訳あって両国に集まった赤い人々
──ライブの演出と言えば、プロレスや相撲をモチーフにしたものだけではなく、中盤のエアリアルパフォーマンスも幻想的で見事でした。
すごかったですよね。エアリアルだけずっと観ていたいと思いました。炎が上がる演出もあったり、ライオンキングみたいでしたね。
──中野サンプラザでは通路を歩いてなぜか物を配るというのが恒例になってますけど、両国ではどうなるのかと思ったら、トロッコに乗って回遊しながら同志諸君の服装について延々触れていくという。
やっぱりどうしてもお客さんの近くには行きたかったので、トロッコを使ってみました。トロッコはなかなか面白いですね。徒歩で行くよりも効率よく、見渡していろんな人を探せるので。私のライブは客層が幅広くて……子連れの夫婦もいれば、全然声優とかを知らないであろうプログレおじさんとか、受験生もおじいちゃんも、訳あってここに集まってる。
──訳あって(笑)。別の声優アーティストのTシャツを着た方をいじったりもしてましたけど。
「赤いTシャツを着なきゃと思ったけど、探したらこれしかなくて……」とおっしゃっていて、とても可愛らしかったですね。面白いんですよね、皆さん。もちろんいい意味でなんですけど、本当にいろんな方がいて。「ガスマスクを付けている人はライブを観るの大変じゃないのかなあ」とか。軍服完全装備の人もいましたけど、あれってすごく暑いんですよ。ソ連軍の軍服とか本当に暑くて、ジャンプすると勲章が落ちますから。ツナギをグッズとして販売したんですけど、2割ぐらいの方がツナギを着ていて……これ言っちゃいけないかもしれないですけど、たいそう不思議でしたね。買うなよって。
──自分で売っておいて(笑)。
「何買ってんだよ。買って、楽しんでんじゃないよ」って(笑)。同志諸君は順応性が高いので、なんでも受け入れちゃうんです。
「何を進化してんだ」って
──上坂さんの活動はしばしば「なんでこれが許されてるんだろう。レーベルや事務所の大人から止められることはないんだろうか」と感じる局面がありますけど、ほかにはない現場だからこそ集まった多種多様な人々が“同志諸君”として楽しそうにしているのを見ると、よくぞ止めずにいてくれたと思います。
確かに。なんでしょうね。
──いろんな角度のサブカルチャーを一手に担っているような。
サブカル懺悔室みたいな、この場に来ると何もかも許されるというところはありますね。同志諸君の話を聞くに、何かしらの最先端流行から脱落した人が多くて。「最近のアニメはわからないですが、ニューウェイブにはすごく詳しいです」みたいな方が声優のイベントに来るのは、やっぱり別の何かを求めているんですよね。プロレス好きと歌謡曲マニアとドルヲタと普通の声優ファンと……なんの集まりなんでしょうね。
──謎のエネルギーが四角い両国国技館の中に渦巻いていましたね。
そうですね。遠めの席から観るのも楽しそう。
──現場で観たライブでも、違った視点、さまざまな視点から楽しめるのがライブ映像のだいご味かなと思います。ちなみにご自身でライブ映像を観るのは……。
観ないです。
──えっ。製品盤じゃなくとも映像チェックなどは。
やったことがないです。リハーサルの記録映像は確認のために観ますけど、製品盤なんて恐ろしくて観られないです……酩酊している自分を観るようなものなので。
──折に触れ映像化を拒んでますよね(笑)。中野公演のMCでも「DVDなんて滅びればいいのに」って。
本当にそう思いますね。DVDからBlu-rayなんて「何を進化してんだ」って。だって、昔はそんなにライブ映像って作られていなかったし……ザ・スターリンが豚の臓物を投げているところなんて映像で残ってないですよね。
──確かに、昔からライブビデオはありましたけど、今ほど頻繁に作られるものではなかったかもしれません。
そんなに何度も思い出を反芻しなくていいですよ。1回だけで十分。
上坂すみれの年越しライブ構想
──昨年の2本のライブを通じて、上坂さんの中で何か大きな収穫はありましたか?
大きなライブが年末にあると、お正月がめっちゃ気楽だということがわかりました。今まで大きなライブは毎年建国記念日に合わせていましたが、年末に両国があったので今年は2月にライブをやらなかったんです。2月にライブをやるとなると、お正月が終わったあとすぐに準備が始まるんですよ。でも12月にライブがあると、終わったら酒は飲み放題、ケーキは食べ放題というすごい報酬が待っているので、とてもがんばれる。だからこれからは12月にライブをやろうと思います。1度年越しライブをやってみたいんですよね。
──年越しはワンマンのみならず、カウントダウンイベントなどにも参加したことがない?
そうなんです。なんか楽しそうだなって。
──上坂さんが年越しライブをやるとしたら、どんな内容になりそうですか?
