音楽ナタリー Power Push - UCC DRIPAR MUSIC特集 堀込泰行×□□□

ゆるやかなBPMで流れる贅沢な時間

どんな人に聴いてもらいたい?

──インタビューによくある質問で「この曲はどんな人に聴いてもらいたいですか?」というのがありますけど、今回、皆さんならどう答えますか?

いとう これってさ、本当よくある質問だけど、考えてみると不思議だよね。

堀込泰行

堀込 最初から「こんな人に聴いてほしいなあ」ってイメージしながら曲を書くことってないですもんね。

──答えてもらっても「そうですか」で終わりそうな気がするし。

いとう 具体的にどんな人ってさ……ヒゲの人?

一同 あははははは!(笑)

いとう 俺がイメージしてるのはヒゲもじゃの人だからね。俺の答えはそれです。ヒゲもじゃの人に聴いてもらいたい。

シゲ 俺はベタですけど、泰行くんと□□□のファン両方に聴いてもらいたいですよ。どちらにも今までにない曲になっていると思うから。

いとう いや、日本語のロックに興味があるすべての世代が「こういう答えもあるんだ」って感じてくれたらいいなと思うよ。

三浦 日本語のロックが好きで、かつヒゲの人(笑)。

いとう ヒゲもじゃならばより望ましい。今から生やしてくれてもいいしね。聴く前に。

シゲ それだと女性が切り落とされちゃいますね。

いとう それはダメだ!

村田シゲ

シゲ あと歌詞の内容的に「運転しているときに聴いてほしい」とかもあるんじゃないですか?

三浦 □□□は3人とも免許持ってないんですけど。

堀込 僕も持ってない。

いとう 全員持ってないんだ! 俺たちはむしろ助手席に乗せてもらう人の立場なんだよ。女性目線。

堀込 「琥珀に輝くバイパス」なんて、運転してると集中して気付かないですからね。

いとう 運転してる人はウインカー出したり忙しいんだから。俺たちはユーミン(松任谷由実)側の人間なんだよ。

シゲ 強引な解釈だな(笑)。

こだわりのコーヒー

──ちなみに皆さんは普段コーヒーは飲まれますか?

堀込 僕はレコーディング中だけしか飲まないです。眠気覚ましに。普段はドーナツとか甘いものがあるときだけ飲むかな。

シゲ 俺はものすごく飲む派ですね。

いとう 俺も。毎日豆挽いて飲んでるもん。

──豆や淹れ方にこだわりはありますか?

いとうせいこう

いとう 豆はね、最近はチェーンのコーヒー店でも変わった豆がいっぱいあるんですよ。煎り具合もこっちで決められるの。今はタイの豆を10段階の10で深く焼いて、すごく苦くして飲んでる。今日も朝から2杯飲んできた。でも昔はね、コーヒーの匂いを嗅ぐと酔ってたの。フラフラーって。20代の頃に濃いのを飲んでおいしいと思うようになったけど、そのあとも酸っぱいコーヒーはずっと苦手で。ただ最近、いろんな豆を試しているうちに、「今まで飲んでこなかったコーヒーにしてみたらどうなるだろう?」と思って、酸味のある豆を浅く焼いてもらって飲んでみたら、それはそれで口の中がさわやかになるってわかった。それで「ああ、人間は50を過ぎても味覚が変わるんだな」って発見できたのはすごく面白かったな。

シゲ 僕もほぼ毎日、自分で淹れて飲んでますね。昔、人からケメックスのコーヒーメーカーをもらったから試しに淹れてみようと思って、西荻窪の行きつけの喫茶店で初めて豆を買ったんです。豆を買うときって初めはすごく緊張しますよね。何グラムとかよくわかんないし。「あ、じゃあ200グラムで」とか言って。でも初めて自分で淹れたときに「コーヒーってこんなにおいしいんだ」って思ったんですよ。こんなにゴクゴク飲めるものなんだなって。

コーヒーと音楽、そしてThe Fuzz

──皆さんは「コーヒーに合う音楽」と言って浮かぶ曲はありますか?

いとう ある! そうだ、俺ちょっとみんなに聞きたいの。The Fuzzっていう1970年代のコーラスグループがいるんだよ。たまたま喫茶店でかかっていたんだけど「なんだこれ、すげえ好きだ!」と思って、その場ですぐShazam(音楽検索アプリ)で調べたの。それがThe Fuzzの「I Love You For All Seasons」って曲だったんだけど、これはのちのサンドラ・クロスとかジャネット・ケイとか、イギリスのラヴァーズロックに影響を与えているんじゃないかという直感があったわけ。

三浦 へえー。

いとう あとで調べてみたら、この人たちは1枚だけアルバムを作っていて。何がすごいって、1曲ごとに朗読が入っていて、そのあと同じオケで歌が来るの。「最初のラップだ」なんて言ってる人もいてさ。でもあまり騒がれてないのはなぜなんだろうと不思議で不思議で。

堀込泰行と□□□。

三浦 その手がかりを俺たちの誰かが知らないかってこと?

