音楽ナタリー Power Push - THE YELLOW MONKEY
THE YELLOW MONKEYが残したもの、これから作り上げるもの
今年1月8日、THE YELLOW MONKEYが再集結およびアリーナツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016」の開催を発表した(参照:「THE YELLOW MONKEY再結成!16年ぶり全国ツアー20公演開催」)。
音楽ナタリーではこれを記念して2回にわたりTHE YELLOW MONKEYの特集を展開する。1回目は改めてTHE YELLOW MONKEYというバンドが歩んだ道のり、そして日本の音楽シーンに与えた影響などを探るべく、音楽ライター・森朋之によるバンドのバイオグラフィおよび全オリジナルアルバムのレビューを掲載。デビューから解散、そして再始動まで、彼らのたどった軌跡を改めて振り返る。
取材・文 / 森朋之
年明けに発表されたTHE YELLOW MONKEYの再集結は、多くの音楽ファンの間で熱狂的なリアクションを生み出した。活動休止から15年、解散発表から12年。これほどまでに長きにわたって不在だったバンドが、現在に至るまで数多くのファンに強烈に求められ続け、後進のアーティストやロックバンドにも影響を与えている理由とは、いったいなんだろうか?
吉井和哉(Vo, G)、菊地英昭(G)、廣瀬洋一(B)、菊地英二(Dr)によってTHE YELLOW MONKEYが結成されたのは、1989年。吉井はURGH POLICE(当時はボーカルではなく、ベースを担当)、廣瀬はMURBAS、兄弟である菊地英昭、英二はKILLER MAYというハードロック / ヘヴィメタル系のバンドで活動していたキャリアがあり、4人がTHE YELLOW MONKEYとして東京・渋谷La.mamaを拠点にライブ活動をスタートさせると、すぐにコアなロックファンの間で注目が集まった。THE YELLOW MONKEYの音楽性の基盤になっていたのは、1970年代のハードロック、グラムロック、そして、日本の歌謡曲。デヴィッド・ボウイ、マーク・ボラン(T.Rex)、Mott the Hoopleなどを想起させるグラマラスでハードなバンドサウンド、歌謡曲的なテイストを備えたメロディライン、そして、ド派手な衣装とメイクで決めたメンバーたちによるパフォーマンスは、結成当初から圧倒的なオリジナリティを獲得していた。
1992年5月に1stシングル「Romantist Taste」でメジャーデビューを果たした彼らは、同年6月に1stアルバム「THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE」を発表。不遇な時代から抜け出したいという吉井の思いが込められたバラード「真珠色の革命時代(Pearl Light Of Revolution)」、同性愛をテーマにしたロックチューン「This Is For You」などの人気曲が収録された本作は、セールス的にはそれほど振るわなかった。当時の音楽シーンは1980年代のバンドブームが落ち着き、フリッパーズ・ギター、ORIGINAL LOVE、ピチカート・ファイヴなど、いわゆる渋谷系と称されたアーティストが人気を博していた。1970年代のロックをルーツに持ち、まるで寺山修司の演劇のようなアングラな雰囲気を持ったTHE YELLOW MONKEYの世界観は、当時のシーンの流れとはまったく別の次元に存在していたのだ。また、海外ではNirvanaに象徴されるグランジロック、オルタナティブロックなどの新しいスタイルのバンドが大きなムーブメントを生み出していた。その時代背景を考えると、当時の洋楽ファンにとってもTHE YELLOW MONKEYは“時代錯誤のバンド”という印象だったのかもしれない。
そんな逆風を押しのけ、またレコード会社からの「もっとキャッチ—な曲を」という要望に背を向けるようにして、4人は独自の音楽性を深く追求していく。1994年には“1944年に戦死した若者ジャガー”を主人公にしたコンセプトアルバム「JAGUAR HARD PAIN」を発表。このアルバムのコンセプトに沿ったシアトリカルなステージも話題を集めた。観客動員も徐々に伸び、ダークでアングラな世界観を持った異色のロックバンドとしての評価を獲得するに至った。