やっぱり大晦日はパーリーですから、そば食べ放題、日本酒飲み放題、あとテレビのチャンネル替え放題。ライブは……どうしよう、ライブはめんどくさくなってきちゃった(笑)。
──だいたいは年またぎの直前にいい感じのキメ曲を歌い始めて、大サビや曲終わりなどのよきところでカウントダウンを始めるみたいな。
あ、そうか。ずっと歌ってなくてもいいんですもんね。おしゃべりをするこたつパートと歌のパートがあって、みんなでそばを食べて日本酒を飲みながら「ガキ使」を観て。みんなで観ると相当楽しいでしょうからね。それが終わったらみんなで罪滅ぼしコーナーを。「誰も見ないから!」って言ってそれぞれ懺悔したい罪を書いてもらって、回収して、焚き火で焼きます。11時55分ぐらいから焚き火をして、0時ちょうどにすべての煩悩が天に昇ったところで「おめでとうございます!」って……いいですね。
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作詞は半ば事故
- 上坂すみれ「踊れ!きゅーきょく哲学」
- 2017年7月12日発売 / KING RECORDS
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期間限定盤 [CD+DVD]
1944円 / KICM-91767 -
通常盤 [CD]
1404円 / KICM-1767
- CD収録曲
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- 踊れ!きゅーきょく哲学
[作詞:上坂すみれ、月蝕會議 / 作・編曲:月蝕會議] - ヤバい○○
[作詞・作曲:街角マチオ、SONE太郎(ザ・プーチンズ)/ 編曲:谷地村啓] - 最先端△ガール feat. 内田真礼
[作詞・作曲:ヒゲドライバー / 編曲:橘亮祐] - 踊れ!きゅーきょく哲学(off vocal ver.)
- ヤバい○○(off vocal ver.)
- 最先端△ガール feat. 内田真礼(off vocal ver.)
- 踊れ!きゅーきょく哲学
- 期間限定盤DVD収録内容
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- 踊れ!きゅーきょく哲学(MUSIC VIDEO)
- 上坂すみれ
「上坂すみれのひとり相撲2016~サイケデリック巡業~&超中野大陸の逆襲 群星の巻」 - 2017年7月12日発売 / KING RECORDS
-
[Blu-ray2枚組]
9612円 / KIXM-283~4
- DISC 1
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2016年2月11日(木・祝)「超中野大陸の逆襲 群星の巻」(中野サンプラザ)
- 予感02(OPENING)
- 来たれ!暁の同志
- 冥界通信~慕情編~
~MC①~
- パララックス・ビュー
- すみれコード
- Inner Urge
~MC②~
- 繋がれ人、酔い痴れ人。
- 全円スペクトル
- テトリアシトリ(PARKGOLF REMIX)
~転換映像①~
- 革命的ブロードウェイ主義者同盟(INST piano solo ver.)
- 20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~
- 20世紀の逆襲 第二章~蠱惑の牙~
- 20世紀の逆襲 第三章~絶境の蝶~
- ツワモノドモガ ユメノアト
~転換映像②~
- 罪と罰 -Sweet Inferno-
- 我旗の元へと集いたまえ
~MC③~
- 閻魔大王に訊いてごらん
- 七つの海よりキミの海
~Happy ypa!(転換映像)~
~ENCORE~- 我らと我らの道を
~MC④~
- げんし、女子は、たいようだった。
~MC⑤~
- 予感~革命的ブロードウェイ主義者同盟
~ENDING~
- DISC 2
-
2016年12月23日(金・祝)「上坂すみれのひとり相撲2016~サイケデリック巡業~」(両国国技館)
- 予感2.5(OPENING)
- パララックス・ビュー
- Inner Urge
~MC①~
- キャラメル桃ジャム120%
- げんし、女子は、たいようだった。
- すみれコード
~MC②~
- 恋する図形(cubic futurismo)
- テトリアシトリ
- 繋がれ人、酔い痴れ人。
- SUMIRE #propaganda
~かぐや姫(転換映像)~
- 閻魔大王に訊いてごらん
- 冥界通信~慕情編~
- FLYERS
- 罪と罰-Sweet Inferno-
~予感02(DANCE ver.)&土俵入り~
- サイケデリック純情(BAND INST ver.)
- サイケデリック巡業
~MC③~
- 我旗の元へと集いたまえ
- 来たれ!暁の同志
~MC④~
- 文豪でGO!
- ♡をつければかわいかろう
- 革命的ブロードウェイ主義者同盟
~ENCORE~
- ココロ*パレット
~MC⑤~
- 七つの海よりキミの海
~ENDING~
イベント情報
- 上坂すみれ8thシングル発売記念トーク&ミニライブ
「密室!哲学300人組手」inタワーレコード渋谷 -
2017年7月16日(日)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
OPEN 13:00 / START 14:00
内容:トーク / ミニライブ
- 上坂すみれ8thシングル発売記念ポスターお渡し会
-
- 2017年8月19日(土)大阪府 animate O.N.SQUARE HALL
OPEN 11:30 / START 12:00 - 2017年8月19日(土)大阪府 ゲーマーズなんば店 イベントスペース
OPEN 14:00 / START 14:30 - 2017年8月19日(土)愛知県 アニメイト名古屋 第三太閤ビル
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2017年8月20日(日)東京都 AKIHABARAゲーマーズ本店 6Fイベントスペース
OPEN 12:30 / START 13:00 - 2017年8月20日(日)東京都 アニメイト池袋本店 イベントスペース
OPEN 15:00 / START 15:30
- 2017年8月19日(土)大阪府 animate O.N.SQUARE HALL
- 上坂すみれ(ウエサカスミレ)
- ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来、注目作に出演する一方でメディアやイベントなどを通じて、無類のロリータファッションマニア、ソ連・ロシアマニア、ミリタリーマニア、音楽マニアであることがファンの知るところに。そして2013年4月、その趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビュー。その後も桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」や、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」など話題作を立て続けにリリースし、2014年1月には1stアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」、2016年1月には2ndアルバム「20世紀の逆襲」を発表した。2016年2月には東京・中野サンプラザホールで初のバンド編成による2DAYSライブ「超中野大陸の逆襲」、12月には初のアリーナ会場となる東京・両国国技館でワンマンライブ「上坂すみれのひとり相撲2016~サイケデリック巡業」を行った。2017年7月には通算8枚目となるシングル「踊れ!きゅーきょく哲学」をリリース。