ファンの方にも参加してもらってワイワイやりたい。それをDVD化してサポーターの方に送るとか実現してみたいですね。
U太
ファンの顔写真を張り付けた段ボールの前で演奏してる場面ですね。段ボールに顔写真が張り付けられてる非日常的な画がMVの中に入っていますので、「そこまで段ボールでやる?」と面白がっていただければ。自分たちとしても「何やってんねん」っていう感じやったんですけど(笑)。
康雄と同じで、四星球プレゼンツの運動会をやりたいです。メンバー4人がそれぞれチームを作って、ファンの方にも参加してもらう形で。
モリス
まさやんが作った段ボール製の楽器がマジで本物に見えてくるところですかね。引きの画だと本物に見えるっていうクオリティの高さがすごい。特にドラムのクオリティがすごかった。耐久性もあって素晴らしい段ボールドラムでした。でも、いかんせんお客さんが段ボールなので、演奏シーンでテンション上げるのが大変で。できあがった映像を観たらプレイにかなり躍動感があったのでよかったです。
僕、芸能人がやっているバスツアーとか温泉旅行とかに憧れていて。お客さんと一緒に観光地を回ったりしたいんです。温泉とかで一緒にお酒飲んで、僕らのことをどう思っているのかとか腹割って話をしてみたいです。四国1周なんかいいんじゃないですかね? 道後温泉行って、うどん食べて、徳島で僕らの縁の地を巡って……。僕らにそれを求めるお客さんがいるかはわからないですけど(笑)。