自分の中にあるものが、わりと湿っぽいのかもしれない。それが正直に出るんやろな
──そして7曲目「抱きしめたい」は非常に重厚なバラードで。ある意味、このアルバム最大の聴きどころではないかと。
トータス 初めはそんなに重くないソウルバラードとして作ったんやけど、サンコンが「ここは思い切ってヘビーなロックの感じにしたほうがええんちゃうか」と言って、「なるほど、そういう解釈もあるか」と。
サンコン そのほうが、3人の持ち味がアンサンブル的に生きるかなと思ったんですよ。
トータス ギターもガーっと行けるしな。
──ギターソロ、トータスさんが弾いてるんですよね。この泣きのギターは心に刺さります。今までのウルフルズになかったものですね。
トータス ケーヤンの弾くギターはやっぱり音色も明るいしね。顔が笑ってるので、音色も笑ってる。それがケーヤンの持ち味で、僕が弾くとそこまで明るくならない。僕は自然と泣くほうに持って行きたがるのかもしれんね。自分の中にあるものが、わりと湿っぽいのかもしれない。ギターだとそれが正直に出るんやろな。
ジョンB こういうマイナーな曲って、ウルフルズには意外とないんで、それがすごく新鮮でしたね。
トータス 暗い曲、ヘビーな曲ね。うん、確かにそうやね。この曲、手応えありましたからね。
──こういうバラードもあるからこそ、9曲目「パワー」のように明るくて肯定性に満ちた軽快な曲がより生きてくると思うんです。
トータス そうですね。「パワー」はただただ楽しい曲で。何も考えずにみんなで楽しく歌って踊れればいいって曲ですからね。
──こういう曲は勢いでバッとできるんですか?
トータス すぐできますね。ナンボでもできます。
録り直したこの感じに、自分らの歴史がちゃんと音として見える
──そして最後が「愛がなくちゃ(2018ver.)」。「愛がなくちゃ」の再レコーディングですが、この曲は当時、シングルにはなっていなかったんですね。
トータス シングルにするつもりでいて、B面用の曲も録ってたんですよ。「ええねん」とダブルヘッダーで行こうとして、両方ともMVも撮ったけど、結局「ええねん」だけで行くことになった。でもライブでは人気曲で、ずーっと歌い続けているんです。で、今回クリアアサヒのCMで使われるってことで、いい機会やから再録しようと。
──再録するにあたって、意識したことはありますか?
トータス なるべくアレンジを変えずに、ライブでこなれた状態で楽に録る。だからこれは浦くんじゃなくて、最初に録ったときに弾いてくれてた伊東ミキオくんに今回も鍵盤を弾いてもらった。あんまり変えたくなかったんですよ。変えようとするのではなく、自然と変わっている感じがいいなと思って。歳を取ったぶんだけ、声は変わるし、演奏も変わる。それが自然に出てればいいなと。
──後半ゴスペルっぽい感じになって、そこがとてもいいと思います。
トータス 前はああいう強引な転調はしていないですしね。女性コーラスを入れたゴスペルチックな味付けも、前はしてなかった。僕はこの再録、すごい好きですよ。若いときに録ったものも元気があっていいけど、あれから10何年も経って録り直したこの感じに、自分らの歴史がちゃんと音として見えるから。
──そうですね。本当に、新しいウルフルズがいろんな部分から感じられて、すごく新鮮なアルバムだと思いました。
トータス 手応え、すごいありますね。いろんなことやれたから。こんなに自由にやらせてもらって、周りの人たちに感謝してます。
──ツアーも楽しみにしています。
トータス テクノはどう演奏しようかな(笑)。まあでも、変に同期とかさせずにやれると思うんで。楽しんでやります!
ジョンB ストライプシャツ(San Francisco / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、ショートガウン(B&B / JOURNEY)、スニーカー(PATRICK / カメイ・プロアクト)
トータス松本 ピンクサッカーボタンダウンシャツ(SanFrancisco / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、パンツ(TRANSIT UOMO / ストックマン)、スニーカー(PATRICK / カメイ・プロアクト)
サンコンJr. リネンレイヤードシャツ(HOLLYWOOD RANCH MARKET)、パンツ(Reell / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、スニーカー(PATRICK / カメイ・プロアクト)
衣装協力:
カメイ・プロアクト
東京都港区虎ノ門3-18-19(03-6450-1234)
JOURNEY
東京都渋谷区猿楽町20-10(03-3461-8506)
ストックマン
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-30-1(03-3796-6851)
HOLLYWOOD RANCH MARKET
東京都渋谷区猿楽町28-17(03-3463-5668)