ビッケブランカ|ビッケが素直になった理由 とんだ林蘭と語るアートワーク秘話も

ビッケブランカ×とんだ林蘭 対談

左からビッケブランカ、とんだ林蘭。

デモの時点で「私この曲すっごく好き」と思って

ビッケブランカ 対談って何を話せばいいんだろう?

とんだ林蘭 まだ知り合ったばかりですからね。でも同い年なんですよ。それがすごくうれしくて。

──これを機にさらに距離を縮めていただければと思います。まずはビッケさんに、とんだ林さんにアートワークを依頼することに決めた経緯を伺えればと。

左からビッケブランカ、とんだ林蘭。

ビッケ あいみょんさんのアートワークを制作されている人としてもともと知っていたんですけど、うちのディレクターが、とんださんが売れっ子になる前からずっと好きだったみたいで。そのディレクターから「こんな人がいて、やりたいと思うんだけどう?」と提案してもらったので、「めっちゃいいじゃないですか」ということで声をかけさせてもらった感じですね。

とんだ林 私が最初にビッケさんを知ったのは、2019年のZoffのサングラスの広告でした。私は2018年、あいみょんとNulbarichさんの年にディレクションさせてもらったんですけど、それ以降も「次の年は誰がやるんだろう?」と楽しみにしていて。ビッケさんが自分の次の年に出ていらしたので、そのとき「あ、ビッケブランカさんという方がいるんだな」と初めて知ったのを覚えています。

ビッケ そうだったんですね。

とんだ林 お仕事で最初にご一緒したのが岡崎体育さんとのシングル「化かしHOUR NIGHT」だったんですけど、今回の「ポニーテイル」はまた全然違った曲で。だけどどちらもデモの時点で「私この曲すっごく好き」と思って。普通に歩きながらとか、何回も聴いてます。

ビッケ (目を細めながら)そんな簡単に僕は信じませんよ。

とんだ林 いやいや(笑)。すごくいい曲だなって。

ビッケ 本当ですか?

とんだ林 本当です。カメラマンとも「いい曲だよね」って話してましたし。

ビッケ うーん……。

いつもひねくれたことをしている人のストレート

──そんなに疑わなくても(笑)。今回のアートワークはどのように制作を進めていったんですか?

とんだ林 初めて打ち合わせをしたときに、ビッケさんが「僕は王道のJ-POPを作ります」という話をされていて。曲がストレートだからアートワークも正統派にしたいけど、普段からストレートな人のストレートではなく、いつもひねくれたことをしている人のストレートを見たいという話になったんです。なので、自分なりにそういうものを作ろうという思いがまずありました。ポニーテールをモチーフにしない、というハズし方はできないと思ったんですけど、モデルとなる方は誰かわからない感じにしたかったので、後ろ姿がいいかなあと。鏡は普段から私が好きで使っているモチーフで、今回は4つ形態があったので、何枚も集めたくなるようなジャケットにしたいな、ちょっとずつ差をつけられたら面白いかなということで、こういうふうにさせてもらいました。

ビッケブランカ

ビッケ 全部とんださんの手腕にお任せしましたね。もともと僕はとんださんの作品を見ていて、この人には明らかに抜きん出た感覚があるとわかっていたので。「ハズすなんてことはないだろう」という信頼のもと、お任せしている感じですね。

とんだ林 それがすごくうれしかったけど、プレッシャーでもありました(笑)。

ビッケ 僕、けっこう前から「自分のよさが自分にわかるわけがない」と思っていて。とんださんにはアーティスト写真のディレクションもお願いしたんですけど、例えばアー写を選ぶときって、自分の意見とほかの人の意見がまあ被らないんですよ。それはなぜかというと、本人は痩せて見える写真とか、自分の見せたい部分に特化した写真を選ぶけど、周りにいる人は、そうじゃない部分の魅力をもっと客観的に見ているから。だから「僕だったらこうしたい」というものよりも、自分の周りにいる人がいいと言ったものを選ぶほうがいいんだよっていうところに自分の中で着地したんですよね。それにとんださんには、とんださんから見た僕のいいと思う部分を具現化する力があるから。僕はそれに乗っかるだけで、寒かったことを除けば何の苦労もない撮影でした(笑)。

とんだ林 確かに、撮影はすごく寒かったですよね。

──アーティスト写真はどこで撮影されたんですか?

