TENDOUJI|俺らが伝えたい音楽、メッセージ、人

俺がフラストレーションを抱えるのはお門違い

──先ほどモリタさんが消えないフラストレーションについてお話しされましたけど、アサノさんの中にもそういった感覚はありますか?

左からアサノケンジ(Vo, G)、モリタナオヒコ(Vo, G)。

モリタ ケンジはそうでもないんじゃない? バンドが売れて金持ちになったら、それを心底楽しめるタイプだと思う(笑)。

アサノ そうだね(笑)。

モリタ 金なんていくらでも使えるでしょ、ケンジは。俺はずっとウジウジしているかもしれないんだよな。今も「一生幸せになれないんじゃないのかな?」とか考えちゃうくらいだから、売れても悩みそう。結局1人でいるときが一番楽しかったりするし。

アサノ ナオは仕事を辞めてバンドを始めたから、どこかで人生を分断している部分があると思うんですよね。だからいろいろ考えたり、悩んだりすることが多いのかも。俺は当時働いてたバイトを辞めたくらいだから、人生そんなに大きな変化がないんですよ(笑)。俺みたいな人間がフラストレーションを抱えるのはお門違いだろうし。どちらかというと、バンドを続けていくとハッピーが増えてます。

モリタ うらやましいっすねえ(笑)。

「聴いてもらえなくても満足」なんて絶対に言えない

──CD盤のボーナストラックには、2月に東京・LIQUIDROOMで行われた全国ツアー「TENDOUJI TOUR PINEAPPLE 2019-2020」ファイナル公演の音源も7曲収録されますけど、この日は振り返ってみていかがでしたか?

アサノ 疲れたっすね(笑)。2時間かけて20曲以上やったんです。

モリタ でも面白かったですよ。LIQUIDROOMではほかのバンドのライブをたくさん観てきたけど、「こんなに盛り上がる?」って驚くくらい熱気がすごかったんです。この日はバレンタインデーだったからチョコを大量にもらえて、出待ちもすごい人数がいるだろうと思ってたんですよ。ライブが終わったあと、スタッフも「一応、一緒に外行きます」とか言ってて。でも出てみたら0人(笑)。

──ははははは(笑)。

手前からアサノケンジ(Vo, G)、モリタナオヒコ(Vo, G)。

アサノ チョコもちゃんと食べきれる数だったし。

モリタ ふざけんなよ!(笑) マジで俺ら、モテないバンドなんだなって実感しましたよ。でも来てくれた客、ライブが終わった瞬間飲みに行ったんでしょうね。それくらい気楽な存在でもいいかな。

アサノ あの日、帰りに恵比寿を歩いていたら、飲み屋の2階の窓から「アサノさーん!」って声かけられましたからね(笑)。「俺、見下ろされるのかよ」って。

──(笑)。このライブ音源にはMCも含まれていますけど、TENDOUJIがどういったバンドで、どんな思いを込めて活動しているのか、すごく明確に語られていると感じました。

モリタ もちろんメンバー自身が語らない美学もあるんですけどね。でも、英語で歌うバンドがただいい曲を演奏するんじゃなくて、「こんなスタイルで、そんなことを考えているんだ」と想像してもらえる言葉を、ちゃんと自分たちから発信したほうがいいと思うんです。

──今のTENDOUJIは、聴き手の存在がよく見えている状態なんですね。伝える相手がいるということが、すごく大きなことになっているというか。

モリタ そうかもしれないです。俺らはデビューしてすぐに売れたわけじゃないし、客0人、友達はメンバーだけっていう状態でスタートしたから、お客さんが増えていくことがとにかくうれしいんですよね。TENDOUJIのファンって友達みたいなんですよ。完全に俺らのことを舐めてるし(笑)。でも、その関係性をもっといいものにしていきたいし、これから俺らを知る人にとっても、TENDOUJIのライブが居心地のいい場所になってほしい。曲を作っていても、お客さんの顔が頭をよぎることが多くなりましたね。目標がないことってすごくつらくて、ただ好きな音楽を作って「誰にも聴いてもらえなくても満足です」なんて絶対に言えない。だからこそ、みんなが喜んでほしいと思うようになったのかもしれないです。

ライブ情報

TENDOUJI Presents "MAKE!TAG!NIGHT!!! vol.4"
  • 2020年7月5日(日) 東京都 TSUTAYA O-EAST <出演者> TENDOUJI / and more
TENDOUJI Presents "MAKE!TAG!NIGHT!!! vol.5"
  • 2020年7月17日(金) 大阪府 梅田CLUB QUATTRO <出演者> TENDOUJI / and more

※公演日程は変更となる場合があります

左からモリタナオヒコ(Vo, G)、アサノケンジ(Vo, G)。