UNISON SQUARE GARDENの配信ライブ「fun time COUNTDOWN 2021-2022」が、12月31日(金)22:30より開催される。
2021年は2月スタートの「Normal」を皮切りに、4本もの全国ツアーを開催してきたユニゾン。2020年以上に精力的なライブを展開した1年の締めくくりとして、彼らは昨年に続き大みそかに配信ライブを行う。
音楽ナタリーではライブを前にUNISON SQUARE GARDENの田淵智也(B)、今回ゲストとして出演する女王蜂よりアヴちゃん(Vo)の対談を実施。シンパシーを抱いているという互いのバンドへのリスペクト、ライブに対するこだわり、今回の配信ライブに向けた意気込みなどについて語り合ってもらった。
取材・文 / 森朋之撮影 / 森好弘
配信ライブ情報
UNISON SQUARE GARDEN Presents「fun time COUNTDOWN 2021-2022」
2021年12月31日(金)OPEN 21:30 / START 22:30 / END 24:00
出演者
UNISON SQUARE GARDEN / 女王蜂
チケット情報
前売:3000円(税込)
販売期間:2021年12月30日(木)23:59まで
当日:3500円(税込)
販売期間:2021年12月31日(金)0:00~23:59
UNICITY限定視聴チケット:3300円(税込)
販売期間:2021年12月30日(木)23:59まで
※特典映像:「UNICITY」会員限定“新春ミニライブ”
「いいライブってなんだろう?」の答えは女王蜂のライブ
──最初にお互いのバンドのことを認識したのはいつ頃ですか?
田淵智也 女王蜂は、インディーズの頃から僕らの周りで名前が轟いていて。
アヴちゃん そうなんや!
田淵 うん。下北沢や代々木のライブハウスで「女王蜂っていうすごいバンドがいる」というのは聞いてたんだけど、何年かして、映画「モテキ」の主題歌(「デスコ」)でバーン!と出てきて、「あの女王蜂がついに来た!」って。
アヴちゃん ふふふ。私がUNISON SQUARE GARDENを知ったのは2009年。関西のフリーペーパーで、田淵さんがモーニング娘。の「LOVEマシーン」のすごさを鬼語りしてて。
田淵 ハハハハハ。
アヴちゃん ちょうど「マスターボリューム」が出た頃だと思うんです。それから5年くらい経って、2015年の日本武道館で初めてライブを観させてもらったんです(参照:ユニゾン初武道館ワンマン「大事な皆さんの大事なバンドでありたい」)。そのときに楽屋でご挨拶して、「いつか競演させてほしいです」って話したんです。
田淵 うん。その年の年越しイベントで初めて一緒になったんですけど、渋谷のクアトロの楽屋で1時間半くらい話したよね。
アヴちゃん そう、2人もなぜかキレ散らかしていて(笑)。あとは私、今年LiSAさんに「GL」という曲を提供させてもらって。LiSAさんと田淵さんはずっとゴールデンコンビを組んでるから、LiSAさんに「田淵さんってどんな人なんかなー?」ってこの前聞いてたりしました。
──なるほど。お互いのライブの印象は?
アヴちゃん ストイックなライブが好きなんですよね、お互い。初めて観た武道館のときもそうだったんですけど、ユニゾンは楽曲を連ねることで文脈を生み出して、「受け取りな!」という感じのライブをやっていて。あの日唯一のMCで斎藤(宏介 / Vo, G)さんが話したことも、引っ越ししたことだったり、後頭部のほう、後ろまでお客さんがいることくらいだったんです。
田淵 よく覚えてるね(笑)。
アヴちゃん ふふふ。印象的だったのは、ライブが終わったあと、田淵さんが「今日のセットリストはマジで最強」って言ってたこと。ライブのやり方もそうやし、セットリストにこだわっていることにもシンパシーを感じてました。
田淵 僕、女王蜂のライブめちゃくちゃ好きなんですよ。
アヴちゃん うれしい!
