音楽ナタリー Power Push - TeddyLoid×中田ヤスタカ(CAPSULE)

共鳴し合う2人のゲームチェンジャー

TeddyLoidが2ndアルバム「SILENT PLANET」をリリースした。2014年発売の1stアルバム「BLACK MOON RISING」はマスタリングまで含めて彼が1人で作り上げた作品だったが、一転して今作は中田ヤスタカ(CAPSULE)、柴咲コウ、☆Taku Takahashi(m-flo)、池田智子(Shiggy Jr.)、HISASHI(GLAY)、KOHH、WRECKING CREW ORCHESTRA、JUN 4 SHOT(FIRE BALL)、N∀OKI、NOBUYA、KAZUOMI(以上3名ROTTENGRAFFTY)、近田春夫、tofubeats、小室哲哉、志磨遼平(ドレスコーズ)、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)というさまざまなジャンルのアーティストが参加。曲ごとにバラエティに富んだサウンドを聴かせつつも、一貫したストーリーを持つコンセプチュアルな内容になっている。

そんなTeddyLoidが最も影響を受けていると公言しリスペクトしてやまないのが、アルバムのオープニングを飾る「Game Changers」に参加した中田ヤスタカだ。音楽ナタリーでは今回この2人の対談を実施。互いのアーティストとしてのスタンスや、作品の制作スタイル、そして共通の趣味だというクラシックゲームなどについて語り合ってもらった。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 佐藤類

 
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「一生越えられない大きな壁」を初めて感じた

──Teddyさんは昔から中田さんが憧れの存在だったそうで。

左からTeddyLoid、中田ヤスタカ。

TeddyLoid 冗談抜きで、本当に日本で一番尊敬する人です。中学生のときにPerfumeさんの「コンピューターシティ」を聴いて、最初はアイドルの曲だとは思わなかったんです。海外のエレクトロに聞こえるけど、日本語で歌ってるしケロケロしてるし、なんだろうって。ホントに「コンピューターシティ」は衝撃的だった。それからTeddyLoidを始める前の年に、CAPSULEさんの「FLASH BACK」っていう曲を聴いてまた衝撃を受けたんです。当時Daft PunkとかJusticeが好きで、僕もそういうことをやってみたいと思ってたんですけど、自分がやりたかったことを想像以上のレベルですべて先にやられてて……。その頃、CAPSULEさんがApple Storeでインストアライブをやってたから、出待ちして握手してもらったんですよ。

中田 あー、Apple Storeでライブしたことがあった(笑)。

TeddyLoid TeddyLoidを始めてからはヤスタカさんと同じイベントでDJをすることも多かったんですけど、最初のうちは大好きすぎてなかなか声もかけられず(笑)。

中田 一緒の日にDJをやることはよくあったんだけど、前にWOMBかどこかでTeddyのあとに僕の出番だったことがあって。DJブースに一緒に入るのはそのときが初めてで、あのときすごい「やっと会えましたね感」を感じたね(笑)。

TeddyLoid あははは(笑)。

中田 なんか異常にTeddyのテンションが高くて、めっちゃスクラッチしてたのをすごい覚えてる(笑)。

TeddyLoid そうそう(笑)。僕の曲にヤスタカさんが「FLASH BACK」をつなげてくれて、そこに僕がスクラッチを入れて。まさにその状況、僕がTeddyLoidを始めてから何年か越しで夢見てたことなんですよ。

中田 マデオンとかもそうですけど(参照:マデオン×中田ヤスタカ(CAPSULE)対談)、僕の曲を聴いてプロになった世代が出てきたのはすごく面白いですね。僕が当時やりたかったのって「まだ世の中的にアリになってないことを先にやろう」ってことだったんです。でもそれで「ナシだったものがアリになった」って感じたのはたぶん20代以上だったと思う。中学生や高校生のときに、最初から「アリ」なものとして普通に僕の音楽を聴いてた世代がプロになるっていうのは面白いです。あと、僕は「大衆をあっと言わせたい」というより、「音楽を作ってる同業者が悔しがるようなクリエイティブ性を持ちたい」っていつも意識してて。たぶん昔のTeddyは中学生ながら作ってる側の聴き方をしてたんだと思う。

