ナタリー PowerPush - うみのて

ギラギラをエンタメに変える「IN RAINBOW TOKYO」

笹口騒音(Vo, G)を中心として2010年に結成。「SUMMER SONIC 2012」や「夏の魔物」など、ライブハウスはおろか各地のロックフェスをもにぎわせ、頭角を現してきた“うみのて”が、待望の1stアルバム「IN RAINBOW TOKYO」をリリースする。

うみのてはそれぞれが別のプロジェクトを掛け持ちするなど、個性的な面々が集まった5人組のロックバンドだ。今回はメンバー全員にインタビューを行い、バンドの結成から現状、今後の展望までたっぷりと話を聞いた。

取材・文 / 田山雄士 インタビュー撮影 / 上山陽介

中の下みたいな位置付け

うみのて

──この前ライブを観たんですけど、うみのては5人ともキャラクターが濃くてそれぞれがちゃんと目立ってて、カッコいいバンドだなと思いました。

笹口騒音(Vo, G) ボーカルに華がないんですけどね。見た目は普通じゃないですか? 自分で言うのもなんですが。

高野P介(G) イケメンでもないし、いまだに下北沢とか歩いてるとみんなオシャレで落ち着かないし、僕らなんて中の下みたいなやつらじゃないですかね……。

──うみのてが結成されたきっかけを教えてください。首謀者は笹口さん?

キクイマホ(Dr) えーと、私になるのかな。2010年の頭くらいに、そうちゃん(笹口)のソロライブで高野くんがピアノで伴奏してたのを観たのがきっかけです。それを観て、ドラムを入れてみたいなって思って、もう1つやっているバンド(HOMMヨ)の企画に呼びました。

早瀬雅之(B) 笹口騒音ハーモニカの音源が流通に乗る前の話ですね。近所だからという理由で呼び出されました。

寺本みき(Glocken, Key) うみのてに入ったのは私が一番遅くて、2012年の8月からです。

笹口騒音(Vo, G)

キクイ メンバーが笹口騒音ハーモニカの曲が好きで、そこから始まってる感じですね。

笹口 ファンなのであれば、もっともっと褒めてほしいんですけどね。

高野 僕は笹口くんのファンだからこそ言いたいこともあるし、足りないものを補いたいって気持ちがありました。周りをイエスマンだけで固めたらバンドはダメになると思う。

笹口 イエスマンでいいのになー。最初は遊びみたいな感じだったんですよ。練習終わりに酒飲んだりするのがただただ楽しかった。今までそういうのをあまり経験できてなかったから、ワイワイやりたくて。

竹内くんの動画には負けられないな、って

──キクイさんが笹口さんの後ろでドラムを叩いてみたいと思ったのはどうしてなんですか?

キクイ 「柳川下り」っていう曲が好きで、自分で演奏してみたいなって妄想してました。結局その曲はあまりやらせてもらえなかったけど。

笹口 それ知らなかった。うみのてはもっと気楽にやる予定だったんですけどね。

高野P介(G)

高野 最初はライブの動員も鳴かず飛ばずだったけど、竹内(道宏)くんが僕らの映像を撮ってくれるようになったあたりから、バンドの規模が想像を超えてきて、半端な演奏は出来ないなーと思うようになりました。

──竹内さんの熱量はすごいですよね。バンドにとっては大きな存在なんじゃないかと思います。

笹口 竹内くんの映像によって僕らの超えるべきハードルが上がるというか、YouTube動画の反応がいいと、「もっといい曲を作らなきゃ」とか「すごいライブをしなきゃ」っていう気持ちになりますね。

──ちなみに、うみのてで鳴らしたい音楽ってどういうものなんですか? 太平洋不知火楽団、笹口騒音ハーモニカとは区別してる部分があると思うので。

笹口 太平洋不知火楽団は3人組だということもあって、歌よりは演奏がメインだったんです。イントロがバーンとしてギターソロが派手に決まればOKみたいな。笹口騒音ハーモニカはまあ1人なんで自分がやりたいようにやってるだけですかね。うみのてでは歌や言葉をより重視してます。ラップとかもやってみたかったし。竹内くんの動画もそうですけど、みんな言葉に反応してくれてる気がする。

──笹口さんの言葉って、めちゃくちゃ頭に残りますしね。

早瀬 あまり気にしてなかったんですけど、竹内さんがYouTubeにアップしてくれた映像で歌詞を目にして印象が変わったところはありますね。こういうことを歌ってたのかって。

笹口 歌詞字幕があるのはとてもいいと思います。

──楽曲の作り方としては、歌詞を先に書くわけじゃないんですよね?

笹口 曲がいつも先ですね。言葉がとがってきてるのは竹内くんの動画への反応の影響もあるかもしれません。極端な話、歌詞が強いけど、今のところ演奏はそんなにテクニカルじゃないんですよ。もちろん、ゆくゆくは両方ともよくしていきたいんですけど。

1stフルアルバム「IN RAINBOW TOKYO」 / 2013年3月20日発売 / 2625円 / DECKREC/UK PROJECT / DCRC-0079
1stフルアルバム「IN RAINBOW TOKYO」
CD収録曲
  1. TALKING BABY BLUES (HEY BOY HEY GIRL)
  2. NEW WAR (IN THE NEW WORLD)
  3. もはや平和ではない
  4. WORDS KILL PEOPLE (COTODAMA THE KILLER)
  5. 三億年
  6. ぐるぐる回る
  7. SUICIDAL SEASIDE
  8. SAYONARA BABY BLUE
  9. 東京駅
  10. 正常異常
  11. ATOMS FOR PEACE
  12. RAINBOW TOKYO
  13. FUNADE
タワーレコードオリジナル特典レコーディング映像DVD 収録予定曲
  • RAINBOW TOKYO
  • TALKING BABY BLUES
  • NEW WAR (IN THE NEW WORLD)
  • 正常異常
  • Suicidal Seaside
  • SAYONARA BABY BLUE
うみのて

笹口騒音(Vo, G)、高野P介(G)、早瀬雅之(B)、キクイマホ(Dr)、寺本みき(Glocken, Key)からなる5人組ロックバンド。笹口騒音ハーモニカの楽曲をバンドで演奏すべく2010年に結成。2012年12月にタワーレコード限定シングル「もはや平和ではない EP」をリリース。2013年3月にAxSxE(NATSUMEN)をエンジニアに迎えた1stフルアルバム「IN RAINBOW TOKYO」を発表する。