Uru|より自分らしく、新しい色を

ぴょんぴょん飛び跳ねて歌いました

──シングル曲のバラード「願い」(2019年9月発売の8thシングル表題曲)を挟んで7曲目の「Don't be afraid」も、また今までとは色味が違います。

はい。これは私のライブのサポートでピアノを弾いてくださっているHidenoriさんが「こんな曲、どうです?」と作ってくださった曲で。けっこう前からあった曲なんですけど、すごく好きだったので「今回のアルバムに入れていいですか?」と声をかけたら「ぜひ」ということで、入れさせていただきました。

──ゴスペル感のある、アッパーで陽性な曲ですね。

はい。おっしゃる通りゴスペルっぽいメロディなので、アレンジャーの渡辺シュンスケさんもそれに合った要素を入れてくださって。

──個人的に、Uruのイメージとはもっともかけ離れた曲でした。

そうですね。ぴょんぴょん飛び跳ねて歌いました。

──以前のインタビューで「動きながら歌うタイプではない」とおっしゃっていませんでした?(参照:Uru「星の中の君」インタビュー

言っていました(笑)。でも、こういう明るい曲のときは動きますね。歌っていてすごく楽しかったです。

──この「Don't be afraid」から、先ほど少し触れた8曲目の「頑な」に続くわけですが、「頑な」が透明感のあるシリアスなミディアムバラードなので、その対比も鮮やかです。

ありがとうございます。9曲目の「いい女」がズーンと重いバラードだったので、間にミディアムでワンクッション置きたかったというのもありますね。

──その「いい女」は、「モノクローム」に収録されていた「いい男」と対になる曲ですよね?

そうです。「いい男」を書いて1stアルバムを出してから、女性バージョンも書いてみたくなって。これもやはり妄想スタートですね。

──終盤の歌詞が特にいいですね。「あの時別れなければ良かったって 戻ってきたいって言ったって その時私にはもうとっくに新しい人がいて あなたのことなんて忘れているんだから」といった、負け惜しみ?

強がりで(笑)。

──それを受けての「さよなら」の声が震えている感じが素晴らしいなと。

震えている感じを受け取ってくださいましたか。そうなんです。強がってはいるけれど……みたいな。「いい男」のときもそうだったんですけど、この「いい女」は部屋を暗くして、座って、脱力し切って歌った曲なんですよ。その状態から、たぶん自然に出てきた震えだと思います。

2019年3月10日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された「Uru LIVE『T.T.T.』supported by uP!!!」の様子。(撮影:西槇太一)

気持ちが温かくなるような空気をまとわせたくて

──12曲目の「横顔」は、とてもUruさんらしいスローバラードだと思いました。作詞、作曲は「Don't be afraid」と同じくHidenoriさんですね。

Hidenoriさんはデビュー曲の「星の中の君」(2016年6月発売の1stシングル表題曲)を書いてくださった方なんですけど、この「横顔」はHidenoriさん色がすごく強い曲だなと聴いた瞬間に思いました。だから私の曲を1stシングルから聴いてくださっている方は、ちょっと懐かしい気持ちになるかもしれないですね。

──今おっしゃった「Hidenoriさん色」って、言葉にできます?

輪郭が淡いというか、境界線が見えないというか……ひょわああ……っていう感じです。

2019年3月10日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された「Uru LIVE『T.T.T.』supported by uP!!!」の様子。(撮影:西槇太一)

──「ひょわああ……」ですか。

あんまり言葉になっていないですね(笑)。とにかく、柔らかくて優しい感じです。Hidenoriさんご本人にちゃんと許可を得たうえでお話しするんですけど、「横顔」は亡くなったお父様のことについて書かれた曲だそうなんです。なので私もレコーディングする前に「どんな気持ちで歌ったらいいですか?」と聞いたところ、お父様が残したメモの写真を送ってきてくださって。そのメモには「ヒデの曲をいつまでも待ってる。素晴らしい曲を」と書かれていたんです。そんなお父様とHidenoriさんにはいつも一緒に見ていた海があったそうで、「その景色をイメージで歌ってださい」と。レコーディングのとき、私も譜面台にそのメモの写真を置いて、それを見ながら歌いました。

