ナタリー PowerPush - UNLIMITS

バンド史上初のシングルは渾身の勝負曲

UNLIMITSが約7カ月ぶりにリリースする新作は、キャリア初となるシングル「ハルカカナタ」。アルバム「トランキライザー」制作時に生まれた曲ながらも、その仕上がりの良さからあえて温存していたという勝負曲だ。しかも本作はアニメ「BLEACH」のエンディングテーマに起用されるという大型タイアップによって、これまで以上に広範囲へと拡散させる準備は整った。さあ、いよいよUNLIMITSの存在がシーンでハジけるときが来た! ナタリー3度目の登場となる今回は、清水葉子&郡島陽子の女性チームに話を訊いた。

取材・文 / もりひでゆき

「ハルカカナタ」は渾身の1曲

──新曲となる「ハルカカナタ」は、今年2月リリースのアルバム「トランキライザー」以降に生まれた曲ですか?

清水葉子(Vo, G) いや、これ実はアルバムを作ってるときに一緒にレコーディングしたんですよ。

郡島陽子(Dr, Vo) 「トランキライザー」の候補の中の1曲だったんで。

──アルバムに入れなかったのはどうしてですか?

郡島 出来が良かったからです(笑)。メンバーも周りのスタッフの人たちも同じ意見でしたね。レコーディングが終わった後に、これはすごい曲になるぞっていうザワついた感じがあったんで、じゃあとっておこうと。その時点ではシングルのことはちゃんと決まっていたわけではなかったんで「いつ出せるんだろうな」って思っていたら、ちょうど「BLEACH」のタイアップのお話をいただいて。キター!みたいな(笑)。ついに世に出せるうれしさが。

──キャリアの長いUNLIMITSですが、シングルという形態でのリリースは初めてなんですよね。

清水 そうですね。出してみたい気持ちはあったんですけど、なんとなく曲を増やしてミニアルバムにすることが多かったんですよ。でも今回は、この曲だったらシングルで勝負できると思ったんで。

──しかもアニメのエンディングテーマということで、より多くの人の耳に届くことにもなりますし。

清水 なんか昔の友達から、電話とかメールとかいろいろ来ました。「葉子ちゃんのバンド、今テレビで見たよ!」「バンド続けてたんだね」みたいな。そういう連絡が何件も。

郡島 私もあった! 友達が増えましたねえ……。

──なんかちょっとイヤそうな感じですけど(笑)。

郡島 こういうときだけかよ、みたいな気持ちもちょっとありつつ(笑)。

清水 アハハハ(笑)。でも昔の友達がテレビで聴いてくれた後、自分でチケット取ってライブに来てくれたりもしたんですよ。それはもううれしかったですね。普段、ライブに行かないような子が来てくれるようになるっていうのはバンドとして大きな一歩なのかなと思って。

郡島 ああ、そうだね。私は親が「BLEACH」をビデオに録って観てたのにちょっと感動しました。やっててよかったなあと思って。

ダサさとカッコよさの絶妙なブレンド

──そんな重要な楽曲はどうやって形になっていったんでしょうね?

清水 これ、自分で作ったときは「このベタベタな感じ、うわー」って思ったんですよ(笑)。メロディだけ聴くと、ベタに昔懐かしい歌謡曲の感じだから「大丈夫かな!?」って。でもバンドで合わせて、ソリッドな演奏と結構速めのリズムでやってみたことで「イケる!」と思えたというか。そういうバンドマジックがかなりありました。UNLIMITSの曲はただカッコいいだけじゃなく、どこか引っかかる部分――ダサさとカッコよさの絶妙なブレンドが大事だと自分は常々思っているので、そのへんはかなりうまくいったと思います。

──そういう意味ではUNLIMITSの王道が詰まっている曲でもあるわけですね。

清水 そうですね。でも同時に、周りのバンドの人たちにはすごく新しいよねとも言われるんですよ。今までにないタイプで、すごくライブ映えするねって。自分たちらしさは失わないようにしたいけどバンドとして常に新しさを求めてはいるので、そこもかなり出たのかなと思いますね。

──実際のアレンジ作業はいかがでした?

清水 これは結構すんなり進みました。曲自体はイントロの静かなアルペジオからできて、そこから組み立てていったんですけど、その後のギターリフはアレンジの段階で大月(義隆)が入れてくれて。彼はギターリフに時間をかけることが多いんですけど、今回は曲を持っていったらすぐにこのリフをつけてましたね。みんなの見てる方向がバッチリ一緒だったので、全体的にほとんどモメずにできました。そういうときには名曲が生まれることが多いですね。

郡島 メンバーそれぞれが「もうこれしかないだろ!」みたいな感じだったんじゃないですかね。

1stシングル「ハルカカナタ」 / 2011年9月7日発売 / Sony Music Records

  • 初回生産限定盤[CD+DVD]1600円(税込) / SRCL-7711~7712 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD]1200円(税込) / SRCL-7713 / Amazon.co.jpへ
初回盤CD収録曲
  1. ハルカカナタ
  2. 夜風ドライブ
  3. 偽りの世界 (Live ver.)
  4. ハロー (Live ver.)
初回盤DVD収録内容
  • 「ハルカカナタ」ビデオクリップ
通常盤CD収録曲
  1. ハルカカナタ
  2. 夜風ドライブ
  3. 偽りの世界 (Live ver.)
  4. クローバー (Live ver.)
  5. ハロー (Live ver.)
UNLIMITS(あんりみっつ)

結成は2002年。メンバーチェンジを経て、2006年8月に現在の清水葉子(Vo, G)、郡島陽子(Dr, Vo)、石島直和(B, Cho)、大月義隆(G, Cho)の4人編成となる。2005年に初の音源となるミニアルバム「七色の記憶」をリリース。清水、郡島の女性ツインボーカルが織りなすハーモニーと日本語の響きを重視した歌詞、力強く情熱的なサウンドで人気を集め、2008年にはSUM 41の来日公演オープニングアクトを務めたことでも話題を呼んだ。2010年8月4日リリースのミニアルバム「蒼-アオイ-」から所属レーベルをSony Music Recordsに移籍。その後も精力的なライブ活動を続け、2011年2月にメジャー初のフルアルバム「トランキライザー」をリリース。9月7日リリースのニューシングル「ハルカカナタ」は、テレビアニメ「BLEACH」のエンディングテーマに起用された。