THE YELLOW MONKEYが一般的に広く知られるようになった最初のきっかけは、ヒットを狙って制作されたシングル「Love Communication」(1995年)だった。さらに同年2月に発表された4thアルバム「Smile」でもキャッチ—な路線に踏み出し、オリコンアルバムチャート4位を記録。4月には初めての東京・日本武道館でのライブを成功させるなど、CDセールス、ライブ動員の両面で大きな飛躍を遂げた。その後も「追憶のマーメイド」「太陽が燃えている」などのヒット曲を連発したTHE YELLOW MONKEYは、5thアルバム「FOUR SEASONS」でついにオリコンチャート1位を獲得。1995年の1年間で名実ともにブレイクを果たした。
ロックバンドとしてのTHE YELLOW MONKEYの評価を決定付けたのは、1996年2月に発表されたシングル両A面シングル「JAM / TACTICS」だったと思う。吉井が敬愛するMott the Hoopleの名曲「All the Young Dudes」(すべての若き野郎ども)をイメージして制作されたという「JAM」は、ヘヴィな音像と憂いを帯びたメロディを軸にしたバラードナンバー。地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災などの事件や災害が重なり、不安定な社会状況を背景にした歌詞を含め、前年のポップ路線とは相反する楽曲だ。吉井の強い意向でリリースされたこのシングルはチャート7位を記録。吉井のソングライターとしての才能を世に示すとともに“シリアスな表現を備えたバンド”というイメージを強烈に印象付けたのだった。
1997年にはメンバー自身も最高傑作と位置付けている6thアルバム「SICKS」を発表。バンドの代表曲として認知されている「楽園」(1996年)「LOVE LOVE SHOW」(1997年)「BURN」(1997年)などのヒット曲を次々と送り出すと同時にアリーナツアーを成功させるなど、THE YELLOW MONKEYはキャリアのピークを迎える。まさに日本を代表するスーパーバンドに上り詰めようとしていたそのとき、バンドの運命を大きく変える出来事が起きる。1997年の「FUJI ROCK FESTIVAL '97」への出演。日本初の本格的野外ロックフェスへの出演に際し、洋楽テイストの楽曲を中心にしたセットリストで臨んだ彼らのパフォーマンスは、予想に反し、オーディエンスの支持を思ったほど集めることができなかったのだ。豪雨の中で演奏しなければいけないという悪条件はあったものの、フジロックでの挫折がバンドに大きなダメージを与えたことは想像に難くない(実際、のちに吉井は「フジロックの失敗がバンド解散の遠因になった」という趣旨のコメントを残している)。
さらに追い打ちをかけたのが、1998年の7thアルバム「PUNCH DRANKARD」のリリースに伴う全国ツアー「PUNCH DRANKARD TOUR」だった。ホール、アリーナを含め計113本というキャリア史上最大級のツアー、一層加速していくリリースペースは、精神的にも肉体的にも彼らに大きな負担となって押し寄せた。メンバー全員が体や心の不調を抱えながら迎えた、ホールツアーの最終日の岡山公演(1998年10月6日)のステージで吉井が放った「個人的にはこのツアーは失敗だったと思います」というあまりにも有名な発言は、自らの心境を赤裸々に吐露したものだと言えるだろう。
「PUNCH DRANKARD TOUR」終了後しばらく休息を取ったメンバーだが、その時点でバンドは方向性を見失いかけていたのかもしれない。1999年12月にリリースされたシングル「バラ色の日々」ではプロデューサーに朝本浩文を起用。その後は、森俊之、笹路正徳といったポップス寄りのプロデューサーとのコラボレーションを続けたが、バンドの新たな方向性を見出すまでに至らなかった。それはつまり、THE YELLOW MONKEYというロックバンドの個性と世界観が(おそらくメンバー自身にもコントロールできないほど)とんでもなく強大だったという証左だろう。
