ナタリー PowerPush - THE BOOM

ユウ(GO!GO!7188)フィーチャリング デュエットソングの最新型「蒼い夕陽」

女性ボーカルとデュエットというアイデアで作りました

──新曲の「蒼い夕陽」は、GO!GO!7188のユウさんをボーカルにフィーチャリングしています。ユウさんは、中学生のときに「島唄」を姉のカセットで聴いて衝撃を受けて、人生初のライブ体験もTHE BOOMの鹿児島ライブ(1993年)だったと話していましたが、THE BOOMがGO!GO!7188と出会ったのはどんなきっかけですか?

宮沢 メンバーそれぞれ違うでしょうけど、僕は「すごくいいバンドがいる。トリオで、THE BOOMの音楽も聴いてる」と聞いて、それで彼女たちがデビューした年(2000年)に下北沢のライブハウスに観に行ったのが最初でした。かっこいいなーと思った。

──この曲は、ユウさんを迎えて「男女のデュエットソング」というスタイルにTHE BOOMが挑戦していると感じたのですが。

インタビュー風景

宮沢 うん。女性ボーカルとのデュエットということを考えていて、そのアイデアで作りました。曲ができあがってユウちゃんの顔が浮かんできて、それでお願いしました。ばっちりでしょう。ユウちゃんの歌詞の世界とか歌い方もとても日本的で、昭和30年代、40年代の場末の日本の香りがあるじゃないですか。それがすごくはまってますね。

──リズムはスカですが、メロディには昔の歌謡曲の匂いもあります。

宮沢 THE BOOMの曲には思いっきりラテン的なメロディの曲もあったり、ロック的なメロディの曲もありますけど、多くはとても日本的なメロディです。アレンジでそう聴かせないようにしてるという曲が振り返ってみるとすごく多いんだけど、今はストレートにメロディの面白さを伝えようという感じですね。この次に予定している新曲も日本的です。これまでは照れもあってトリッキーにレゲエにしたりしてたけど、真っ向からやる時期なのかと思っています。しっとりしたものではなくて、激しく日本を歌うというイメージで。20年前に「JAPANESKA」という名前で同じようなテーマでやったことがありますが、2010年に、21年選手が、さらにパワーアップしてやっています。

──夕陽を歌いながらも、それを形容する色は赤やオレンジではなく「蒼」であり、歌詞の中では「月」に味方を頼んでいる。ストレートにはいかないTHE BOOMらしい歌詞ですね。

宮沢 自分のことを照らしてくれない夕陽なんて赤かろうが緑だろうがかまわない。夕陽が沈んでも反対側からまた赤く昇ってくるというのはわかってるけれど、どうせならそのまま息絶えてもう二度と昇ってくるな、みたいな思いかもしれないですね。夕陽を見て、たそがれるというのが僕は嫌で、なるべくそういう歌は作りたくないわけですよ。谷川俊太郎さんが言ってたんだけど、人間は夕陽に見とれるけどそれだけじゃ生きていけない、って。本当にそのとおりだと思う。たそがれていてもしょうがない。だから、僕が夕陽を歌にしたらこうなるぞというのを作ってみたんです。

これから自分でどう研ぎ澄ましていくか

──昨年がデビュー20周年でしたが、現在21年目をどんな心境で迎えているんですか?

小林 いろんなことが理解できるようになってきているんだけど、もっともっと貪欲に行きたいですね。最近思うのは、長い期間やってきたからどうということではなくて、ライブだったら1本1本、レコーディングだったら1曲1曲、その積み重ねじゃないかって思うんです。だから例えばひとつのイベント出演でも、それがうまくいかなければ次には行けないと思う。

山川 今後、突然こんなことをやりたいってバンドとして思うときにそこにバンドのメンバーとして行けるよう、心と身体の準備をいつもしておきたいっていうのは思ってますね。わかんないじゃないですか、急にBPM160ぐらいのテンポで2時間やるとか。……ないと思いますけど(笑)。どう姿形を変えていっても、その中でちゃんと自分のポジション、THE BOOMの中の俺としてやれる準備を、音楽的にもしていかないとと思いますね。

──全然たそがれない向上心!

栃木 ここ1、2年で自分がやってきたドラム、身についていること、慣れきったことを少しずつ見直す作業をしていて、それが楽しいんですね。少しの変化かもしれないんだけど、まだ変われそうな気がして。

宮沢 20年やってきたからって落ち着くともう進化はないでしょうね。同じようにやり続ける人もいますけど、これから自分でどう研ぎ澄ましていくかが大切で。ここで座ってしまうとえらいことになってしまうと思ってます。かっこつけて言うわけじゃないけれど、そこらへんがある種、続けていくことの原動力になっています。まだ、登り応えのある山を越えた感じがないんです。

──いまだ達成感がない!?

宮沢 まだない。バンドでもソロでも、それなりに自分のテーマをクリアはしてきましたけど、達成感というほどのものはないです。それならこれから探していくしかないと思ってます。

インタビュー風景

ニューシングル「蒼い夕陽 feat.ユウ(GO!GO!7188)」 / 2010年9月29日発売 / FIVE D plus

  • [CD+DVD] 1800円(税込) / VFCV-00058B / Amazon.co.jpへ
  • [CD] 1200円(税込) / VFCV-00059 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 蒼い夕陽 feat.ユウ (GO!GO!7188)
  2. 星のラブレター feat.MINMI, Peter Man <BOOMANIA LIVE VERSION>(仮)
  3. 蒼い夕陽 feat.ユウ (GO!GO!7188) <インスト>
DVD収録内容
  1. 蒼い夕陽 feat.ユウ (GO!GO!7188) PV
  2. 星のラブレター feat.MINMI, Peter Man <BOOMANIA LIVE@ZEPP TOKYO MOVIE>(仮)

THE BOOM

THE BOOM(ぶーむ)

1989年、アルバム「A Peacetime Boom」でデビュー。宮沢、小林、山川は山梨県甲府市出身。東京生まれの栃木は、山川の上京後のバンド仲間。1986年のTHE BOOM結成後、レコード会社のオーディションに合格しデビューするまでの2年間は原宿のホコ天で毎週日曜演奏していた。デビュー20周年の2009年にアルバム「四重奏」とベストアルバム「THE BOOM 89-09」をリリース。2010年4月~8月までの全国ツアー「BOOMANIA」には、2009年に発売されたスペシャルベストカバーアルバム「BOOMANIA」に参加したアーティストを中心に、MINMI feat. PETER MAN、MCU、キマグレン、ユウ(GO!GO!7188)、小田和正、友部正人、MONGOL800、矢野顕子、秦基博、おおはた雄一、仲井戸麗市が各地にゲスト出演し、THE BOOMと共演した。