ビッケブランカ

とんだ林 街や山が見渡せる屋上で撮りました。撮影場所の候補が3カ所ぐらいあったんですよ。最初、昼の時間帯に撮ったんですけど、カメラマンの坂本理さんが「夕日のときにもう一度撮りたい」と提案してくださって。なので、ほかの場所での撮影も終えたあと、もう1回屋上に行って、夕日のタイミングを見計らって撮ったのが今回のアーティスト写真なんです。セレクトするとき、同じ場所で撮った写真でも絶対にこっちのほうがいいなと思って。朝に一度撮影していたからかもしれないですけど、表情がすごくリラックスできているんですよね。

ビッケ 筋肉が弛緩しているよね。

とんだ林 うん。自然な感じで、いい写真が撮れたなと思います。

本人だからわかる「はい、ここで着地」というポイント

──先ほどおっしゃっていた通り、今回のシングル「ポニーテイル」は全4形態でのリリースです。

とんだ林 はい。ステッカーや帯、盤面のデザインも含めて1つの作品にしたいと考えながらデザイナーさんと一緒に作っていったので、パッケージを手に取ったときにはぜひ全部見てもらいたいです。

──French Link(ファンクラブ)限定盤のバスタオルとヘアゴムもとんだ林さんがデザインしたものなんですよね。

左からビッケブランカ、とんだ林蘭。

ビッケ このヘアゴムのデザイン、めっちゃすごいですよ。使われている文字はなんのフォントでもないし、かといって直筆でもない。デザインしたうえでバランスを崩して、最終的にこれだけかわいくできているんです。俺、このヘアゴムの画像が初めて送られてきたとき「何これ!?」って思ったんですよ。「なんでこれにしようと思ったの?」って。だけど、3秒後には「めっちゃいい!」に変わった。

とんだ林 そうだったんですか(笑)。

ビッケ どう説明したらいいんだろう……SOUL'd OUTの「1,000,000 MONSTERS ATTACK」という曲があるんです。その曲はイントロが「♪アッオー アオー アッアオー アオー」という歌から始まるんですけど、あれを初めて聴いたとき、子供ながらに「どうしてこれでリリースしようと思ったんだろう?」と思って。だけど結果、カッコいいんですよね。それはきっと本人だからわかる「はい、ここで着地」というポイントがあるわけで。作り手って自分の能力をコントロールすることも必要なんですけど、とんだ林蘭はそのレベルすら高いというか。そこがすごいなと思います。

とんだ林 そんなふうに思われていたことにすごくビックリしていますし、そう言われても自分じゃ全然わからないです(笑)。ヘアゴムに関しては「あまりにもグッズっぽいと実際使わないかな?」と思ったんです。自然に着けられるものにしようと考えて作ってはいたんですけど、そんな変なことをしているつもりはなかったんですよ。

ビッケ なかったんですね! いや、このヘアゴムはすごいですよ、マジで。

あいみょんとビッケブランカ、どっちが好きですか?

──最後に、お互いに対して聞きたいことなどはありますか?

とんだ林 ビッケさんは私生活が見えるようで見えないので、気になることがたくさんあるんですよね。毎日どういう過ごし方をされているんですか?

ビッケ いや、めちゃめちゃ普通ですよ。ゲームしたり、本を読んだり。昨日はみんなでバスケしました。

とんだ林 早起きですか?

ビッケ ぐちゃぐちゃです。今日はめっちゃ早起きだったけど、昨日は朝に寝たし。

とんだ林 ふーん……余計わからなくなった(笑)。

──ビッケさんからは?

ビッケ あいみょんとビッケブランカ、どっちが好きですか?

とんだ林 あはははは! 全然魅力が違うので、答えられないです(笑)。

ビッケ じゃあ、あいみょんとビッケブランカが2人で崖にしがみついてたら、どっちを助けますか?

とんだ林 それはあいみょんを助けます。

ビッケ なんで!?

とんだ林 だってビッケさんなら、きっと1人で這い上がってこられるじゃないですか。体力もあるだろうし。だからあいみょんを助けたあとに、余裕があれば助けます(笑)。

ビッケ ひどい! 今のはマジで書いといて!(笑)

左からビッケブランカ、とんだ林蘭。