田淵 活動休止して復活してから、さらに曲がカッコよくなって、ライブもすごい次元になって。初めて女王蜂のワンマンを観たのは2019年なんだけど、その頃、「いいライブってなんだろう?」とすごく考えてたんです。女王蜂のライブはガーッと曲をやり続けて、MCもまったくなく、1時間半くらいで終わる。それがすごくよくて、「自分が観たかったのはこれだ!」と。
アヴちゃん うん、うん。
田淵 1回も音が途切れず、こっちの集中力もずっと続いて、気付いたらライブが終わってる。これが理想だなって超感動したんです。知り合いのミュージシャンや作家にも「女王蜂のライブは絶対に観たほうがいい」って声をかけて、その年の聖誕祭(「アヴちゃん聖誕祭2019」)にみんなで行ったんですよ。
アヴちゃん え、クリスマスに来てたん? ウケる(笑)。
田淵 どちらかというとファン向けのイベントだと思うんだけど、感謝祭みたいな感じではなくて、やっぱりガーッと曲をやってて。一緒に行った連中も「すごい」って言ってましたね。
アヴちゃん ライブはいつも挑戦だし、曲をどう連ねて、どう生まれ変わるか?ということを突き詰めているんです。曲の力を信じてるからこそアレンジもアップデートさせ続けているし、歌もそうで、よくなることに終わりはない。なので私たち、ライブ前のスタジオ練習の時間がすごく長いんです。レコーディングはそんなに時間がかからないんだけど、ライブのリハはたくさんやってたりします。
田淵 なるほど。
ステージでは自分の中にある一番素直な部分を並べられる
アヴちゃん そのやり方はずっと変わらないですね。この前の神戸の公演(12月3日の神戸国際会館こくさいホール)のとき、昔お世話になった人たちがたくさん観に来てくれたんやけど、その全員が口をそろえて「最初からバキバキにやってたけど、そのままでここまで来たんやね」って言ってて。田淵さんも観に来てくれて、熱っぽく語ってくれました。
田淵 相変らずめちゃくちゃよかったからね。僕はライブを褒めるときに「爆笑」って言葉を使っちゃうんだけど、そういう瞬間が何度もあって。曲を途切れさせない構成もさらにすごくなってたし、緊張と緩和の使い方もうまい。しかも意図してやってるというより、ただ好きなようにやってるようにしか見えないんです。お客さんも自由に盛り上がって、ジュリ扇を振りまくって。
アヴちゃん 換気ですね(笑)。
田淵 (笑)。そのときも「やっぱりロックバンドはこれでいい」と思わされました。ライブで高揚がずっと続くことが大事だし、それがなくなると観ている側が「次は行かなくてもいいかな」と考え直す理由になってしまうと思うので。ユニゾンのライブもそこはすごく気を遣ってるし、だからこそセットリストに執着するんですよね。あと、アヴちゃんはワンマンでもほとんどMCをしないんだけど、それもよくて。うらやましいです(笑)。
アヴちゃん (笑)。ファンサービスは楽しくファンクラブでやってるから。私はSNSの使い方が下手で、お気に入りの写真をアップして「イエイ」みたいなことしかできないんだけど。
田淵 ハハハ。
アヴちゃん そういうことも大事だとは思うんです。私たちはずっと今を生きていて、常に老いていくし、そのたびに賢くもなるし自由にもなるんだけど、時計を持たされているような感覚もある。それをわかったうえで、楔を打つように作品を残しているわけじゃない?
田淵 うん。
アヴちゃん ライブはそんなことを全部飲み込んでしまえる場所なんです。ステージに立っていると一番正しく時間が過ぎるし、息もしやすくて。自分の中にある一番素直な部分、宝石みたいなものをグワーッと取り出して並べ立てることができる。なのでライブは絶対に必要。バンドって120%出力しても壊れないシステムやから。そこはもう完全に信頼してますね。
田淵 女王蜂のライブを観ていて、シンパシーを感じつつも、「どういう回路でこうなってんだろう?」と思うこともあって。今の話を聞いてわかったけど、単純にバンドが好きなんだろうね。
アヴちゃん そう、大好き! 素敵な方にレコメンドしてもらえるだけじゃなくて、ライブに来てくれて「次も楽しみ」って言ってもらえるのはめちゃくちゃうれしいし、私もユニゾンに対してシンパシーを感じていて。表現のエッジはもちろん、「そこで魂は売りません」という姿勢もすごくいいなって。そんなバンドが偶然にも同じ事務所にいて、こうやってお話しできたり、配信イベントでご一緒できるなんて本当に素敵なことだと思っています。
田淵 僕としてもアヴちゃんと話すと、バンドマンとしてチューニングが合ってくる感覚があるんですよ。楽曲提供とかいろんなことをやっているし、スイッチの切り替えは器用にできるほうなんだけど、信頼しているバンドマンと話すことで「よし、バンドがんばるぞ」と思えるんです。
アヴちゃん 田淵さん、頭いいから。頭がよくて、物事がわかってるって、つらいはず。でもバンドはドーン!とやればそれだけで最高だから、本当にラクちんなんです。
田淵 バンドが最高だと思うのは、まさにそこで。わざわざ噛み砕いて説明する必要もなくて、デカい音でドーンとやればいいだけなので。
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配信ライブは1回限り、初日でファイナル