TeddyLoid そうですね(笑)。

中田 僕はそういう人に何かきっかけを与えるようなことをやりたいなって思ってるから、10代のときに僕の音楽に刺激された人が今ミュージシャンとして活躍してるのはうれしいです。

TeddyLoid 僕は当時、音楽で目標にする人が日本に誰もいなかったんですよ。だからヤスタカさんの曲を聴いたときは、悔しかったとともに、やっと目標にすべき人ができたってうれしかった。当時から曲を聴いて「この音はこうやって出してるんだな」みたいなことは全部わかってたけど、それでも「この人だけは一生越えられないかも」っていう大きな壁を初めて感じてました。

──Teddyさんが中田さんから影響を受けてる部分って、具体的に何かありますか?

TeddyLoid ボーカルのカットアップとか音楽的なこともあるけど、ヤスタカさんってホントに自分が楽しいこと、やりたいことをやってるんですよ。それができてないミュージシャンは多いんですよね。でもレコード会社に言われた通りに作った音楽って、僕は面白くないなと思う。ヤスタカさんは好きなことをやって「こういうのが楽しいよね」ってみんなに提示してくれるので、僕もそれで育つことができたし、僕自身そういうアーティストでありたいなと思ってます。

中田 いいこと言ってくれる。今度CAPSULEのアルバムを作ったら、インタビューは僕の代わりにTeddyに全部話してもらおうかな(笑)。

パラデータが届いたときに泣けてしまって……

中田 今まで僕が作曲した曲は音を作るところまで自分でやってきたんで、デモを渡して「あと任せる」みたいなことをやったのは今回が初めてなんですよ。歌詞を書かないことは今までもあったんですけど、曲を作るときはアレンジも一緒に最後までやるのが基本なんで。

──あ、そういえばそうですね。

中田 僕が今まで共同作業みたいなことをやってこなかったのって、できあがったものにどうしても違和感があるからなんです。みんな「いい違和感」を求めてコラボレーションをすると思うんですけど、僕は音作りに関してはなかなか難しくて。どんな音源が仕上がってきたとしても、「もうちょっとこうしたい」って気持ちになると思う。

TeddyLoid そうかもしれないですね。

中田 でも今回の曲は普通にすんなり聴けましたね。なんかこう、僕とTeddyのエネルギーの使い方が同じというか、ベクトルが一緒なんだろうな。「そうそう、そういうことそういうこと」みたいな(笑)。コラボだからあえてあんまりフレーズとかは入れないでおこうかなと思ってたんですけど、「使っても使わなくてもいいよ」って言って渡したフレーズが、けっこうそのまま入ってた(笑)。

TeddyLoid

TeddyLoid いろんなゲストを迎えるアルバムを作ることになって、まず一番にヤスタカさんにお願いしたんですけど、まさかこういう形で参加していただけるとは思わなかったしホントに光栄でした。別に泣ける曲じゃないのに、パラデータが届いたときにグッときて泣けてしまって(笑)。僕は誰よりもヤスタカさんのマニアだと思ってるんで、ヤスタカさんの音を生かしたかったんです。だからドラムのフィルとかシンセのアルペジオとか、送ってもらった音をできるだけそのまま使いたかった。

──中田さんに作曲してもらう上で、Teddyさんから何かオファーはしたんですか?

TeddyLoid 全部お任せしました。

──Teddyさんはアルバムを作るときに、全体を貫くストーリーや細かい設定を考えますよね。

TeddyLoid それも伝えませんでしたね。ヤスタカさん、この「SILENT PLANET」は言葉と音楽が禁じられた沈黙の惑星がテーマで、そこに囚われた人たちをゲストの皆さんとともに音楽で解放するっていうストーリーなんですよ。

