カバーされて「ありがとう」では終わらない

──昨年は奥田民生さんや東京スカパラダイスオーケストラなど、22組のミュージシャンが参加したTHE BOOMへのカバーアルバム「BOOMANIA」もリリースされました。どうでしたか？ 自分たちの楽曲がこれだけカバーされたのを聴いて。

小林孝至（G）　みんな僕らの音楽をちゃんと聴いて演奏してくれてましたね。想像以上に素晴らしくて逆に勉強になっちゃった。「あ、こういうやり方もあったんだ」って。

──そして今年のツアーのタイトルも「BOOMANIA」。あのアルバムに参加したミュージシャンを中心に各会場に1組ずつゲストを迎え、THE BOOMと共演しています。この「BOOMANIA」という企画は20周年の記念品的なものだと思っていたので、ツアーへの発展に驚いたのですが。今度のシングルもその成果ですよね。

栃木　それがTHE BOOMらしいよね（笑）。カバーされて「ありがとう」では終わらない。一緒になにかやりたくなってしまう。THE BOOMが加わってもう一度新しい形を作る。

宮沢　「BOOMANIA」にかかわってくれたミュージシャンがなるべく多く参加するイベントをやりたいというアイデアは出てたんですけど、今年のツアーで各地いろんなミュージシャンが来てくれるというのも楽しいよなあという話にだんだんなってきたんです。今年はそれプラス、昔の曲や、ワンツアーでしかやっていない曲も久しぶりに取り上げて、自分たちが今演奏したいものをやろうという、これまで以上にTHE BOOMの多様性が出てるツアーなんで。そこにさらに「BOOMANIA」にかかわってくれた人たちが入ってくれることによって、言葉で説明する以上にTHE BOOMの歴史を表現できるんじゃないかなって。

──4月のツアー初日の東京のゲストがMINMI feat. PETER MANで、このときのライブ音源がニューシングルのカップリング曲になるんですね。

山川　ライブのMCで、「大阪で『星のラブレター』を広めたのは私だ」って言ってましたね。大阪で歌ってくれてたのか口コミで広げてくれたのかわからないけど（笑）、うれしかったです。Zepp Tokyoではその「星のラブレター」を一緒に演奏しました。「BOOMANIA」でのMINMIさんのバージョンを、僕らが覚えて練習して演奏する。オリジナルとはキーやアレンジも全然違う！

小林　カバーのカバー（笑）。

山川　それをライブで一緒にやってるから、また違うものになってる。

──静岡でのライブは小田和正さんがシークレットゲストだったそうで。

山川　ファンも驚いてたね。ものすごく盛り上がってた！ 小田和正さんが出るのは一般にはシークレットではあるけれど、レコード会社や関係者は知ってるじゃないですか。当日、浜名湖でのライブなのにやけに東京のスタッフが多く来てるなあなんて思ってたら、そういうことだった（笑）。

──先日の日比谷野音は初日のゲストがMONGOL800、2日目が矢野顕子さん。矢野さんが日比谷野音に登場するのは20年ぶり以上って自分で言ってましたね。

宮沢　僕らも矢野さんと一緒にライブをするのは15年ぶりぐらい。

山川　「それだけでうれしい」という曲を一緒にレコーディングしたときに（1992年）、こういう曲を聴きなさいっていろんなCDをいただいて、教えてもらって。そんなことをしていただいた先輩って今までに矢野さんしかいなくて。それからまた10何年もして一緒に演奏できるって本当にうれしかったですね。昔はよくわからなかったグルーヴ感というのが、今はわかる。矢野さん自身のすごさもよりよくわかって貴重な体験でした。