ナタリー PowerPush - UNLIMITS
バンド史上初のシングルは渾身の勝負曲
単純に明るい曲は作れない
──カップリングには「夜風ドライブ」という新曲も入ってますね。
清水 これはイントロのリフが一番初めにできて、そこから最初の4行がメロディと同時に降りてきたんですよ。今までにないようなタイプですね。すごくポップに聴こえるけど、実は悲しい世界観の歌詞で。自分は1人で車を運転するのがすごい好きなんですけど、そういう誰にも邪魔されない空間だと「自分って空っぽだなあ」とかいろいろ考えることが多くて、「このままどっか行っちゃおうかな」みたいな衝動に駆られるというか。そういう気持ちを書いたんですよね。Dメロでは、ここで今生きてる意味みたいなことまで入ってきちゃってますね(笑)。
郡島 一見爽やかそうだけど、Dメロで「ああ、こう来たな」っていう感じでしたね。生々しさが出てるのですごくいいと思います。そういうところがないと肩透かしをくらっちゃうというか、納得できない感じもあるので、きっと「おいおい、なんだコレは!?」って言ってたと思います。
清水 単純に明るい曲って多分作れないんですよ、自分は。そういう人間なんで。ちょっぴりの寂しさとか辛さがあるからこそ、ほかが輝いて見えると思うんですよね。「がんばろうぜ」「行こうぜ」っていうことだけを歌うのはやっぱどうしてもできないですね。
──生きてる意味を見失いそうになりつつも、ちゃんと未来に進んでいきたいんだという意志はしっかり描かれていますからね、この曲にも。
清水 そうですね。歌詞のように「新しいドアの向こう側へ」行きたいんですよね。なんかこういう言葉って昔だったら照れくさくて書けなかったんですけど、今はすんなり書けました。
──実際、ドライブしながら聴いたら気持ち良さそう。
清水 ぜひドライブしながら聴いてほしいですね。私、THE GET UP KIDSがすごい好きでトリビュートにも参加したことがあるんですけど、ギターのリフはああいうのをやりたいなと思いながら作ったんですよ。あと、この曲も実は録り終わった後にみんなが「すげえいいんじゃないか」ってザワザワしたので、またとっとくことになったら大変だと思ったんですけど(笑)、すぐ出せることになったのでたくさんの人に聴いてもらいたいですね。こっちもすごく気に入ってます。
ライブにぜひ来てほしい
──シングルにはさらにライブ音源も収録されています。初回限定盤には「偽りの世界」と「ハロー」、そして通常盤にはその2曲に加えて「クローバー」も。これはもう両方買わなきゃ。
郡島 両方買ったほうがいいですね(笑)。タイトル曲だけでは伝わらないUNLIMITSの違った側面というか、もっとドロッとした曲もあるんだよっていうことを伝えたかったし、やっぱりライブを観てほしいって気持ちがあるので、今回はライブ音源を入れさせてもらいました。
清水 お客さんの声も入っているので、臨場感は感じてもらえると思います。これを聴いてぜひライブにも。
──そんなライブですが、9月11日には中国のフェス「泰山MAO ROCK FESTIVAL」に参加されるそうで。
清水 初海外なんですよ。みんなあわててパスポートを取ったっていう(笑)。このあいだの「トランキライザー」ツアーのファイナルを事務所の会長が観に来てくれて、すごく褒めてもらったんですね。そうしたら「中国でやってこい!」って言ってくれて。「押忍!」みたいな(笑)。
郡島 武者修業的な感じだよね。すごく大きなイベントで、日本からもそうそうたるメンツが出るみたいなので、とにかくがんばります。
清水 これをきっかけに海外も視野に入れてがんばっていきたいですね。
──そして11月には自主企画イベント「夢幻の宴 ~ハルカカナタ~」が東名阪で開催されることも決まっています。今回のシングルで、新たなファンが参加してくれそうですね。
郡島 そうですね。ゲストを迎えて3バンドぐらいでやろうかなと考えてます。
清水 自分らの持ち時間もすごく長い予定なので、いろんな曲を聴いてもらえると思います。ぜひ遊びに来てほしいですね。
初回盤CD収録曲
- ハルカカナタ
- 夜風ドライブ
- 偽りの世界 (Live ver.)
- ハロー (Live ver.)
初回盤DVD収録内容
- 「ハルカカナタ」ビデオクリップ
通常盤CD収録曲
- ハルカカナタ
- 夜風ドライブ
- 偽りの世界 (Live ver.)
- クローバー (Live ver.)
- ハロー (Live ver.)
UNLIMITS(あんりみっつ)
結成は2002年。メンバーチェンジを経て、2006年8月に現在の清水葉子(Vo, G)、郡島陽子(Dr, Vo)、石島直和(B, Cho)、大月義隆(G, Cho)の4人編成となる。2005年に初の音源となるミニアルバム「七色の記憶」をリリース。清水、郡島の女性ツインボーカルが織りなすハーモニーと日本語の響きを重視した歌詞、力強く情熱的なサウンドで人気を集め、2008年にはSUM 41の来日公演オープニングアクトを務めたことでも話題を呼んだ。2010年8月4日リリースのミニアルバム「蒼-アオイ-」から所属レーベルをSony Music Recordsに移籍。その後も精力的なライブ活動を続け、2011年2月にメジャー初のフルアルバム「トランキライザー」をリリース。9月7日リリースのニューシングル「ハルカカナタ」は、テレビアニメ「BLEACH」のエンディングテーマに起用された。