──「横顔」とは、お父さんの横顔なんですね。

そうですね。でも、それはあくまでHidenoriさんの個人的なエピソードが背景にあるということであって、解釈は聴いてくださる皆さんにお任せします。

──「横顔」でのUruさんのボーカルはとても穏やかというか、包容力を感じました。

歌うときのテンションは正直、ちょっと難しかったんです。曲はバラードとしてしっとりしていながらも、聴いたときに気持ちが温かくなるような空気をまとわせたくて。

──そういう歌になっていると思います。

だとしたらうれしいです。

より熟した歌をお届けしたい

──「オリオンブルー」の初回盤Bには、アクエリアスのCMソングに使用された「Funny Bunny」(the pillows)ほか全8曲のカバー曲が収録されたカバー盤が付いています。最初のほうでおっしゃっていたようにカバーはUruさんの原点ですが、この選曲の基準は?

新旧問わず、平らな感じにしたいというのは意識しているんですけど、基本的にはシンプルに私が歌いたいと思った曲です。あとは、周りの方に「この曲どう?」と提案していただいた曲を聴いてみて「いいなあ」と思った曲だったり。

──確かに原曲がリリースされた年代も幅広いですよね。僕は世代的に「このまま君だけを奪い去りたい」(DEEN)がブッ刺さりました。

私も大好きな曲です。

──カバー曲を歌う際、原曲に対するプレッシャーなどは感じませんか?

感じますね。特に中島美嘉さんの「雪の華」は、私の中ではあの中島さんのすごくキレイなファルセットありきの曲になっているので、最初はなかなか自分の「雪の華」というのが見えなくて。でも、これは「雪の華」に限ったことではないんですけれど、原曲のよさはいったん置いて「私が歌うとしたら……」と腹を括るしかないし、そういう挑戦も含めて、やっぱりカバーするのは楽しいですね。

──アルバムのリリースに合わせて初のツアー「Uru tour 2020『Orion Blue』」が予定されています(取材は3月上旬に実施)。が、その前に、先日、うるう日のリクエストライブ「Uru Live『Precious One day ~Uru-u Year 2020~』」が延期になってしまい、残念です(参照:Uru、うるう日ライブ延期を受けて「プロローグ」スタジオライブ映像公開)。

私としてもとても残念ですし、ファンの皆さんに対しても申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど、延期になってしまったぶん、振替公演までの期間でより熟した歌をお届けしたいです。足を運んでくださった方々が「延期になっちゃったけど、やっぱり来てよかったな」と思えるライブにできるよう、今リハーサルを重ねているので、がんばります。

──今後開催が予定されているツアーに関してもひと言お願いできますか?

ライブ自体が1年ぶりくらいになってしまうので、私自身、ステージに立ったときの感覚というのがまだちょっと想像できないんです。でも、この「オリオンブルー」には私がお伝えしたかった私の色とういか、自分らしさみたいなものが凝縮されているので、それを早くライブでも披露したいです。おっしゃっていただいたように、今まで歌ったことのない曲もあるので、ステージの印象も変わるんじゃないかなと。

──ぴょんぴょん飛び跳ねているUruさんが見られるかもしれない。

それはまだわからないんですけれど(笑)。でも、曲によって、それこそ声色で違った色を出していけたらいいなと思っているので、楽しみにしていてほしいです。

ツアー情報

Uru tour 2020「Orion Blue」
  • 2020年4月12日(日)大阪府 NHK大阪ホール
  • 2020年4月25日(土)東京都 昭和女子大学 人見記念講堂
  • 2020年5月2日(土)愛知県 名古屋市公会堂(※振替公演)
2019年3月10日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された「Uru LIVE『T.T.T.』supported by uP!!!」の様子。(撮影:西槇太一)