趣味でやっていたことが昇華された

──前から気になっていたことがあるんですが、ウソツキは曲にギターで効果音を入れるのが得意ですよね。「金星人に恋をした。」収録の「京葉線SOLDOUT」の踏切みたいな音とか、今回だったら「新木場発、銀河鉄道」の汽笛、「一日だけヒーロー」の怪獣の鳴き声みたいな音とか。それってウソツキの音楽の特長にもなってると思っていて。

竹田　そういうの面白くないですか？ 効果音を入れるんだったら普通はみんなサンプラーでやるんで。ウソツキの場合は僕がもともとギターで効果音を出すのが趣味だったこともあって、「あ、これアレに聞こえる！」みたいな感じで取り入れることが多くて。前回はそういう音を曲を構成する要素とは別に効果音的に入れていたけど、「新木場発、銀河鉄道」の「ポッポー！」っていう音はリフとして使っていて、ちゃんと曲の中にある。しかも効果音的にも作用しているっていう。「一日だけヒーロー」の「ガオー！」って聞こえる音もオブリガードっぽく入れられたし、自分で言うのもなんだけど、今までやっていたことが曲として昇華されている気がします。

──「新木場発、銀河鉄道」はリズムも汽車が走る風景を想起させますよね。ビデオクリップにもぴったりハマってましたし。

藤井　MVの汽車の速度は152BPMってことですね（笑）。

林山　うん（笑）。でもやっぱりリフって曲の主役みたいな感じだから、最初に「ポッポー！」って音が鳴ったあとにリズムが入ってきたら汽車が走ってる様子が思い浮かぶのかも。

ライブには予測できないことがあってもいい

──「新木場発、銀河鉄道は行く。」の制作期間あたりからライブの雰囲気も変わりましたよね。ステージにいる4人の動きが以前より活発になったなと思っていて。

竹田　それは意図した部分でもあって、やっぱりライブなんだから生身の人間が演奏している感じを出したかったんですよ。

吉田　うちらのお客さんって今まで突っ立って観てる人が多くて、それは僕らが淡々と演奏していたからなのかなって思っていたんです。

林山　うんうん。「金星人に恋をした。」を聴いてライブに来てくれた人によく「想像と全然違った」って言われるんですよ。これはいい意味でも悪い意味でもあると思うんですけど、僕たちクールなバンドだと思われてるみたいで、ステージに立って演奏してるだけですごく楽しいのにその感じが聴き手になかなか伝わらなくて。

竹田　そうだよね。小中高と「お前本当に楽しいの？」って聞かれるくらい楽しそうに見えないタイプだったからね、僕ら。感情を表に出すのがヘタクソなんですよ。

林山　だから楽しい気持ちを見た目でも体現していけたら、初めて観た人にも僕らが楽しんでやってるっていうことが伝わるんじゃないかなって思ったんですよね。

──なるほど。

吉田　この前千葉LOOKでライブをしたときに、「金星人に恋をした」で最前列の女の子がジャンプしてて、びっくりしたんですよ。そういうのって初めてで。でも本当にグルーヴがあるバンドってのらずにはいられないじゃないですか。すごくレベルの高い話だと思うんですけど、ゆくゆくはそういうバンドになりたいって思ってます。

──「一日だけヒーロー」の吉田さんのなかなか終わらないギターソロも、最近のウソツキのライブの楽しげな感じを象徴している気がします。

林山　「一日だけヒーロー」で吉田が弾くギターソロって僕らもいつ終わるのかわからないんですよ。さらに吉田だって、いつ竹田さんがギターを弾き始めて、歌に入っていくのかもわからない。なんかそういう予測できないことがライブにはあってもいいんじゃないかなって思ってます。