彼らは新たな方向性が見出せないまま、吉井のセルフプロデュースに近い形で8thアルバム「8」(2000年)をリリース。2001年1月8日に行われた初の東京ドーム公演「メカラ ウロコ・8」を最後にバンドは活動休止状態に。筆者はこのライブを観ているのだが、アルバム「8」の楽曲を中心に「天国旅行」をはじめとするレアな人気曲、「JAM」「BURN」といったヒット曲を網羅した充実の内容にも関わらず、全体を通してどこか静かなムードが漂っていたことが強く印象に残った。
バンドは2004年7月に正式に解散を発表。その後、メンバーはそれぞれのソロプロジェクトなどで活動を続けていたが、当然ファンの間ではバンド復活を望む声が根強く残っていた。吉井和哉のソロ活動の充実ぶりなどから「再集結は望めないのでは?」という雰囲気が続いていたわけだが、その潮目が変わってきたのは、2012年にリリースされたベストアルバム「イエモン-FAN'S BEST SELECTION-」。デビュー20周年イヤーの締めくくりとして制作されたこのベストは、ファンの人気投票によって収録楽曲が決定され、彼らが生み出してきた数多くの名曲に再びスポットが当てられたのだ。
翌2013年にはバンド解散の大きなきっかけとなってしまった「PUNCH DRANKARD TOUR」を題材にしたドキュメント映画「劇場版『パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE』」が公開される。さらに2015年10月リリースの吉井のシングル「超絶☆ダイナミック!」に収録された「ロマンティックあげるよ」(初代アニメ版「ドラゴンボール」エンディングテーマのカバー)に菊地英昭が参加するなど、徐々にバンド復活に向けた機運が高まってきた。そして、前回のライブからちょうど15年目にあたる2016年1月8日、ついにバンドの再集結が正式にアナウンスされたというわけだ。
THE YELLOW MONKEYの評価は、活動休止・解散を発表した当時よりも、現在のほうがさらに高くなっている印象を受ける。その1つの要因となったのが20周年のタイミングでリリースされたトリビュートアルバム「THIS IS FOR YOU~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM」だったと思う。奥田民生、KREVA、TRICERATOPS、秦基博、MUCCといった、ジャンルや年齢を超えたアーティストによる魅力的なカバーが収録された本作は、リアルタイムでTHE YELLOW MONKEYを経験できなかった若いリスナーやこれまで彼らの音楽に興味がなかった層に彼らの楽曲のよさをアピールする1枚になった。マニアックな音楽的ルーツと間口の広い大衆性を兼ね備えたTHE YELLOW MONKEYの楽曲は、活動休止から15年という時間を経て、ようやく正当な評価を獲得したのかもしれない。
ロックファンの間で熱狂的に迎えられたTHE YELLOW MONKEYの再集結をさらに後押ししたのが、新曲「ALRIGHT」だ。キャッチーかつエッジの効いたギターリフ、ブルージーなハードロックのテイストを濃密に感じさせるバンドグルーヴ、そして、セクシーな匂いとポップな手触りが同時に押し寄せてくるボーカル。このバンドにしか体現できない独創性が——結局、THE YELLOW MONKEYのフォロワーになり得るバンドは登場しなかった——詰まったロックチューン「ALRIGHT」を聴けば、“2016年のTHE YELLOW MONKEY”に対する期待はさらに上がるはず。5月11日には全国アリーナツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016」がスタートする。「何よりもここでこうしていることが奇跡と思うんだ」「もう一度運命のタイマーを回して今夜 準備ALRIGHT」(「ALRIGHT」)という感動的なフレーズがライブ会場で放たれる瞬間は、もうそこまで迫っている。
BUNCHED BIRTH / 1991年7月21日発売(インディーズ)
レビュー
バンドの全キャリアを通してライブの定番曲だったブギーナンバー「WELCOME TO MY DOGHOUSE」、“デヴィッド・ボウイ×沢田研二”と形容したくなる「LOVERS ON BACK STREET」など初期の人気曲が収録された、まさにTHE YELLOW MONKEYの原点というべき作品。この時点ですでに“グラムロックと歌謡曲の融合”というTHE YELLOW MONKEYの基本フォーマットが確立されつつあったようだ。中性的としか言いようのない吉井のボーカルも鮮烈。
