「夢幻シンドローム」が最大のライバルだった

──制作はいつごろから行っていたんですか？

清水葉子（Vo, G）　前回のフルアルバム（「夢幻シンドローム」）を作り終えたときから次のフルアルバムに向けて曲をたくさん作っていたので、正確にはちょっとわからないですけど、制作期間はけっこう長かったと思います。

──その間、「茜-アカネ-」「蒼-アオイ-」という2枚のミニアルバムをリリースしましたが、そこで手に入れた感触を経て生まれた曲もあります？

清水　それもありますね、うん。あの2枚でけっこう新しい自分たちみたいなものを出せたんで、もっともっと行けるだろうっていう気持ちで今までにない感じの曲を作れて。なので、すごく前からあった曲も入っているし、最近ギリギリにできた曲たちも入っている感じです。

──今回のアルバムは1曲1曲がものすごく濃い仕上がりだなと思いました。メロの良さはこれまで以上に際立っているし、アレンジはめちゃくちゃ多彩だし、新しい表情も感じられるし。

大月義隆（G）　「夢幻シンドローム」が出てから今日までのUNLIMITSが詰まってる感じだと思いますね。ここまでの集大成というか。ただ、集大成としてまとめて終わりっていうよりは、もっと次の作品につながる感じというか、この先もまた鋭くやっていけそうっていう感触も詰め込むことができた気がします。

石島直和（B）　今まで以上に聴き手をいい意味で意識できたっていうのも、すごく大きかったんじゃないかなって思いますね。1曲1曲が濃いって思っていただけたのも、もしかしたらそういう部分が影響しているのかなぁって。

郡島陽子（Dr, Vo）　1曲1曲に対する愛情を、まんべんなく全部の曲に入れることができたんですよ。そういう意味ですごく愛のある作品になったと思いますね。

清水　私の中では「夢幻シンドローム」が最大のライバルだったんですね。それを超えなきゃっていうプレッシャーもあったけど、結果として何回でも聴きたくなるようなCDができたなと思ってます。

──じゃ、ズバリ前作を超えたと。

清水　いや、なんかもう順位とかではなく（笑）、同じ額縁に入れたいって思える作品ができたなって。

レコーディングが終わったら抜け殻だった

──制作においては今回も合宿をしたそうですね。

清水　3回ほど。

大月　「蒼-アオイ-」を出した後は1回だけかな。

清水　今回は結構苦戦したイメージがありますね。合宿所の人に「今までで一番マジメにやってたね」って言われて。一番ビールの空き缶の本数が少なかったみたいです（笑）。

郡島　全然飲まなかったもんね。

──合宿では飲むことも大事だって前回おっしゃってましたよね。

清水　そうですね。飲むのは大事なんですけど、今回はそれ以上に煮詰まる場面が多くて。今まで結構いろんなタイプの曲をやってきたので、アレンジ面でのバリエーションっていう部分でかなり煮詰まったんです。で、酒の本数も減ったっていう。けっこうヤバかったですね。制作以外にライブもあったんで、めまぐるしすぎて放心状態みたいな。

郡島　年末にレコーディングが終わった後は、みんな抜け殻みたいになってましたからね。

清水　なってた、なってた。終わったら浴びるほど飲んでやろうと思ってたけど、それもできないぐらいグッタリ。抜け殻になるぐらいのものがこのアルバムには詰まってます（笑）。

郡島　注ぎましたからね、魂を。