ナタリー PowerPush - __(アンダーバー)

フリーダムの秘密を明かしてみた

ボカロPに許可をもらって、NGだったことは一度もない

──原曲を激しくぶっ壊すフリーダム楽曲はどのように制作していくんですか?

「EXIT TUNES ACADEMY SUMMER TOUR 2013」より、5月4日の福岡・Zepp Fukuoka公演の模様。

ランキングに上がってくるような人気ボカロ曲をいろいろ聴いていると、「あ、ここで合いの手入れたら面白いな」っていうのが自然と浮かんでくるんですよ。で、その想像に自分で笑うことができたら、実際の作業に取り掛かりますね。歌詞をじっくり眺めながら、「ここの歌詞をこう変えたら、ここもこう変えることができるな。あ、つながった!」みたいな感じで構築していって。

──楽曲を聴かせていただくと衝動的な勢いを感じるんですけど、実際はかなり緻密に作り上げられているんですね。

昔はけっこう勢いで作ってたんですけど、最近はフリーダムの世界にどんどんのめり込んできたので、だいぶ緻密に作るようにはなってきてますね。

──どんどん高まるリスナーからの期待にも応えなきゃいけないでしょうしね。

そうなんですよ。投稿を重ねるごとに、もっと新しいものを、さらに面白いものをっていうプレッシャーが大きくなっていきますからね。勢いだけでは続けられなくなってきたというか。ただ、そういうプレッシャーの中からフリーダムの新たな可能性を見つけられることもあるので、そこは全然楽しいんですけど。

──これまでさまざまな楽曲をフリーダムアレンジしてきた中で、原曲の作者であるボカロPにダメ出しをくらった経験はないですか?

フリーダムにするときには事前に許可をいただいてるんですけど、NGだったことはありがたいことに一度もないんですよ。最近はいろんなボカロPさんとお話する機会が増えてきたんですけど、「どんなアレンジになるか楽しみにしてるよ」とか「この曲もフリーダムにしてみてよ」とか言ってくださる方ばかりで。自分の曲がアレンジされる面白さを感じてくれてるみたいですね。

──じゃ、フリーダムアレンジをするときは、遠慮せずに思い切りやることが重要なんでしょうね。

そうだと思います。完全に原曲がなくなるほどアレンジしちゃうのはナシだと思うんですけど、原曲をある程度残しつつ、どこまで違う面白さを出せるかっていうところに勝負をかけるようにはしてますね。

フリーダムをやりすぎて、自分の中に別の人格が

──しかしどの曲もめちゃくちゃ笑いのレベルが高いですよね。そういった笑いのセンスはどうやって育まれたものなんでしょう?

昔からお笑いが大好きだったんですよ。特に笑い飯さんのシュールなネタが好きだったので、そのシュールさをなんとか楽曲にも取り入れたいなっていうことは常に考えてます。他にも周りにいる面白いヤツを観察して、「あ、この言葉は面白いな」とか「この間はいいな」とか、そういうことも研究してますね。あ、あとはオカマさんですね。

──オカマさん? オネエ的な?

そうです。オカマさんってしゃべりがめちゃくちゃ面白いじゃないですか。「なんとかじゃないのヨ!」みたいな口調で、すごくテンションが高くて。そういうキャラへの憧れはかなりあったので、それがルーツになってるところもあると思います。

──ああ、確かに楽曲内で合いの手を入れてくるキャラクターには、ちょっとオネエっぽい雰囲気ありますよね。

「EXIT TUNES ACADEMY SUMMER TOUR 2013」より、5月19日の東京・Zepp Tokyo公演の模様。

そうなんですよ。だからあのキャラの1人称は「アタシ」なんです。

──あのハイテンションキャラを演じるのは大変ではないんですか? 今目の前にいる__(アンダーバー)さんはむしろおとなしめな雰囲気ですけど。

いやいや、そこはもう慣れたんで大丈夫ですね。ピッとスイッチを切り替えれば、「ハイハーイ!」って感じで。

──あははは。今、あのキャラがちょっと出ましたね(笑)。

出ました(笑)。フリーダムをやりすぎてしまったのか、自分の中に別の人格ができてしまったんでしょうね。

──で、そのキャラがまたかなり下ネタを言うじゃないですか。うんことかおっぱいとか。褒め言葉として受け取ってもらいたいんですけど、かなりヒドいですよね(笑)。

ありがとうございます(笑)。小学校の頃とかって、うんこっていう言葉だけでめちゃくちゃ笑えたじゃないですか。それを大人になってもやるっていうのは幼稚すぎるだろとは思いつつも、やっぱりちょっとクスッと笑ってしまう感覚は誰にもあると思うんですよね。なので、そういう子供の頃のくだらない笑いも思い出してほしいなっていう気持ちもあるんです。しかも、あのキャラでそういう下ネタを言っても、「こいつだししょうがねえな」ってきっと思ってもらえるはずなので(笑)。

ニューアルバム「EXIT TUNES PRESENTS フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」 / 2013年6月19日発売 / 2000円 / EXIT TUNES / QWCE-00281
ニューアルバム「EXIT TUNES PRESENTS フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」
収録曲
  1. いーあるふぁんくらぶ(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:みきとP]
  2. 脳漿炸裂ガール(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:れるりり]
  3. 過食性:アイドル症候群(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:スズム]
  4. オマツリアンドゥワールド(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:YM]
  5. こちら、幸福安心委員会です。(フリーダムVer.)
    [作詞:鳥居羊 作曲:うたたP]
  6. ギガンティックO.T.N(フリーダムVer.)
    [作詞:れをる 作曲:ギガP]
  7. リンちゃんなう!(フリーダムVer.)
    [作詞:sezu 作曲:オワタP]
  8. アンダバダバダー星人VSおっぱい星人
    [作詞/作曲:デッドボールP]
  9. 千本桜(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:黒うさ]
  10. 十面相(フリーダムVer.)
    [作詞/作曲:YM]
  11. 永遠に幸せになる方法、見つけました。(フリーダムVer.)
    [作詞:鳥居羊 作曲:うたたP]
  12. アンダーバーラジオ~フリーバム特別編~
  13. 夕立のりぼん
    [作詞/作曲:みきとP]
  14. from Y to Y
    [作詞/作曲:ジミーサムP]
ボーナストラック
  1. Under The King
    [作詞/作曲:__(アンダーバー)]
__(アンダーバー)

ソーシャルネットワークの音楽ジャンルを中心に活躍する男性の歌い手。2009年の「フリーダムに『脱げばいいってモンじゃない!』を歌ってみた」を投稿したことを機に、原曲を大幅にアレンジして合いの手などを挟み込む独特の歌唱法「フリーダム」を確立し、ネットユーザーから絶大な支持を集めるに至る。同時に、イケメンボイスで真面目に歌う「フツーダム」のカバーも多数発表。さらにボカロPとして自作曲「もやし女」を公開するなど幅広い活動を展開している。2012年7月にはフツーダムを中心にしたアルバム「フツーバム ~フツーダムに歌ってみた~」、2013年6月にはフリーダムを中心にしたアルバム「フリーバム~フリーダムに歌ってみた~」をリリース。さらに同年6月には自身初のワンマンライブ「__ (アンダーバー)~UNDER THE LIVE 2013~」を開催。約2700人を動員し、ZeppTokyoをアンダーバー一色に染めた。また、8月31日には大阪、9月1日には名古屋にてワンマンライブの追加公演が決定している。