収録曲
BUNCHED BIRTH / WELCOME TO MY DOGHOUSE / FAIRY LAND / LOVERS ON BACK STREET / HANG ONTO YOURSELF / SLEEPLESS IMAGINATION / TEARS OF CHAMELEON(Mr.PAPER MOON)
THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE / 1992年6月21日発売
レビュー
T.Rexをダイレクトに想起させるデビューシングル「Romantist Taste」、きらびやかなブギーナンバー「Subjective Late Show」など、楽曲の構造、サウンドメイクを含め1970年代の洋楽テイストを色濃く反映した作風は、1990年代前半の日本の音楽シーンにおいては明らかに異端だった。同性愛をテーマにした「This Is For You」をはじめセクシャリティを扱った楽曲も印象的で、それはそのまま初期のTHE YELLOW MONKEYのイメージに直結していた。
収録曲
Song For Night Snails / Subjective Late Show / Oh! Golden Boys / Neurotic Celebration / Chelsea Girl / 不愉快な6番街へ(Unpleasant 6th Avenue) / This Is For You / Foxy Blue Love / 真珠色の革命時代(Pearl Light Of Revolution) / Romantist Taste / Walkin' In Sunshine
EXPERIENCE MOVIE / 1993年3月1日発売
レビュー
ディスコ、ハードロック、歌謡曲を融合させたシングル「アバンギャルドで行こうよ」が思うようなヒットにつながらなかった反動なのか(楽曲自体はいま聴いても本当に魅力的)、吉井自身の心象風景、人生のルーツが強く投影された楽曲が目立つ。それを象徴するのが長尺のバラードナンバー「4000粒の恋の唄」「シルクスカーフに帽子のマダム」だ。ソングライターとしての吉井の異才ぶりが徐々に発揮され始めたアルバムと言えるだろう。
収録曲
MORALITY SLAVE / DRASTIC HOLIDAY / LOVE IS ZOOPHILIA / 仮面劇 / VERMILION HANDS / DONNA / 審美眼ブギ / 4000粒の恋の唄 / アバンギャルドで行こうよ / フリージアの少年 / SUCK OF LIFE / PUFF PUFF / シルクスカーフに帽子のマダム
JAGUAR HARD PAIN / 1994年3月1日発売
レビュー
“1944年に戦死した若者ジャガー”を主人公にしたコンセプトアルバム。1944年に戦死した若い兵士が1994年にタイムスリップするという設定だが、「戦後とは何か?」「欧米の文化と価値観に染められた我々は何者なのか?」といったシリアスなテーマ性と、きらびやかなロックサウンドを融合させることで、普遍的なエンタテインメントへと結びつけている。骨太なバンドサウンド、男っぽさを増したボーカルも魅力的。
収録曲
SECOND CRY / FINE FINE FINE / A HENな飴玉 / ROCK STAR / 薔薇娼婦麗奈 / 街の灯 / RED LIGHT / セルリアの丘 / 悲しきASIAN BOY / 赤裸々GO!GO!GO! / 遥かな世界 / MERRY X'MAS
Smile / 1995年2月1日発売
レビュー
セールスアップを狙って方向転換を図ったアルバムであることは間違いないが、完全にポップに振り切っているのは「Love Communication」だけで、サイケデリックな手触りのミディアムナンバー「エデンの夜」、エッジーなギターリフを軸にしたロックチューン「嘆くなり我が夜のFantasy」など、むしろ音楽性の幅が大きく広がったという印象が強い。それに伴い、ボーカリストとしての吉井の表現力も確実に向上している。
収録曲
