vistlip 智(Vo)、海(G)、Tohya(Dr)インタビュー|結成20周年を前に新たな夜明けへ (2/2)

結成当初の感覚&今やりたいことの両立

──アルバムの音楽性、サウンドの方向性についてはどう決めていったんでしょう?

Tohya 作曲は智以外のメンバーが担当しているんですけど、初期の頃から作るメロディの雰囲気が全員似てる気がしてた。僕はどちらかというとキャッチーな路線が多かったり、それぞれに特徴があるけど、メンバーで共通している部分がある。なので自然と「vistlipらしい曲調って、こういう感じだよね」というものができていったんだと思います。今回のアルバムについては、「こういう曲を入れなきゃ」みたいな使命感はなくて、わりと自由に作ってました。結成当初の感覚と、今やりたいことの両方を入れられたんじゃないかなと。

Yuh(G)

Yuh(G)

──自由度も高いし、“らしさ”もしっかり表現できたと。

Tohya そのうえで遊びも加えられた気がします。意識的にやってるのは、あまり曲を長くしないということですね。シングル「UNLOCKED」の曲もそうですけど、余計なセクションを入れないようにして、3分前後に収めているんですよ。

──尺を短くしているのは、現代のリスナーの傾向を考慮しているからですか?

Tohya そういう流行りや風潮もありますが、きっかけとしてはアルバム「M.E.T.A.」に入ってる「BGM『METAFICTION』」という曲ですね。2分50秒くらいの尺なんですけど、必要なセクションは全部入ってるし、聴き応えもちゃんとあって。重要なポイントをきちんと踏んでいれば、3分弱でも曲として成立するんだと思えました。

ちゃんと再現してくれるのはほぼTohya

──海さんが作曲した「Melt Away」はドラマティックなメロディが印象的です。vistlipのポップな側面が感じられる楽曲でもありますが、どんなイメージで制作されたんでしょうか?

 自分は数を作れるわけではないし、そもそも曲を作るのが得意ではなくて。浮かんだものをそのままアウトプットする感覚で作ってるんです。「Melt Away」もパッと浮かんできたメロディがもとになっていて。そのメロディをサビにして、「もっとポップにしよう」とか「生感のあるサウンドにしたい」という感じで広げていきました。ただ、そのあたりもうまくコントロールできないんですけどね(笑)。激しい曲を作ろうとしてミドルバラードみたいな曲になったり、ポップな曲を作ったつもりだったのに「暗いね」って言われたり。「Melt Away」は間奏のブラスも最初から頭の中にあったし、浮かんできたものをちゃんと具現化できたと思ってます。

──瑠伊さんの楽曲(「Figure」「Last Order」「ドクガエルとアマガエル」)はミクスチャー的なセンスが感じられます。智さんから「こういう曲を作ってほしい」とリクエストすることもあるんですか?

 瑠伊とTohyaには言いますね。あえて同じテーマを投げたりするんですけど、ちゃんと再現してくれるのはほぼTohyaです(笑)。今回のアルバムはそんな投げかけはしてないんじゃないかな。

瑠伊(B)

瑠伊(B)

Tohya 覚えてないみたいだけど、「Wait for Me,My Ghost」は智から「これいいよ」って送られてきた曲をリファレンスにしてます(笑)。だいぶテイストが変わってるけど。

 ……だそうです(笑)。

──作曲者が4人いることで、音楽的な幅もある。それもvistlipの特徴ですよね。

 そうですね。瑠伊はこんな感じ、Tohyaはこんな曲が多いという枠みたいなものがあって。海、Yuhもそうですけど、それぞれが作ってくる曲がなんとなく予想できるんですよ。全員がバラバラなんだけど(笑)、それぞれの場所を磨いてくれたらいいなと思ってます。それらをバンドに落とし込むとどうなるか?というのがvistlipの特徴ですね。ただ、これは弱みでもあるんです。うまく落とし込めなかったらそこで終わりなので。

ひたすら攻撃的な姿勢で

──4月から6月にかけて全国ツアー「vistlip ONE MAN TOUR 2026 [Drawing Dawn]」が開催されたあとには、7月7日に毎年恒例のアニバーサリーライブが東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行われます。

 今回のアルバムには「20周年に向けて」というテーマもあって。20周年の幕開け的な意味合いも意識しながら制作した部分もあるので、アルバムのツアーでもそういう世界を表現したいと思っています。中身はこれからじっくり考えます。

