藤巻亮太×KDDI 音のVR|リモート合唱スタイルのVRライブで、あなたの卒業を彩ります

KDDIおよびKDDI総合研究所が提供するスマートフォンアプリ「新音楽視聴体験 音のVR」にて、藤巻亮太と高校生によるリモート合唱映像が3月9日に配信された。「音のVR」とは、360°の動画に対し、視聴者が観たい映像や聴きたい音に、自由自在にズームやフォーカスができるインタラクティブ視聴技術。これまで合唱団や雅楽、オーケストラといった数々の音楽団体と、コロナ禍における新しい音楽鑑賞体験を提案してきた。今回音楽ナタリーでは藤巻の合唱収録に密着。さらに収録後の感想や「音のVR」の魅力について、藤巻に語ってもらった。

取材・文 / 高橋拓也 撮影 / 日野拳吾

「藤巻亮太×KDDI音のVR」とは

「音のVR」は360°の動画に対し、視聴者が観たい映像や聴きたい音に自由自在にズームやフォーカスができるインタラクティブ視聴技術。今回のコンテンツでは、藤巻亮太と東京混声合唱団による「3月9日」「オウエン歌」の合唱映像を配信。「3月9日」では全国の高校生から募集した歌唱動画を用いてのリモート合唱が行われた。この配信動画のうち「オウエン歌」は、auスマートパスプレミアムでも「藤巻亮太 in VROOM powered by au 5G」というタイトルで公開されている。

「藤巻亮太×KDDI音のVR」収録現場レポート

「音のVR」映像収録中の様子。

藤巻は今回の「音のVR」合唱コンテンツで、自身の母校・山梨県立笛吹高等学校でのサプライズライブをきっかけに制作された「オウエン歌」と、レミオロメンの楽曲として2004年に発表され、現在では卒業ソングとしておなじみとなった「3月9日」の2曲を披露。収録はクラシックコンサートの会場として高い評価を得ている東京・秋川キララホールにて行われた。

収録には藤巻に加え、東京混声合唱団からピアニスト、指揮者、男女混声15名の合唱団員が参加。東京混声合唱団のメンバーは本番前から入念なリハーサルを行い、藤巻のパフォーマンスを手厚くサポートした。拍手で迎えられながらステージにスタンバイした藤巻は、VR形式での収録が初めてということもあってか、少々緊張した様子を見せていた。

最初に歌われた「オウエン歌」では、藤巻のソロだけでなく男声、女声の各ソロパートも用意され、掛け合いのように歌われる場面もあった。合同練習の回数を重ねるうちに歌声はどんどん洗練されていき、藤巻も時折合唱団メンバーに語りかけたりと、徐々にリラックスした姿を覗かせる。後半になると重厚なハーモニーがホールいっぱいに響き渡るようになり、撮影・録音スタッフたちもその歌声に聴き入りながらステージを見守っていた。

続く「3月9日」は全編藤巻がメインボーカルを務める形で披露。合唱団はコーラスで楽曲全体の抑揚を繊細に表現し、サビでは大人数ならではの力強い歌声で荘厳なムードを生み出した。「オウエン歌」の歌唱を経たこともあり、藤巻と合唱団は息ぴったりのパフォーマンスを展開し、わずか2テイクで「3月9日」の収録は終了。その後藤巻たちは談笑し、お互い交流を楽しんでいた。

藤巻亮太インタビュー

映像だけでなく音の場所もカスタムできるVRライブ

──「音のVR」収録、お疲れさまでした。「オウエン歌」「3月9日」の2曲を歌ってみていかがでしたか?

合唱団の皆さんとピアノ伴奏で歌わせていただくことは、今までなかったんですよ。すごくいいホールで録らせていただけて気持ちよかったです。指揮者の方が導いてくださる方法ならではのダイナミズムもありましたし、それに合わせて後ろから合唱団の皆さんの声がブワーっときて。

──藤巻さんを中心に、合唱隊が扇型に囲むような配置でしたね。

藤巻亮太

声の壁が迫ってくる力強さがありつつ、まるで風に吹かれているような心地よさもあって、素晴らしい経験でした。

──藤巻さんは昨年、配信サイトやInstagramを用いたオンラインライブを数多く行ってきましたが、VRカメラを用いての撮影は今回が初ですか?

