ナタリー PowerPush - UNLIMITS
リスナーの“精神安定剤”を目指した 2年8カ月ぶりフルアルバム
聴いてくれる人の精神安定剤になれれば
──前回の「蒼-アオイ-」で見え始めていたUNLIMITSのブライトサイドも、今作ではより開いてきた感じがしますね。
清水 ですね。やっぱり前回「ファンタジーファンタジー」って曲ができたのはデカイと思います。ミニアルバムでそういうブライトサイドに挑戦できたことが自信になったというか。昔だったらボツにしちゃうようなメロディラインでも、今は積極的にやろうって思えるようになった感じはありますね。
──「ハロー」は強力な1曲ですよね。ものすごく明るくて爽やか。
清水 超爽やかだなと思いながら、ちょっとはにかんじゃうぐらいの感じでメンバーたちに聴いてもらったら「すごくいいじゃん」って言ってくれて。アレンジはけっこう時間がかかることが多いんですけど、この曲はすんなり行きましたね。みんなが向いてる方向が一緒だったんです。
──歌詞に関しても前を向いている内容が多いですよね。
清水 ですね。わかりやすい言葉を使えるようにもなりましたし。
郡島 1曲1曲激しいんですけど、最終的には前向きの光が見えてくるような歌詞を書けたと思っているので、聴いてくれる人のトランキライザー(精神安定剤)のような存在になれればいいかなと思って。
──なるほど。そこからアルバムタイトルが決まったんですか。
郡島 元々は響きと字面のかっこよさからチェックしてたワードだったんですけど、アルバムの内容ともわりとリンクするのでいいかなぁって。
清水 聞いた瞬間、これしかないって思いました。でも、ほんとは自転車につけようとしてた名前なんでしょ?
郡島 そうそう。自転車につけようと思って隠し持ってた言葉でもあって。それをアルバムのために差し出したんです。
──自転車の名前にも使えばいいじゃないですか。トランキライザー号みたいな。
郡島 あぁ、そうですね。でもまだ自転車を購入してないので。
清水 購入してないんだ(笑)。
──でもサウンド的には、精神が安定するどころかボンと跳ねあがっちゃいそうな感じもありますよね。気持ち良すぎて。
郡島 うん。行っちゃうときは行っちゃえよっていう感じですかね。一緒に行ってやる、みたいな気持ちもあるので。
ツアーでは電気と水道が止められないようにしたい
──3月からは本作を引っ提げたロングツアーもスタート。ファイナルは東名阪でのワンマンです。
大月 去年は80何本、一昨年は100本ちょっとライブをやったので、そんなにロングツアーって感じもないんですけどね。楽しみだなっていう気持ちが強いです。
石島 不安もありますけど、今までよりも達成感のあるツアーになればいいですね。ワンマン3本終わった後に、また抜け殻のようになれれば。
郡島 ジマさんは1回、長いツアー周って帰ったら家がなくなってたことがあるから、それが不安なんだよね。トラウマになってて(笑)。
石島 そうなんですよ。電気と水道が止められてたりとか。今回はそうならないようにはしたいですね。
清水 ライブは毎回違うものになるので、今回のツアーも未知ですね(笑)。ワンマンもどうなるのか想像つかないです。でも、このアルバムの曲たちをどう表現して、どう成長させていこうかっていうのが楽しみですね。
UNLIMITS(あんりみっつ)
結成は2002年。メンバーチェンジを経て、2006年8月に現在の清水葉子(Vo,G)、郡島陽子(Dr,Vo)、石島直和(B,Cho)、大月義隆(G,Cho)の4人編成となる。2005年に初の音源となるミニアルバム「七色の記憶」をリリース。清水、郡島の女性ツインボーカルが織りなすハーモニーと日本語の響きを重視した歌詞、力強く情熱的なサウンドで人気を集め、2008年にはSUM 41の来日公演オープニングアクトを務めたことでも話題を呼んだ。2010年8月4日リリースのミニアルバム「蒼-アオイ-」から所属レーベルをSony Music Recordsに移籍。その後も精力的なライブ活動を続け、2011年2月16日にメジャー初のフルアルバム「トランキライザー」をリリースする。