ナタリー PowerPush - __(アンダーバー)

フリーダムの秘密を明かしてみた

フリーダムばかりを評価されることへの反骨精神がフツーダム

──ここまでフリーダムについてのお話を伺ってきましたけど、__(アンダーバー)さんにはもうひとつフツーダムというカテゴリーもありますよね。いわゆる普通に、ふざけず歌う楽曲なのですが。

4月7日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された「EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11thANNIVERSARY SPECIAL-」の模様。

ワイワイ騒いで歌うフリーダムは自分としてもめちゃくちゃ楽しいんですけど、その一方ではうまくカッコよく歌うことへの憧れもあったんですよ。で、ボカロ曲にはマジメな内容のものやバラードもあるので、それはさすがにフリーダムではできないだろうということでフツーダムが生まれたんですよね。

──そこでの声が「イケボ(イケメンボイス)」という評価を得ていますよね。

昔から自分の声がコンプレックスだったから、「アレ? そうなの?」ってちょっと不思議な気分ではありますね。まあでも僕の場合、フリーダムばかりを評価されることが多いので、フツーダムもどうにかしてたくさんの人に聴いてもらいたいという、ちょっとした反骨精神のような思いもありまして。自分なりに歌の勉強をしたり、特訓をしたりもしたんですよ。なので、イケボと言われるのは素直にうれしいですね。あとはフリーダム曲の中でフツーダムな歌い方をしているところもあるので、そのギャップもまた面白いんじゃないかなと思うんですよ。その両方があってこその__(アンダーバー)なのかなって。

──昨年7月にリリースされた1stアルバムがフツーダムをフィーチャーした内容だったのも反骨精神の表れですかね。

そうですね(笑)。アルバムを出すってなったときに誰もが「フリーダムだろう」と思ったはずなんですよ。だからこそ想像の外から攻めてみようと。ちょっと焦らす気持ちもありましたね。ただ、結果として「フツーダムもなかなかいいじゃん」って言ってくださる方がグンと増えたので、すごく意味があったとは思います。

「歌ってみた」カテゴリーからそろそろ飛び出した活動をしてみたい

──そして今回リリースされるのが、満を持してのフリーダム全開アルバムなわけですが。

焦らして焦らしてドーンと出す感じなので、内容的には……だいぶキてますね(笑)。すべてがもう騒がしいです。フツーダムの曲も少し入ってるんですけど、それをかき消す勢いでうるさい。たぶん聴き終わる頃にはヘトヘトになっちゃうんじゃないかな。いろんな種類のフリーダムが楽しんでもらえる、__(アンダーバー)の集大成的な1枚だと思いますね。

──デッドボールPさん作詞作曲の「アンダバダバダー星人VSおっぱい星人」と、YMさん作詞作曲の「オマツリアンドゥワールド」という2編の書き下ろし楽曲も収録されていますね。

はい。フリーダムの書き下ろしをしてくださいっていうお願いをしたところ、「なんだよ、それ。フリーダムにするのは__(アンダーバー)の仕事じゃないのかよ!」って言われましたけどね(笑)。ただ、デッドボールPさんはかねてからそういう曲を考えてくれていたようで、「サビは俺が書くから、AメロBメロは好きに歌ってよ」っていう作り方を提案してくれて。ちょっと新しい作り方だったのですごく楽しかったです。YMさんの曲に関しては、1曲全部作っていただいたものを僕が改めてフリーダムにするいつもの手法で作りました。おふた方とも個人的に大好きなボカロPさんなので、僕のために曲を作っていただけるのはすごく光栄でした。

──そして、__(アンダーバー)さんオリジナルの新曲「Under The King」も。

4月7日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された「EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11thANNIVERSARY SPECIAL-」の模様。

__(アンダーバー)の活動っていうのは、アンダーバー星に住むアンダーバー王が地球を侵略するためのものなんですよ。……っていう設定が、いろんなところで適当なことをしゃべってるうちにいつの間にかできてしまったので(笑)、それを生かした曲を今回作ってみたんです。ある種、僕の世界のテーマソングと言いますか。

──フリーダムに関しては、そういった設定が面白さを加速させる役割もありそうですよね。それこそ自由に世界観がどんどん広がっていく可能性があるというか。

そうですね。たぶんその設定も今後はどんどん変化していく部分があるとは思うんですけど、フリーダムはリスナーさんとともに作り上げていくものでもあるのかなっていう気はします。僕の失言によってアンダーバー星が消えてなくなることもあるかもしれないし(笑)。

──最後に、今後の活動について何かたくらんでいることがあったら教えてください。

最近はライブをやる機会も増えて人前に出るようになったので、「歌ってみたカテゴリーからそろそろ飛び出した活動をしてみてもいいのかな」っていうことは考えてます。今は歌い手ですけど、ちょっと踊ってみようかなとか、実況してみようかなとか。なんならネットの世界から飛び出してもいいと思うし。面白いことならなんでもやるぜっていうスタンスが自分の中にはあるので、フリーダムな挑戦をどんどんしてみたいと思ってます。

ニューアルバム「EXIT TUNES PRESENTS フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」 / 2013年6月19日発売 / 2000円 / EXIT TUNES / QWCE-00281
ニューアルバム「EXIT TUNES PRESENTS フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」
収録曲
  1. いーあるふぁんくらぶ(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:みきとP]
  2. 脳漿炸裂ガール(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:れるりり]
  3. 過食性:アイドル症候群(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:スズム]
  4. オマツリアンドゥワールド(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:YM]
  5. こちら、幸福安心委員会です。(フリーダムVer.)
    [作詞:鳥居羊 作曲:うたたP]
  6. ギガンティックO.T.N(フリーダムVer.)
    [作詞:れをる 作曲:ギガP]
  7. リンちゃんなう!(フリーダムVer.)
    [作詞:sezu 作曲:オワタP]
  8. アンダバダバダー星人VSおっぱい星人
    [作詞/作曲:デッドボールP]
  9. 千本桜(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:黒うさ]
  10. 十面相(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:YM]
  11. 永遠に幸せになる方法、見つけました。(フリーダムVer.)
    [作詞:鳥居羊 作曲:うたたP]
  12. アンダーバーラジオ~フリーバム特別編~
  13. 夕立のりぼん
    [作詞/作曲:みきとP]
  14. from Y to Y
    [作詞/作曲:ジミーサムP]
ボーナストラック
  1. Under The King
    [作詞/作曲:__(アンダーバー)]
__(アンダーバー)

ソーシャルネットワークの音楽ジャンルを中心に活躍する男性の歌い手。2009年の「フリーダムに『脱げばいいってモンじゃない!』を歌ってみた」を投稿したことを機に、原曲を大幅にアレンジして合いの手などを挟み込む独特の歌唱法「フリーダム」を確立し、ネットユーザーから絶大な支持を集めるに至る。同時に、イケメンボイスで真面目に歌う「フツーダム」のカバーも多数発表。さらにボカロPとして自作曲「もやし女」を公開するなど幅広い活動を展開している。2012年7月にはフツーダムを中心にしたアルバム「フツーバム ~フツーダムに歌ってみた~」、2013年6月にはフリーダムを中心にしたアルバム「フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」をリリース。さらに同年6月には自身初のワンマンライブ「__ (アンダーバー)~UNDER THE LIVE 2013~」を開催。約2700人を動員し、ZeppTokyoをアンダーバー一色に染めた。また、8月31日には大阪、9月1日には名古屋にてワンマンライブの追加公演が決定している。