ナタリー PowerPush - Tommy february6

川瀬智子15周年を飾る“原点回帰”盤

デビュー15周年を迎えた川瀬智子が、Tommy february6として4年ぶりとなるニューアルバム「TOMMY CANDY SHOP  SUGAR ME」をリリースする。今作はポップでキラキラしたパーティチューンが並びながら、今までには見せなかったネガティブな世界観も顔を覗かせる、新境地と言える仕上がりだ。

the brilliant green、Tommy february6、Tommy heavenly6というまったく違う音楽性を持つキャラクターを使い分け、15年間歌い続けてきた川瀬智子。その歩みを振り返りながら、今作に込めた思いと今後のビジョンを聞いた。

取材・文 / 田島太陽

 
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ソロを始めたことは最大の冒険だったのかも

──まずは15周年、おめでとうございます。

ありがとうございます。でもいろんなプロジェクトをやってきたから、正直、実感もないしよくわからないです。

──そうなんですか。例えばデビュー当時の心境とかは?

デビュー前は全部英語詞で歌っていたこともあって、プロとしてリリースするなら日本語詞で歌うバンドに変わらないといけなかったり、当時は当時でよくわからないことだらけでしょっちゅうわめいて周りに迷惑をかけていました。いろんな葛藤もあったけど、プロのミュージシャンとして15周年を迎えられたのは感慨深いです。

──では15年の中で特に思い入れがある作品や、ターニングポイントになったことといえば?

Tommy february6

ソロを始めたことはそうかも。提案された当時は、ソロなんて絶対にやりたくないって言ってたけど、ブリグリがマンネリだから新しいことをやったほうがいいと言われて、やるしかないような状況だったし、Tommyのセルフプロデュースで好きにしていいからって。話が進んでいくうちに不安より好奇心が勝ったというか。自分の空想が形になっていくのは面白いなって。もともと保守的なほうなので、自分にとっては最大の冒険だったのかも(笑)。

──ノリ気じゃなかったというのは、ソロデビューした頃から語ってますよね。

実は学生時代からの友達4人と、イタリア留学してる友達に会いにローマに行って遊ぶ計画と時期がかぶってキャンセルしたくなかったんです。自分が好きなことを詰め込んで表現したらどんな作品になるのかっていう好奇心もあったので不安は不安でしたけど、心の底から嫌ってわけではなかったから進んだんです。

──やろうと決心した理由は?

まあ、不安よりも好奇心が勝ったってことなのかな。スタッフさんに「最近感動したことやずっとやってみたかったことはない? そういうのを表現したらいいよ」って言われて、話し始めると「いいじゃんそれー新しいよー」って周りも乗せるのがうまくて、おいしいものを食べながら気分よく誘導された感じ(笑)。

──感動したことって?

たまたま深夜のテレビで観たチアリーダー選手権に心が洗われたんだって話をして。キツい練習で歯が欠けたり骨折したりするみたいで、なんかきっとすごい賞金とご褒美の旅行とかがチームにもらえるのかなってずっと観てたらトロフィーだけ……。

──えーっ(笑)。

それでも目標に向かって努力してキラキラしてる彼女たちの信頼関係やチアスピリットの話を観ていると、正直、理解できないぐらい価値観が荒んでしまっている自分に気付いて嫌気が差してきて、気付いたら私、ボロボロ泣いてたんです。心が洗われたっていうか。だから「チアリーダーたちに囲まれたい。ピュアなチアスピリットと、荒んで裏のあるひねくれた私っていう対比って皮肉っぽくて好き。そんな感じのイメージにしたいなー」って。チアリーダーの真逆って“冴えないメガネっ子”しか思い浮かばなかったので即決まりました。真面目ぶったキャラなのに実際はお酒を持ち歩いて、隠れてこっそり飲んでいないとバランスが取れないような危なっかしいキャラで、荒んでて裏のある部分を表現したいと話しました。ブリグリが90'sのUKを意識したサウンドなので、ソロは80'sポップ、ユーロビート。例えばSTRAWBERRY SWITCHBLADEやリック・アストリーみたいなサウンド感がフィットしそうだと話しました。そして、そのメガネの真面目ぶったフェブラリーがなぜお酒を飲んでいるのかを表現したくて、闇の部分を具体化したヘヴンリーも同時に思い付いたので話していましたが、一気にやるとややこしいから、まずメガネのフェブラリーをやれば?ってことになった感じ。

英語は挑戦してるって感じのハラハラ感が楽しい

──ご自身の中では、3つのキャラを使い分けてきたことが結果としていいバランスになったと思いますか?

自分の精神世界の上ではきっとそうだと思います。行き詰まると惰性になってきたりするし。毎回新鮮に取り組めるからなのか、不思議と創作意欲が落ちたりしなくて、常に表現してみたいことはありました。

──常に挑戦していたい?

ゲーム感覚でなら。例えば英語の発音も、早口で、叫びたくなるぐらいどうしても難しいところが、何回かトライしてみるうちに「OK!」と言われるようになってすごくテンションが上がったり。でも英語が好きなだけで堪能ってわけではないので、実感ないときもあって「え? そうなの? よかった! 偶然できちゃった!」みたいな驚きもあります。日本語詞で歌うのは発音を理解できていて当然だけど、英語は挑戦してるって感じのハラハラ感が楽しいんですよ。

──ライブ感みたいな?

そうですね。レコーディングでも、鮮度っていうか、練習して歌うより、結局ドキドキしながら歌ってる初めのテイクのほうが、ヘタだけど聴いてて面白いこともあるし。後半のテイクはこなれてきて、なんか変にうまいんだけど(笑)、この自分の声を聴いても何も感じないし好きじゃないなって。

ニューアルバム「TOMMY CANDY SHOP SUGAR ME」 / 2013年6月12日発売 / Warner Music Japan / 初回限定盤 [CD+DVD] / 4300円 / WPZL-30596~7
初回限定盤 [CD+DVD] / 4300円 / WPZL-30596~7
通常盤 [CD] / 3150円 / WPCL-11416
通常盤 [CD] / 3150円 / WPCL-11416
CD収録曲
  1. FAIRY DUST
  2. SUGAR ME
  3. RUNAWAY
  4. ANGEL FADE
  5. SPACEY COWGIRL
  6. PINK ARMY
  7. AI NO AI NO HOSHI
  8. MY VACATION
  9. SUMMER BUBBLES
  10. BE MY VALENTINE
初回限定盤DVD収録内容
  1. SUGAR ME(Music Video)
  2. RUNAWAY(Music Video)
  3. SUGAR ME(Dance Video)
  4. RUNAWAY(Dance Video)
ニコニコ生放送「Tommy february6 NEW ALBUMリリースパーティ~CANDY SHOPへようこそ!!~」

配信日時:2013年6月14日(金)21:00~

Tommy february6(とみーふぇぶらりー)

the brilliant greenのボーカリスト・川瀬智子によるソロプロジェクトのひとつ。明るくポップでフェミニンなキャラクター設定を持つ。2001年に活動を始め、デビューシングル「EVERYDAY AT THE BUS STOP」ではチアガールのコスプレで話題を集める。2012年2月、Tommy february6のダークサイドであるTommy heavenly6との共同名義によるアルバム「FEBRUARY & HEAVENLY」で約7年ぶりに再始動した。これ以降活発にリリース活動を行っており、2013年6月にはニューアルバム「TOMMY CANDY SHOP  SUGAR ME」をリリース。