音楽ナタリー Power Push - 東京カランコロン
二面性を追求した先にあった“本当の東京カランコロン”
今まで以上にめっちゃ笑いながら作ってた
──本作を聴かせていただくと、メンバー全員がとにかく東京カランコロンとして楽しみ尽くしていることを強く感じました。そこが大きな魅力でもありますよね。
せんせい 今まで以上にめっちゃ笑いながら作ってた感じがしますね、今回は。もちろん、どうすれば伝わりやすいかなっていう部分ではすごく考えましたけど、メンバーそれぞれの持ち味を出すときはみんなすごく楽しそうやったし、ゲラゲラ笑いながら「このアレンジいいね!」って言い合ってました。だからこそ、今までの作品に比べると自然に出てきたアイデアがすごく多かった印象もありますね。
いちろー 僕らは基本的にスタジオワークで曲を組み立てていくバンドだけど、その割合が今回はすごく高かったもんね。僕が作るベーシックのアイデアもあえてぼんやりした状態で持っていって、みんなで作っていくことが多かった。メロディもスタジオで付けることもあったし。
おいたん 即興のテンション感みたいなものはいつも以上に大事にしたかも。
かみむー氏 うん。だから、その場の楽しい空気感がかなりが入った音になってると思いますね。
──結成から7年が経とうとしているバンドが、そういった良好な関係性を維持し続けているのは素晴らしいことですよね。
せんせい 昔はプライベートもバンド活動も一緒くたになっていたところがあったけど、今はそうではないんですよ。この5人で集まったら東京カランコロンのことを真剣にやる、でもプライベートではそれぞれ何をしてるか知らないっていう。
佐藤 ほんとですか? ほんとに会ってないですか?
かみむー氏 実はほかの4人は会ってるかもって?(笑)
佐藤 俺だけハブられてんじゃないかなって。
せんせい そんなことない(笑)。仕事終わりでごはんを食べに行ったりとかライブをみんなで観に行くことはあるけど、基本的にはあまり干渉し合わないですからね。それがいい距離感を保てている秘訣かもしれないですね。
おいたん 一緒にいる時間が長すぎることで新鮮味がなくなってきたなって感じちゃう時期も、過去にはあったと思うんですよ。でも、いい距離感を見つけられたことでバンドに対してより集中できるようになったというか。それぞれの時間を経て集まったときには、演奏がよりキュッとまとまる感じもあるし。とにかく最近はね、ほんと仲いいもんねえ(笑)。
せんせい 最近、いちろーさんがよくムービーを回して、私ら4人がふざけてる姿をTwitterとかLINEで配信してるんですよ。
──よく拝見してます。ほんと和気あいあいとしてますよね(笑)。
せんせい それを見たときに、私たちって意外とキャッキャしてんだなって改めて思ったりもして(笑)。
佐藤 実はあれ、テイク10回くらい録ってますけどね。みんながいい笑顔になるまで。「今のちょっと違うだろ!」つって。
おいたん 「笑顔が硬いんだよ!」つって(笑)。
東京カランコロンが存在するためには“楽しい”が一番大事
──今回のアルバムで改めて提示した二面性も、そういった5人だからこそ自然と生まれたのかもしれないですよね。“遊び”に関しては特に。
いちろー そうですね。ほんとに好き勝手にやってくれる人たちだからこそ、スタートの時点からそういう音楽性に自然となっていたところはありますね。
せんせい もともと、私もいちろーさんも1人(ソロアーティスト)で音楽をやってたんで、メロディや歌を大事にしてるところがあって。それがバンドとしての1つの大きな要素になってるんです。でも、バンドでやるとなると、好きなものも性格も違う5人やから、当然それ以外の要素もたくさん入ってくるわけで。その面白さが東京カランコロンの形なんですよね。あえてそういうバンドを目指したっていうよりは、知らん間にそうなってたみたいな。で、その形っていうのはイコール、みんながちゃんと楽しんでやってるっていうことでもあるんです。東京カランコロンが存在するためには楽しいっていう要素が一番大事やなあって改めて思いますね。