Smile / マリーにくちづけ / Love Communication / サイケデリック・ブルー / See-Saw Girl / 争いの街 / エデンの夜に / イエ・イエ・コスメティック・ラヴ / ヴィーナスの花 / “I” / Hard Rain / 嘆くなり我が夜のFantasy / 熱帯夜
FOUR SEASONS / 1995年11月1日発売
レビュー
初めてオリコンアルバムチャート1位を獲得した作品。メロディアスなポップチューン「太陽が燃えている」「追憶のマーメイド」、メタリックなギターサウンドを押し出した「I Love You Baby」、ダンサブルなグルーヴを強調した「Tactics」など、各楽曲の魅力がわかりやすく表現されているのがヒットの要因。メンバーのルーツミュージックやバンドの個性を覆い隠すのではなく、むしろ前面に出してストレートに伝えることで、THE YELLOW MONKEYはオーバーグラウンドでの勝利をつかんだのだと思う。
収録曲
Four Seasons / Overture~太陽が燃えている / I Love You Baby / Tactics / ピリオドの雨 / Love Sauce / Sweet&Sweet / 月の歌 / 追憶のマーメイド(Album Version) / Father / 空の青と本当の気持ち
SICKS / 1997年1月22日発売
レビュー
前作でナンバーワンの座を手に入れたTHE YELLOW MONKEYが本来の音楽性に回帰、メンバー個々の創造性が爆発した作品。インド的音階を取り入れた「RAINBOW MAN」、ドラッギーかつセクシーな雰囲気を濃密に描き出した名曲「天国旅行」をはじめ、圧倒的なオリジナリティを持った楽曲が並んでいるが、決してマニアックにならず、幅広い層のロックファンが楽しめる作品として成立している。その中心にあるのは吉井のカリスマ性と的確なプロデュースワークだろう。
収録曲
RAINBOW MAN / I CAN BE SHIT,MAMA / 楽園 / TVのシンガー / 紫の空 / 薬局へ行こうよ / 天国旅行 / 創生児 / HOTEL 宇宙船 / 花吹雪 / 淡い心だって言ってたよ / 見てないようで見てる / 人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
PUNCH DRANKARD / 1998年3月4日発売
レビュー
ヘビーでシリアスな空気を持った楽曲が並んでいる。刺激的なクリエイティビティが炸裂した前作「SICKS」から一転、ロックバンドとしての凄味がリアルに伝わってくる作品となった。ロックスターのイメージを引き受けることに疲れた、という解釈はあまりにも凡庸かもしれないが、このアルバムに含まれる陰鬱なムードはずっしりとした重たさを伴って心に響く。ラストの「LOVE LOVE SHOW」の振り切ったテンションもどこか悲しい。
収録曲
パンチドランカー / 球根 / 間違いねえな / ゴージャス / 見して 見して / クズ社会の赤いバラ / セックスレスデス / エヴリデイ / SEA / BURN(Album Version) / 甘い経験 / 離れるな / LOVE LOVE SHOW(Album Version)
8 / 2000年7月26日発売
レビュー
「バラ色の日々」「聖なる海とサンシャイン」「SHOCK HEARTS」という外部プロデューサーとのコラボシングル3作を経てリリースされたアルバム。外部プロデューサーの導入は「PUNCH DRANKARD TOUR」で疲弊したバンドに対するカンフル剤的な意味合いがあったと思うが、本作では大きな変化をもたらすまでには至っていない。しかし吉井のメロディと歌詞には新しい創造性の萌芽が確かに感じられ、この時期のTHE YELLOW MONKEYが次の段階に進む過渡期であったことが伝わってくる。バンドは休止→解散という道を選んだが、今後の作品で試行錯誤の続きをぜひ聴いてみたいと思う。
収録曲
ジュディ / サイキックNo.9 / GIRLIE / DEAR FEELING / HEART BREAK / 人類最後の日 / SHOCK HEARTS / 聖なる海とサンシャイン / カナリヤ / パール / STONE BUTTERFLY / メロメ / バラ色の日々 / 峠