ナタリー PowerPush - THE PREDATORS

真剣お遊びバンド再始動 2年ぶり新作&一番○○なメンバーを語る

息継ぎが大変なのは俺のせいじゃない(笑)

──アルバムのタイトルチューンはJIROさんの曲で、かなりファストな感じですけど、こういうのは山中さんからは出てこないタイプですか?

山中 そう……だね。あのね、やっぱりJIROくんはボーカリストじゃないからね、息継ぎのこととか全く考えてないんだよね。

JIRO ハハハ!(笑)

山中 すごい大変だったもん、レコーディング(笑)。

──JIROさんは歌メロまで作って、バンドに持っていくんですか?

JIRO(B)

JIRO そうですね。

──そのとき歌詞はどうなってるんですか?

JIRO 適当に書いて渡してます。僕は今GLAYでも歌詞書いてないんですけど、メロディを伝えるにはやっぱり歌詞がないと。デタラメでもいいんで歌詞がないとうまいこと伝わらないんで。あと、(歌う人に)悪い気がするんですよ、メロディを覚えて「ラララ」の状態から探ってもらうってのは。

──だとするとメロディライターとしてのJIROさんは、すごく王道かもしれないですね。

JIRO でも「Monster In my head」は僕の作ったアレンジと完成形は……違いましたね。

山中 あ、そうだっけ?

JIRO もうちょっと、ファンクノリに近いっつうか。

山中さわお(Vo, G)

山中 そうだ。ベースがそんな感じだったんだよね。で、「アレンジをもっとTHE BEATLESみたいな60年代のロックンロール風にしない?」なんて言ってこのリフに変わって……それでテンポ上がったんだ。

JIRO そうですね、はい。

山中 その上がったことによる息継ぎが大変で(笑)。

──じゃあJIROさんのせいじゃないですよね(笑)。

JIRO 俺のせいじゃない(笑)。

一同 ハハハ!(笑)

NIRVANAは一旦お休みで、ヌケるような曲をやりたかった

──ところで、皆さんの最近聴いてるものがTHE PREDATORSの音楽に反映されてたりしますか?

山中 うーんと、僕はあんまり反映されてないっていうか、あんまり音楽を聴いてないかも。

高橋宏貴(Dr)

高橋 俺、例えば「Mission」の平歌のとこのリズムはなぜかSONIC YOUTHを思い出してしまって。テクスチャーとか……マイブームでしたね。

山中 俺、なんかSONIC YOUTH好きにならないんだよね。

高橋 俺もですよ。だから聴いてんのかもしれないです。「大好き」って感覚よりも「これ、何が良いんだろ?」みたいな感覚で聴いてますね。

山中 なんかさ、SONIC YOUTHのTシャツとかカッコいいから好きになりたいんだけど。

高橋 ハハハ!(笑)

──なんかわかりますけど(笑)。JIROさんはいかがですか?

JIRO 最近、FOO FIGHTERSが好きで。作曲のときは、あのポーンってヌケた感じをやりたいなあと思ってましたね。THE PREDATORSではNIRVANAをずっと意識して作曲してきたんですけど、前作で結構暗い感じの曲もできたんで、今回NIRVANAはいったんお休みで、ヌケるような曲をさわおさんに持っていきたいなあと思ってましたね。

山中 NIRVANAからFOO FIGHTERSって(笑)。健全なロックのルートを辿ってるっていうね(笑)。

──そこまで辿るかっていう(笑)。それにしても最近、ロックバンドは生真面目な印象があって。THE PREDATORSはそれに対して、ちょっとレイジーな部分を見せたり、シンプルに「楽しもうよ」っていう提案をしてるように見えるんですよね。

山中 それはね、ほんっとに思うんだよ。だから仲の良い後輩に酔っ払って説教する最悪な先輩になっちゃうんだけど(笑)。最近は30過ぎたぐらいから賢い、難しい、クレバーなほうへ行くんだよね、音楽との付き合い方が。で、ロックを最初に好きになった単純明快な「ロックってカッコいいな」っていう部分を変える人が多いっていうか。自分もそうだったんだけど、俺はすごい早い時期、25ぐらいに1回「凄みを出そう」って思って迷子になっちゃったときがあって、俺の好きな音楽じゃなくなったな。ま、それをTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTによって気付かされて、ロックに戻ってきた人間なんで。

──だからこそ今があるとも言えますね。

山中 大人っぽくなっていくことは簡単だけど、キャッチーで普遍的なことをやっていくのはすごい難しくて、後者をやりたいよねって。the pillowsでもTHE PREDATORSでも、俺はそう思ってやっていたいかな。

郁子さんに「どうも、GLAYのJIROです!」って(笑)

──今年も夏フェスに多数出演しますが、THE PREDATORSで出るときの気持ちって母体のバンドのときとは違うものですか?

JIRO 僕ら(GLAY)自身、フェスに出るってことがないので。しかもTHE PREDATORSのステージって楽しいことしかないんですよ。あとは、そういう場に引っ張ってもらったこともうれしいですね。THE PREDATORSをやるようになって、アーティストの友達もたくさんできたし。

──じゃあフェスのバックヤードなんて「こんなことになってるんだ」って最初は驚きました?

JIRO そうですね。最初の頃、舞い上がりすぎちゃって。

山中 そこで見たんだ、俺。「こんなJIROくんがいるんだ」って(笑)。本来シャイなはずなのに、クラムボンの(原田)郁子さんに「あ! クラムボンだ!」って言って向かってって「どうも、GLAYのJIROです!」って(笑)。

JIRO いや、すごい好きだったんで「うお、本物だ!」って。

──きっと向こうのほうがよっぽど思ってますよ(笑)。

一同 ハハハ!(笑)

THE PREDATORS

ミニアルバム「Monster in my head」 / 2012年8月1日発売 / DELICIOUS LABEL

収録曲
  1. God Game
  2. Monster in my head
  3. Risky Revolution
  4. Crazy Babar
  5. Mission
  6. Hurry up! Jerry!
  7. Monkeyshine
CD+DVD盤 DVD収録内容
  1. God Game(MUSIC VIDEO)
  2. Monster in my head(MUSIC VIDEO)
  3. Crazy Babar(MUSIC VIDEO)

THE PREDATORS(ざ・ぷれでたーず)

the pillowsの山中さわお(Vo, G)、GLAYのJIRO(B)、Scars Borough及びELLEGARDENの高橋宏貴(Dr)によるスリーピースバンド。メンバー全員が母体となるバンドがあるため、活動ペースは2年に1回程度。結成時のメンバーは山中、JIRO、ナカヤマシンペイ(ストレイテナー)の3人で、2005年7月に初音源となるミニアルバム「Hunting!!!!」を発表し、同時に「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO」をはじめ各地の夏フェスやライブイベントに出演する。その後2008年10月に2ndミニアルバム「牙をみせろ」を発売。2010年3月にはナカヤマの脱退と同時に高橋の加入が発表され、同年8月に3rdミニアルバム「THIS WORLD」をリリースする。2012年夏に約2年ぶりに活動再開。4rdミニアルバム「Monster in my head」を発表し、同じく2年ぶりの全国ツアーを開催する。