いちろー 僕、東京カランコロンのようにセッションベースで曲を構築していくスタイルで、各メンバーのアイデアがイーブンに、バランスよく入っているバンドって実情、けっこう少ないと思うんですよ。
──ちょっと言葉は悪いかもですけど、フロントマンのワンマンバンド的なパターンもありますよね。
いちろー そうそう。メンバーが納得しているならそれでもいいんですけど、僕はそれじゃ意味がないと思っていて。「それってバンドの必要ある?」みたいな。僕らはそうじゃなくて、曲を作るなら各メンバーのアイデアが入っていて、それぞれの味が出ていないとダメだと思うんですよね。で、その上でポップなものを作りたいっていう。そういう目的を持った僕らの存在がシーンのスタンダードになればいいなとも思うし、今回のアルバムに関しては自分たちにしかできない音楽性のスタンダードをしっかり見せたい思いもあった。そういう意味では、改めてフレッシュな気持ちで自分たちなりの音楽を探していくための、大規模な実験でもあったんですよね、今回は。
──なるほど。これまでのお話と本作の内容からすると、その実験は成功した感じがしますけどね。確実に東京カランコロンのスタンダードを築いたアルバムだと思うので。
いちろー いやー、まあそれはこのアルバムがみんなに届いてみないとわかんないですけどね。
せんせい そうだね。この作品を出した意味やったり、私たちの思いっていうのは、たくさん聴いてもらって、それぞれの体に入っていったときにちゃんと伝わるんじゃないかなって思うので。それが楽しみではありますね。
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- ニューアルバム「noon/moon」/ 2016年1月20日発売 / avex trax
- 「noon/moon」
- CD+DVD盤[CD2枚組+DVD] / 3780円 / AVCD-93292~3
- CD盤[CD2枚組] / 3024円 / AVCD-93294~5
DISC 1「noon」収録曲
- noon
- カラフルカラフル
- シンクロする
- スパイス
- 線と線
- ロンウェイ
- ハロー(終わり)
DISC 2「moon」収録曲
- moon
- 三毒
- 空中遊泳
- ロボコミュ(SZKロボットMIX)
- おばけちゃん
- じゃがいも殺人事件(with 在日ファンクホーンズ)
- ハロー(始まり)
DVD収録内容
Music Video
- スパイス
- シンクロする(Lyric Video)
- カラフルカラフル / 三毒
LIVE
「集まれ!東京貴金族!」2015.11.24 下北沢 LIVEHOLIC
- J-POPって素敵ね
- 夢かウツツか
- サヨナラ バイバイ マルチーズ
- シンクロする
- 走れ、ナニワを
- カラフルカラフル
- 頭から離れないかも
- 笑うドッペルゲンガー
- フォークダンスが踊れない
「COUNTDOWN JAPAN 14/15」
- 少女ジャンプ
- 16のbeat
東京カランコロン(トウキョウカランコロン)
いちろー(Vo, G)、せんせい(Vo, Key)、おいたん(G, Cho)、佐藤全部(B)、かみむー氏(Dr)からなる5人組バンド。2009年5月より現メンバー編成にて活動開始。翌2010年6月に自主制作音源を発表してインディーズチャートで1位を獲得。同年10月には初の全国流通盤となる「東京カランコロンe.t.」をリリースし、12月に初の自主企画ライブ「ワンマ ソ」を行う。2012年までインディーズでミニアルバム、シングル2枚を発表し、8月にavex traxよりメジャーデビュー盤となるミニアルバム「ゆらめき☆ロマンティック」を発表。その後順調に作品リリースやライブを重ね、2016年1月に4thアルバム「noon/moon」をリリースした。この作品を携えた全国ツアーのラストで初の東京・日比谷野外大音楽堂ワンマン公演を行う。