ナタリー PowerPush - 鶴

アフロ卒業間近! ウキウキ&切なさの伝道師の本音

30歳になった朝はフンドシを締め直した

──アフロをやめるタイミングとしては、やっぱり30歳になるという節目も意識されました?

インタビュー風景

秋野 はい。区切りとしてちょうどいいし、イチから新しいことにチャレンジできる機会でもあるし。やっぱりね、30になるとちょっと楽しいんですよ。また新しいスタートを切れる心地良さ、ワクワク感がありますね。

笠井 俺も、30歳になった朝はフンドシを締め直すぞと思ったんです。シャキッとしましたね。

秋野 でもその日の朝食はビッグマックでしょ?

笠井 29歳最後の食事もマックのアップルパイだった。

神田 全然シャキッとしてないよ!!

──(笑)。あの、鶴の皆さんって本当に仲が良いですよね。どうしてこんなに一体感があるんでしょう?

秋野 僕らは元々同級生なんだけど、前に一緒にやっていたバンドは別のボーカルがいたんです。でもその人の個性というか「俺がフロントマン!」みたいな感じに耐えられず、3人揃って抜けちゃった。だからメンバー同士の関係は対等でありたいってずっと考えてるし、言いたいことは言い合う。仲が良いのはそれが続いてきた結果かな。

笠井 だから酒飲むと、いまだに大学生の飲み会みたいですよ。あのときからなんにも変わってないんです。

自分が感じたことしか書きたくない

──では最後に、これから鶴として目指すビジョンってありますか?

秋野 個人個人が強烈な光を放つバンドでありたいなとは思います。鳴らす音楽はその時々で変わるだろうから、ずっとこれをやるとは決めたくない。鶴でしか得られない楽しい気持ちや、愛があふれる世界観を持ったバンドでありたいですね。

──鶴の歌はポップで前向きで、悲しさや辛さをそのまま歌うことは少ないですよね。

秋野 もちろん悩んだり落ち込んだりすることもあるけど、それを暗いトーンのまま曲にはしたくない。というか、そこに興味がないんでしょうね。「どうしてあの子は振り向いてくれないんだろう」とか、単純なことで頭がいっぱいなんですよ。

──おふたりはいかがですか?

神田 僕は詞を書かないからこそ、2人には本当に感じたことしか書いてほしくないし、鶴は等身大であり続けたいですね。

笠井 俺も自分が感じたことしか書きたくないけど、逆に言えば感じたらなんでも書くんです。それが今までの鶴っぽくない歌詞であっても、自分に正直でいたいとは思っていて。例えば今まではあえて避けてきた言葉もあるけど、この機会にもう一度自分を見つめ直してみようかなとも思ってます。

──避けてきた言葉というと?

笠井 根拠もないのに「がんばれよ」とか「元気出せよ」とか「愛してる」なんて言えなくて、そんな言葉が軽く見えてたんですよ。でも最近は、根拠なんてなくても勇気付けられることはたくさんあるなって気付いたし、それを受け止められるようになった。ただ単にストレートに歌う強さもあるはずで、根拠のない言葉でも発する意味はあるのかなと。

秋野 それも30歳になったことと、アフロをやめると決めたからこその変化なんじゃない? まあこれでうまくいかなかったら、またアフロに戻ってきてもらえばいいしね。

笠井 アフロが「ただいまー」ってね(笑)。

インタビュー風景

ミニアルバム [CD+DVD]「ハートの磁石」 / 完全生産限定盤 / 2011年12月7日発売 / 2300円(税込) / Warner Music Japan / WPZL-30343/4

  • Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. ハートの磁石
  2. 僕らが主役のストーリー
  3. ひとりごと
  4. ニャン
  5. 横顔
DVD収録内容
  • 「IingNingGing(イングニングギング)TOUR ~今までありがとう~」名古屋ダイヤモンドホール映像(5曲)
(つる)

埼玉県鶴ヶ島西中学出身の秋野温(Vo,G)、神田雄一朗(B)、笠井快樹(Dr)によって、2003年に結成。「ウキウキ&切なさの伝道師」を名乗り、精力的にライブ活動をスタート。メンバー全員がアフロヘアという個性的なルックスと確かな演奏力が話題となる。2004年には1stアルバム「素敵CD」をリリース。全国的な音楽活動を展開し、2008年にシングル「恋のゴング」でメジャーデビューを飾る。歌心あふれる独自のロックチューン、アフロとキモシャツの70年代ファッション、観客を巻き込むライブパフォーマンスで多くのファンを魅了している。