 ツアーに関しては、どうなるかわからないというのが正直なところで。ライブに向けて作った曲がそこまで多いわけではないし、やってみないとわからない。バンド的にも年季が入ってきて、さっきも言ったようにライブ自体も強くなっているので、ツアーを通してアルバムの曲がどうなっていくのか僕自身も楽しみです。もちろんファンの人たちの受け取り方も大事で。みんながどういうふうに楽しんでくれるのかによって左右される部分もありますからね。

Tohya 「DAWN」にはファンのみんなも楽しんで聴いてくれる曲がそろっていると思うんですけど、ライブとなると「もっと激しい曲が欲しい」という人も多いだろうなと。そこを踏まえつつ、過去の曲もいろいろと取り入れながらツアーを回っていくことになると思います。これは自分の勝手なイメージなんですけど、今回のアルバムは1stアルバム(2009年12月リリースの「THEATER」)になんとなく似ている気がしていて。ライブで初期の頃の曲と混ぜても、きれいにまとまると思うんですよね。いい意味で変わってない部分、もっと進化した部分の両方を見せたいですね。

──そして来年は結成20周年。さきほど智さんは「今回のアルバムは20周年を意識していた」と話していましたが、20周年の捉え方についても教えてもらえますか?

 そうですね……10周年と同じように大切にするべきだし、したいと思っています。10周年は自分たちにとってすごく重要だったんですよ。あれからさらに10年経って、バンドとして成熟したところもあるだろうし、もっと余裕を持って迎えられたらなと。20周年イヤーというか、21年目を迎えるまでにやれることをすべてやりたいし、出しきりたいと思っています。デカいことをやりたいですね。

Tohya 20周年というのがすごく大きい数字なのはわかってはいるけど、これまで当然のようにvistlipとして活動してきたので、「ずっとやってれば20周年になるでしょ」みたいな感覚もあって。自分たちよりも、周りの人たち、ファンの皆さんのほうが20周年の大きさ、重さを感じてくれているんじゃないでしょうか。それは本当に感謝だし、皆さんに喜んでもらえることができたらいいなと思っています。もう1つ、その先のことを考えるタイミングでもあると思っていて。バンドをパラメーターで表示すると、足りていない部分と達成できているところがあるし、そこを見据えながらやっていけたらなと。「DAWN」というアルバムを出せたことで、その先への期待がもっと高まっているし、ここからさらに進んでいきたいですね。

 10周年のときは、もちろん気構えはあったんですが、「気が付けば終わっていた」という印象で。やりたいことを全部やれたわけではないんですよね、正直。先輩に「周年が見えてから準備しても遅いからね」と言われたこともあるし、20周年に関しては早めに動き出しています。バンドのキャリア、メンバーの年齢的には活動が落ち着いてしまいかねない時期でもあるけど、今はとにかく走っていきたいと思っています。ひたすら攻撃的な姿勢でいたいです。

vistlip

vistlip

公演情報

vistlip ONE MAN TOUR 2026 [Drawing Dawn]

  • 2026年4月18日(土)北海道 PLANT
  • 2026年4月19日(日)北海道 PLANT
  • 2026年4月25日(土)京都府 京都FANJ
  • 2026年4月26日(日)大阪府 ESAKA MUSE
  • 2026年4月29日(水・祝)福岡県 DRUM Be-1
  • 2026年5月2日(土)愛知県 ElectricLadyLand
  • 2026年5月9日(土)宮城県 仙台MACANA
  • 2026年5月16日(土)石川県 Kanazawa AZ
  • 2026年6月6日(金)東京都 WWW X

vistlip 19th Anniversary LIVE [CLOCKWORK JUKEBOX]

2026年7月7日(火)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

プロフィール

vistlip(ヴィストリップ)

2007年7月7日に結成された、智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるヴィジュアル系バンド。バンド名は「vista(視覚)」と「lip(聴覚)」を合わせた造語。2008年4月に1stミニアルバム「Revolver」をリリースし、2009年7月にはフランス・パリで行われた「Japan Expo 2009」に出演し初の海外ライブを行う。以降もリリースとライブを重ね、結成15周年を迎えた2022年3月にアルバム「M.E.T.A.」を発表した。2023年に在籍していた事務所から独立。2025年1月に2年10カ月ぶりとなるアルバム「THESEUS」をリリース。2026年4月にアルバム「DAWN」を発表した。2027年に結成20周年を迎える。