初めてですね。目の前にプラネタリウムの装置のような球体カメラがありましたが、どんな映像になるか想像できなくて(笑)。ほかの方の「音のVR」映像も鑑賞したんですけど、カメラワークだけでなく、どこからどんな音が出るのか、自分が聴きたいところにフォーカスすることができるし、まさに参加型の映像作品でした。ライブにはなかなか行けなくなった分、こういった形で聴く人がカスタムしながら楽しめるのはいいですね。

──バンド形態だけでなく、今回のような合唱編成のライブでもVR映像の魅力は発揮されるんじゃないかと。

もちろん全体のアンサンブルも楽しめますからね。さまざまな角度から聴きたい人にとってはうれしい企画ですね。

上手に歌えなくても大丈夫。
そのときの思いが込もっていれば最高

──この配信は音のVRで全国から応募のあった学生と卒業式の定番曲である「3月9日」をリモート合唱する企画です。先ほど応募動画の一部をご覧になっていましたが、「胸がキュンキュンしますね!」とお話ししていましたね。

いやあ、うれしいです。応募期間があまり長くなかったにも関わらず、たくさんの学生さんが動画を送ってくださって。自宅とか教室、それから野外もあったかな。事前に収録したオケを聴きながら歌ってもらっているんですが、中にはアカペラで歌ってくれた子もいてくださって。なんだかジーンときちゃいました。学生さんが一生懸命に歌っている姿がかわいらしくて(笑)。

──(笑)。

藤巻亮太

かわいいって言ったら失礼になっちゃうかもしれないですけど、そういうちょっとした部分にもその人の明るさとか、人となりが出るじゃないですか。間違っちゃったあとに「テヘッ」って表情になったり。やっぱり歌って、上手に歌うだけじゃないんですよね。正解はないし、そのときの思いがこもっていれば最高だと思うんです。そういうことって本当に大事だなって。自然と笑顔になってしまいます。

──「3月9日」が定番の卒業ソングになるだけでなく、母校でライブを行ったことがきっかけで「オウエン歌」が制作されるなど、藤巻さんは学生たちに影響を与える一方、ご自身も学生との交流から得るものは多いのではないでしょうか。

特に卒業シーズンにはさまざまな学校からお声がけいただいて、卒業式のゲストに呼んでくださることがいっぱいありました。卒業式は3年間という節目を振り返る行事ですけど、その体験を胸に刻んで、感謝の気持ちが生まれると思うんです。そして次の日から1人ひとり、まったく違う世界に足を踏み入れていくことになる。学生さんにとってとても大事な日になりますよね。なので卒業式で歌う際は皆さんの気持ちを大事にし、同じような心情が乗せられるように心がけています。

──そんな中、今回の配信ライブでは直接参加者と顔を合わせるのではなく、リモートでの合唱となります。

藤巻亮太

この状況はやっぱり、どうにもならないですよね。みんなで集まることが難しい時代ですから、卒業式だけでなく学園祭、体育祭などもできなかった……というお話を聞いています。今年の卒業式もリモートだったり、クラス別で実施する学校もあるみたいで。こういったイベントって、共通の思い出ができるわけじゃないですか。それができないのはとてもかわいそうだけど、今回のVR企画はそういう人たちのサポートになるんじゃないかな……と思うんです。同じ空間にはいられないけど、新しい技術を使ってみんなで1つの曲を歌うことが学校生活の節目になればいいなと思って参加させていただきました。

──1つの区切りを付けるきっかけになると。

竹とかもそうだけど、節があるから強くなれるんですよね。いくつもの節を重ねることで芯がより強くなって、さらに一歩進んでいける。だからこそ、こういった節目は大事だと思うんです。今回の映像が少しでも、観てくださる方にとっての節目となってくれたらうれしいです。

卒業生だけでなく、
後輩や親御さんにもぜひご覧いただきたい

──「音のVR」ではこれまでコロナ禍における数々の音楽鑑賞の提案をしてきましたが、今回の映像は卒業シーズンでの公開ということもあり、また特別なコンテンツになりそうですね。

今回リモートの合唱に参加いただいた方だけでなく、卒業式ができなかった学生さんや「送ってあげることができなかった」という後輩の子たち、親御さんにもぜひご覧いただきたいですね。それから大人になって期をまたぐ人たちも「今期も大変だったね」「またがんばろう!」と思えるような、気持ちが明るくなる作品になったらありがたいです。

──今回リモート合唱で披露された「3月9日」は現在卒業ソングとして有名ですが、もともとはご友人の結婚式のために制作された楽曲でしたね。

そうなんです。まさに3月9日が友達の結婚式だったんですけど、その友達から「ありがとうの日に結婚するんだよね。3月9日でサンキューの日なんだよ」と言われたことをすごく覚えていて、「確かにいい日だな」って。ファンの方々に感謝の思いを伝えられる機会は少ないので、毎年この日にはライブを行っているんです。今年は別の公演も延期が続いていたので、ひさしぶりに皆さんに会うことができました。このライブはバンド編成でしたが、「音のVR」はコーラスメインでの収録になったので、その違いも楽しんでいただけたらいいですね。

藤巻亮太