シゲ 「コーヒーに合う音楽」じゃないじゃん(笑)。俺の場合はずっとコーヒー飲んでるから、聴いてる音楽は全部「コーヒーに合う音楽」なんだよなあ。

三浦 僕も泰行くんと同じで、普段はあまりコーヒーを飲まなくて、締め切り間際だけ飲むんですよ。飲むと本当に寝られなくなっちゃうから。つまり僕がコーヒーを飲んでるときは、いつも自分の曲しか聴いてない。

いとう 泰行くんなら何を選ぶの?

堀込 うーん。……そんなに見つめられても(笑)。

いとう や、何を選ぶのかなあと思って。

堀込 まあ、ゆっくり過ごしたいときに聴く音楽ということですよね。豆を挽いて淹れる一連の動作を含めて……レコードをかけるようなものだと考えると、レコードの時代の音楽がいいのかなあと。

いとう なるほど。うまいこと言いますなあ。あ、これなんだけどさ(突然iPhoneで前述のThe Fuzz「I Love You For All Seasons」を再生する)。

三浦 今!? 急に?

堀込 子供(笑)。

いとう The Fuzzね。覚えといてね。

シゲ それを俺たちに調べておいてほしいってこと?

いとう そう。

──この対談がThe Fuzzに詳しい人の目に止まったら教えてくれるかもしれないですね。

いとう お願いします。すごく知りたいんだよ。

UCC DRIPAR
堀込泰行 × □□□(クチロロ / 三浦康嗣・村田シゲ・いとうせいこう)によるコラボ楽曲「バース・コーラス」は、「UCC DRIPAR」の会員登録(無料)をすれば、誰でも簡単にダウンロードできる。
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「UCC DRIPAR」

「UCC DRIPAR」は、小意気なカルチャーやライフスタイルを紹介する、デイリーウェブマガジン。UCC上島珈琲が運営している。「コーヒー」「グルメ」「スポーツ・アウトドア」「アート・コンテンツ」「グッズ・インテリア」「クルマ」「本」「映画・音楽」「旅行」「名言・人」といった様々なジャンルの、ポップ度の高い読み物を、ほぼ毎日、配信している。

また、「UCC DRIPAR」では、2つのタイプのゲームを公開。それぞれのゲームのランキング上位者、計60名には、クオカードをプレゼントしている。元WEEKENDの泉水マサチェリーが担当したゲームのBGMにも注目したい。

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堀込泰行×□□□「バース・コーラス」
作詞:三浦康嗣 / 作曲:堀込泰行

楽曲のダウンロード期限は終了しました

※リリース告知映像のBGMには、メインボーカル抜きの音源が使われています。

堀込泰行(ホリゴメヤスユキ)
堀込泰行

1972年5月2日生まれ。1997年に兄・堀込高樹とのバンド・キリンジでデビューを果たす。2005年にはキリンジと並行してソロプロジェクト・馬の骨としての活動も行い、2013年4月のキリンジ脱退後は個人名義でのソロ活動を開始。2014年11月には配信シングル「ブランニュー・ソング」を発表した。自身の作品のほか、ハナレグミ、安藤裕子、一青窈、畠山美由紀、Keyco、松たか子、南波志帆、鈴木亜美といったアーティストへの楽曲提供でもソングライターとして独自の個性を発揮している。

□□□(クチロロ)
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三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこうの3人からなるユニット。三浦と南波一海の2人によるブレイクビーツユニットとして1998年に結成され、幅広い要素を取り入れた実験的でありながら誰もが楽しめる独自のサウンドで一躍ポップシーンの第一線に躍り出る。2007年にはcommmonsレーベルに移籍し、シングル「GOLDEN KING」でメジャーデビュー。同年末に村田が新メンバーに加わり、2008年5月に南波が脱退。2009年7月にはいとうが正式メンバーとして加入し現体制となった。その後は同年12月に「everyday is a symphony」、2011年2月に「CD」、2012年3月に「マンパワー」、2013年3月に「JAPANESE COUPLE」とコンスタントにアルバムを発表。三浦は舞台音楽やアーティストへの楽曲提供、村田はベーシストとしてさまざまなアーティストのサポート、いとうは□□□参加以前からのマルチな活動と、メンバー個々でも幅広く活躍している。


2017年6月30日更新