平成の終わりに

──元号は2019年5月に変わる予定ですが、「平成最後の1年」にワクワク感を感じている？

上坂　いいですよね。来年滅びるみたいな感じが。私はノストラダムスもうれしい子供だったので、あのとき世界は滅びなかったけど、平成は確実に滅びるということで……元号が変わるなんてなかなか経験できないことなので、ワクワクしますね。

──上坂さんは平成生まれだから初めての改元ですもんね。

上坂　崩御されての改元じゃないから悲しさもないし、こんないい改元があるだろうかと。すごく楽しみです。

──アーバンギャルドの松永天馬（Vo）さんが作詞した「平成生まれ」は、まさに平成という時代とその終わりをテーマにした楽曲ですね。

上坂　これがアルバム用の新曲の中では最初にできた曲なんですよ。天馬さんは3日ぐらいで仕上げてくださって、「すごくイメージが湧きやすかったよ」と言ってくださいました。このSPEEDっぽい曲調にあわせて、平成について歌うというのは、なんともアーバンギャルドみがあっていいなと思います。

──これまで以上にバリエーションに富んだアルバムですけど、中でも掟さんが作詞、作曲、編曲をすべて手がけた「チチキトク スグカエレ」は出色でした。完全なニューウェイブですね。

上坂　これはロマンポルシェ。の新曲としてぜひ聴いてほしいです。

──アルバム収録内容が発表されたとき、掟さんはTwitterで「こんな感じで歌ってくださいという俺の上ずったガイドボーカルの更に上を行くボンボンバカボンな狂乱すみぺVoが届いた時点で爆笑した」と上坂さんのボーカルを賞賛していました（参照：掟ポルシェ (@okiteporsche) | Twitter）。

上坂　掟さんの仮歌が入ってたんですけど、真似しようがないじゃないですか。ロマンポルシェ。の曲として完成されていたので、これはどうしよう……と思って、短期決戦で3回ぐらい歌って終わりました。ロマンポルシェ。を知らない皆さんにも、ぜひニューウェイブのよさを知ってもらいたいですね。掟さんにはこれを機に女性声優にいっぱい曲を提供してほしいです。

「MVになるから」という魔法のようなひと言で

──ちなみに佐野さんはアルバム音源はもう聴いてらっしゃるんですか？

佐野　いえ、まだなんです。シングル曲しか聴けてなくて。

──せっかくなので佐野さんに楽曲解説をしていただこうかなとも思っていたのですが。

上坂　じゃあ既発曲のほうでレコメンしてください。好きな曲はなんですか？

佐野　オススメなのは、ミュージックビデオも含めて「恋する図形（cubic futurismo）」です。このMVを撮るにあたり、私が公式にすみれちゃんの動画を撮れるという機会があって……。

上坂　そうだ、このMVのためにInstagramをやってたんですよ（参照：Instagramを始めた上坂すみれ、河原を駆け抜けて肉を食らう / インスタ開設はこの布石だった！上坂すみれ、スマホ準拠MV公開）。短い動画をいっぱい上げて。

佐野　それが実はミュージックビデオでした、という作り方だったんです。日常のすみれちゃんをいっぱい撮り溜めるためのケータイというのが用意されてたんです。私がそれを託されていて、動画や写真を公式にたくさん撮れるわけですよ。

──今までは趣味でやってたのに。

佐野　そう！ 趣味でやってると「あー、今日はやめとこうかな」みたいなことが……あんまりないか（笑）。

上坂　私が具合悪くても撮ってるじゃないですか。

佐野　でも「これ撮らなきゃいけないから。ミュージックビデオになるから」という魔法のようなひと言で（笑）、撮りまくってましたね。曲もすごく好きだし、ダンスもとてもかわいくて。初回限定盤にMVが入ってるから観てほしいなと思います。

──初回限定盤のBlu-rayには既発曲4曲に「ノーフューチャーバカンス」を加えた5曲のMVと、佐野さんと須藤さんが撮影したという「ノーフューチャーバカンス」のメイキング映像が収録されます。佐野さん撮影のメイキングは定番化しそうですね。

上坂　でもメイキング撮影してると、衣装を直してくれないんですよ。

──ダメじゃないですか。

上坂　私がお茶をこぼしたのに、カメラ回してるから。

佐野　忙しいんですよ。お茶を拭くすみれちゃんはやっぱり撮らないと私の仕事は成立しないから。衣装はお茶がこぼれたぐらい平気ですよ。アワアワしてるすみれちゃんのほうが大切なので。

上坂　スタイリストにあるまじき発言ですよ……。

伏線殺しでしたね

──新曲についても佐野さんの感想が聞きたいので、試しに今掟さんの「チチキトク スグカエレ」を聴いてもらっていいですか？

佐野　はい。（試聴後）すみれちゃん、こんなキュイーンみたいな歌い方できるんだね。

上坂　キュイーンって何？（笑）

佐野　なんて言うの、ひゃっくりみたいな。これは掟ポルシェさんっぽいの？

上坂　っぽいというか、そのものです。仮歌を極力再現しました。

佐野　なるほど。いつもと声の出し方が全然違うから、さすが声優さんだと思いました。変な格好で歌ったらかわいいよね、きっと。

上坂　確かに。ふんどしとか。ゴールデンふんどし。

佐野　事務所からOK出るかな。ライブでどうなるんだろう。暴れやすそう。

上坂　これ歌ったあとは息切れするから、次休憩じゃないとだめですね。同志のみんなも試されますね。

──素朴な感想をありがとうございました。

上坂　本当にねえ。道行く人みたいな。

──次のライブは来年2月に決まったそうですね。

上坂　はい。今年だと思ってた人は予定をバラしてもらって大丈夫です。思ったより先なので、みんないったんバラしてください。有給は元に戻すか実家に帰るなりして有効に使ってください。

──確かに8月にアルバムが出るなら秋から冬にかけて何かあるかな、と予想を立てていた人は多いかもしれませんね。休日祝日でヤマを張って。あとは以前のインタビューで何度か年越しライブ構想を話されていたので「もしかしてそろそろ？」と考えていた人もいるかもしれません。

上坂　伏線殺しでしたね（笑）。これもすみぺチームの計画性のなさによるものなので、いったんバラシです。同志の皆さんは解散してください。

──これからもお二人の関係は続きそうですし、来年の2月には本当に金色のふんどしを作っているかもしれないですね。上坂さんの音楽活動が続く限り、佐野さんも添い遂げることになるのでしょうか。

佐野　そうですね。長生きしないと……。

上坂　そんなに!?

佐野　すみれちゃんより長生きしないとですよね。でも私、別に契約しているわけじゃないので、次から新しいスタイリストさんに変わることもなきにしもあらずで。常に新しいすみれちゃんを見せていかないと、飽きられちゃったら、ねえ。

──もう趣味の写真も撮れなくなっちゃいますからね。

佐野　そのときは現場だけ行ってただ撮ります。

上坂　怖ーい！