THE BOOMが再開するかは僕もわからなかった

──デビュー21年目に入り、メンバーチェンジがなくこれだけ第一線で活躍しているバンドも少ないですが、実はTHE BOOMは宮沢和史さんのソロプロジェクト（GANGA ZUMBA、ソロなど）もありバンドとしての活動は2009年まで3年間ほど止まっていたんですよね。ソロが充実してるだけに忘れがちですが、けっこうブランクも長かったですね。

栃木孝夫（Dr）　もしかしたらそのまま（THE BOOM）再開もないのかもと思っていました。2008年に下北沢の喫茶店にメンバー4人だけで集まって、そのときにTHE BOOMの再始動の話をしました。20周年というより、新たな出発をしたいからアルバムも作りたいねとか、ちゃんとツアーをやりたいとか、そんな話をして。

──そのミーティング次第では、ここにTHE BOOMはいなかったかもしれないと……。5年ぶりのアルバムは、新たな音楽ジャンルを取り入れてゲストミュージシャンと一緒に取り組むという形ではなく、4人の演奏が中心となったものでしたね。

山川浩正（B）　「四重奏」というタイトルどおりというのか、バンドの4人が核にいて、ゲストミュージシャンももちろん入ってますけど、バンドの音として聴こえるようにというのが、過去のアルバム以上にこだわったポイントですね。

──そのバンドの音が、ものすごく美しく録られています。高品質なバンドサウンドで。

宮沢和史（Vo）　4人の比重を増やしたいというのがテーマでした。初期のアルバムもゲストを入れずに4人だけで作ってましたけど、いろんな音楽を探究していく上で、いろんな人のアイデアや力がだんだん必要になってきました。4人の比重が減ったわけではないけど、周りが増えることによってその分、自分たちが核として、土台としてしっかりしなくちゃいけない。そこに疲弊していたのは自覚してたから……さっきトチヤさんが（笑）、トチヤさんでしたっけ？

栃木　（笑）トチギです！

宮沢　栃木さんがさっき言いましたけど、（THE BOOMを）再開するかどうかは僕もわからなかった。でも、もしみんながその気になって集合するときには、こういうことをしたいな、というアイデアは自分で他のことをやりながらもメモしているわけですよ。アルバムの「四重奏」というタイトルも、最初は「カルテット」だったけど、だいぶ前からメモしていたし。また集まるなら、いままでいろいろ手伝ってくださったミュージシャンたちから1回離れて、4人の骨組みだけ、東京タワーみたいに骨組みだけで建つものにしたいなと考えていました。それには1人ひとりの音色やこだわりが今まで以上に強くないと、ぐらぐらしてしまう。今まではいろんな人が一緒に支えてくれてたからサンバができたり、（ブラジル）バイーアのグルーヴができたりしていた。それがいないんですから。だからこのアルバムをいい音に感じると言われるのはとてもうれしいですね。まさにそれを目指してましたから。引き算のアレンジで、音が良くなくちゃ成り立たない。