中田 へえー。それさ、スマホのアプリでゲームにしようよ(笑)。

TeddyLoid したいです(笑)。で、ヤスタカさんと作った「Game Changers」はそのオープニングで、アーケードゲームにコインを入れてゲームの中に飛び込むっていうイメージなんです。2人のプレイヤーがこれから世界をひっくり返すっていう。実は僕とヤスタカさんはクラシックゲームっていう共通の趣味がありまして、ヤスタカさんからデモをいただいたときに、それがパッと頭に浮かんだんです。

2ndアルバム「SILENT PLANET」 / 2015年12月2日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD2枚組] / 3564円 / KICS-93324
通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3324
CD収録曲
  1. Game Changers with 中田ヤスタカ (CAPSULE)
  2. Searching For You feat. 柴咲コウ
  3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo)
  4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr.
  5. Last Teddy Boy feat. HISASHI from GLAY
  6. Break'em all feat. KOHH
  7. We Are All Aliens with WRECKING CREW ORCHESTRA
  8. Lion Rebels feat. JUN 4 SHOT from FIRE BALL & N∀OKI,NOBUYA & KAZUOMI from ROTTENGRAFFTY
  9. VIBRASKOOL feat. 近田春夫 (Professor Drugstore a.k.a. President BPM) & tofubeats
  10. Above The Cloud with 小室哲哉
  11. はじらい Like A Girl feat. 志磨遼平 from the dresscodes
  12. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ
初回限定盤付属CD収録曲
  1. Game Changers with 中田ヤスタカ (CAPSULE) (Extended Mix)
  2. Above The Cloud with 小室哲哉 (Extended Mix)
  3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo) (Extended Mix)
  4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr. (Dub Mix)
  5. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ (Ambient Mix)
  6. Searching For You feat.柴咲コウ (Ambient Mix)
TeddyLoid(テディロイド)
TeddyLoid

1989年8月23日生まれの男性アーティスト / 音楽プロデューサー / DJ。18歳でMIYAVIのメインDJ / サウンドプロデューサーとして13カ国を巡るワールドツアーに同行した。2010年には☆Taku Takahashi(block.fm / m-flo)とともにテレビアニメ「Panty & Stocking with Garterbelt」のサウンドトラックを担当。翌2011年には柴咲コウ、DECO*27とともにgalaxias!を結成し、アルバムを発表した。2013年にはももいろクローバーZの楽曲「Neo STARGATE」でアレンジを担当したほか、同年4月の「ももいろクローバーZ 春の一大事 2013 西武ドーム大会」ではDJとしてもライブに参加。さらにMEGやマドモアゼル・ユリア、TEMPURA KIDZ、Yun*chi、the GazettE、SuGなどさまざまなジャンルのアーティストの楽曲プロデュースやアレンジ、リミックスを手がけている。2013年8月からは自身のオフィシャルサイトで、「BLACK MOON RISING」と銘打たれた連作を発表。2014年7月にキングレコードの新レーベル「EVIL LINE RECORDS」とアーティスト契約し、翌8月にワンコインCD「UNDER THE BLACK MOON」、9月に初のオリジナルアルバム「BLACK MOON RISING」をリリースした。2015年9月にはももいろクローバーZの楽曲をリミックスしたアルバム「Re:MOMOIRO CLOVER Z」を発表。同年12月に中田ヤスタカ(CAPSULE)、池田智子(Shiggy Jr.)、HISASHI(GLAY)、小室哲哉、志磨遼平(ドレスコーズ)、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)ら豪華ゲストを迎えた2ndアルバム「SILENT PLANET」をリリースした。

中田ヤスタカ(ナカタヤスタカ)
中田ヤスタカ

2001年に自身のユニットであるCAPSULEにてCDデビュー。以降、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースをはじめ、アニメ映画「ONE PIECE FILM Z」オープニングテーマ曲や「LIAR GAME」シリーズのサウンドトラック、テレビ・ラジオ番組のテーマ曲制作など多方面にてに活躍している。昨今はカイリー・ミノーグやマデオンへのリミックストラック提供をはじめ、映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」の挿入楽曲に携わるなどグローバルに活動を展開。また自身主催によるレギュラーパーティを定期的に開催しているほか、大型フェスやファッションショーなどにも出演している。