ナタリー PowerPush - うみのて

もはや平和ではない! 笹口騒音×たけうちんぐ対談

伝えたいって気持ちだけでやってる

──逆に笹口さんから見て、竹内さんはどういう存在なんですか?

笹口 それはCDの中身を見てもらうとわかるんですけど、そこ、CDを外して……。

──あ、クレジットのところに「大協力:竹内道宏(リアルハイパーメディアクリエイター)」って書かれてますね(笑)。

竹内道宏

竹内 そうなんだ? 初めて知りました。カメラマンとかじゃないんだ?(笑)

──どうですか、この肩書きは?

竹内 まあ確かにカメラマン的な意識って、ライブ撮影に関してはあんまりないんですよ。大前提としてはもう伝えたいって気持ちだけでやってるんで、カメラがなければ文章でもいいし、形にはこだわってなくて。僕は自分がいいと思ったものを人に教えて、で、その人がいいって言ってくれるのが10代の頃から快感だったんですね。今もそれを本当に普通に、わくわくしながらやってるだけなんです。

──そしてネットを使えば、その気持ちをさらに多くの人に伝えることができる。

竹内 うん、やっぱりインターネットの力っていうのは結構信じてるんですよね。自分的には神聖かまってちゃんの動画をアップしていくことでそれを実感したっていうか。

笹口 竹内くんは僕から見たらすごく不思議な人ですよ。僕だったらこんなこと絶対やらないです(笑)。

──かなりの労力をかけてますもんね。

竹内 睡眠時間削ってますからね(笑)。でも僕が好きな人たちはみんな狂気じみたパワーがすごいから、それをヘラヘラとはやりたくはないんです。例えば1~2週間経ってからアップするとかそういうの大嫌いなんです。冒涜的というか、好きな人たちに失礼だと思うから。

笹口 あはは(笑)。

竹内 そういうの本当にしょうもないと思ってる。リアルタイムで伝えられるのがネットのいいところなんだから。

自分の存在を消したい

──そして、竹内さんの映像は早いだけじゃなく、バンドの魅力をちゃんとわかった上で撮っている感じがすごくありますよね。

竹内 それはここでギターが鳴りはじめるとか、ベースが入ってくるとかっていうのを全部把握して、完璧にやりたいって思ってるからですね。笹口くんの作ってる世界にちゃんと見合うものを撮りたくて。あの、僕はカメラマンって基本的に邪魔な存在だと思ってて、僕はうみのてに関しては最前列のど真ん中陣取って撮影してるわけなんですけど、いっつも後ろめたさを感じてるんです。普通にライブ観てる人は邪魔だって思うはずだから、その代わり何かプラスにしなきゃいけない。だから僕が撮る1つの動画でライブに来るお客さんを10人とか20人、絶対増やさなければいけないって、そういうプレッシャーはありますね。

──なるほど。

竹内 むしろ自分の存在を消したいんです。透明人間になってカメラを回したい。伝える人間の自我が見えないのが理想なんです。例えばナタリーみたいなニュースサイトも個性的な文章ってそんな必要じゃないですよね。

──そうですね。

左から笹口騒音ハーモニカ(Vo, G)、竹内道宏

竹内 だから僕もなるべく自我を消して、伝えることに徹したいんです。僕がライブ撮影してYouTubeに上げてるのは作品じゃなくて伝達なんで。これからもずっとそれをやり続けたい。あとライブハウスで言うと、LIQUIDROOMとかSTUDIO COASTでうみのてがやってるところを撮りたいっていうのは思ってます。

──じゃあうみのてはもっと大きくなる?

竹内 はい。自分の中ではそこは確信に近いんで、だから撮り続けてるところもあります。

笹口 うわ、それに応えられるようにがんばります!(笑)

タワーレコード限定シングル「もはや平和ではない EP」 / 2012年12月12日発売 / 525円 / DECKREC/UK PROJECT / DCRC-0078
CD収録曲
  1. もはや平和ではない
  2. 東京駅
  3. 四角い部屋
  4. Words Kill People(COTODAMA THE KILLER)
うみのて

笹口騒音ハーモニカ(Vo, G)、高野P介(G)、早瀬雅之(B)、キクイマホ(Dr)、neki(Glocken, Key)からなる5人組ロックバンド。笹口騒音ハーモニカの楽曲をバンドで演奏すべく2010年に結成。2012年12月にタワーレコード限定シングル「もはや平和ではない EP」をリリース。2013年3月にはAxSxE(NATSUMEN)をエンジニアに迎えた1stフルアルバム(タイトル未定)のリリースを予定している。