TEAM SHACHIインタビュー|結成から10周年、チームしゃちほことの融合を経てより強い“TEAM”に (2/3)

苦戦した「HORIZON」のレコーディング

──「HORIZON」を歌うときに特に苦労したところがあればそれぞれ教えてください。

坂本 ハルはやっぱりラップ。TEAM SHACHIになってからもたくさんラップパートを担当させてもらっているけど、「HORIZON」のラップは本当に大変でした。リリックに対して尺がかなり短いと言うか、本当にツメツメなラップだったんですよ。「姿はまだ全部見せずに……」という最初のラップパートは、英語っぽく聞こえるようにラップをして、それが挑戦だったし、リズムの取り方も難しかったんです。しっかり表、裏ってわかるわけじゃなくて、絶妙な裏取りだから難しくて。

大黒 しかもダンスのリズムとも合ってないんだよね(笑)。体は音ハメしているのにラップはそうじゃないから、踊りながら歌うには歌詞の置き方が難しいなと思った。

坂本 そうそう。かなり大変だった。レコーディングでは、練習してきたものよりも「もっと後ろで」とディレクションをもらって、何回も何回も録り直しました。

咲良 ハルのラップのレベルが上がるにつれて、ハルに求めることも増えて、ラップパートをギリギリまで詰めるようになったよね。だからハルもいろいろなパターンで準備を進めてレコーディングに臨んだと思う(笑)。

大黒 ラップパートって最後にレコーディングするじゃん。仮歌の段階では聴いてるけど、できあがったら全然違う歌詞になってたりもするし、ギリギリまでいろいろやってるんだなって。「SURVIVOR SURVIVOR」とかもびっくりしたよ。

秋本 臨機応変にやっててすごいよ。ハルなりの100点を毎回出しちゃうんだから。

坂本 以前からMCUさんにたくさん鍛えてもらっているので、今回の「HORIZON」でいいテイクが録れてよかったです。

坂本遥奈

坂本遥奈

──大黒さんが苦労したところは?

大黒 Bメロ! 最初聴いたときはうまくいきそうだなと思ったんですけど、リズムと譜割りがバラバラというか、後ろで鳴ってるズンズジャン、ズンズジャン……っていうリズムを意識しちゃうと歌えないんですよ。意外と速い。

──Bメロはトラックと歌が独立しているというか、歌のガイドになるものがあんまりないですよね。

大黒 そうなんですよ。大体後ろのサウンドを聴いたらリズムを取れるのに、Bメロに関してはそれができないんです。最初の頃はそのパートにボイトレの時間を費やしました。作り込むために計5時間くらい歌っていたと思います。ハルも同じパートがあるんですけど、リズム感があるハルも難しいって言っていたので、これは本当に難しいんだなと思って。できなさすぎて途中で泣きそうになりながらなんとか歌えました。

──咲良さんのパートもパワフルで聴き応えがあります。

咲良 意外とそこよりもAメロのほうがレコーディングは大変でしたね。歌のディレクションが細かくて、表現を少しずつ変化させながら展開していくように録って。いろんなパターンで録ったから、最後どのテイクが採用されたのかわからない(笑)。

坂本 菜緒のパートは、「斑柄その瞳は」とか「泡沫の朧な星」みたいな普段言い慣れていないワードが多いよね。ハルが最初に練習してたときは「斑柄その瞳は」が全然言えなかった(笑)。

咲良 逆に私はハルのパートが難しかったよ。

坂本 最初は全部練習してたけど、パートが決まってからはそれぞれ自分のパートを練習してたから、レコーディングのときはお互いにすごいって思ったよね。尊敬しちゃう。

──チームしゃちほこ時代からセリフパートと言えば秋本さん。今回もお得意のセリフパートがありますが、いつもとはちょっと様子が違いますよね。

秋本 今まではキュートでラブリーな感じでっていうディレクションが多かったんですけど、今回は「ドールズフロントライン」の世界観に則って曲を作ってもらったので、その世界観を崩さずにセリフを言うように努力しました。自分なりに落ち着いた感じでやったら「もっと冷静に、もっと冷徹に、人形のように」ってディレクションを受けて、どんどん変化していって。しかも1番、2番、3番それぞれで心情が変わっていくから、それを表現するのが難しかったです。でもファンの方から「それぞれのセリフでトーンが違う」とか「今までの感じとは全然違うね」という声をいただいて、しっかり伝わったみたいでうれしかったです。

秋本帆華

秋本帆華

──天真爛漫な秋本帆華という人間と、冷徹は真逆のところにありますよね。だからこそこのパートを任されたのは、表現者として1つ新しいステップに上がるチャンスだったのかもと思いました。

秋本 そうですね。難しかったけど、やれてよかったです。

大黒 ライブの中であの感じでセリフを言うのめっちゃ大変そう。テンションも息も上がってるじゃん?

秋本 そうなの。テンションはもちろんすごく上がってるし、このセリフの次がサビだから私も気分を上げていきたいんだけど、そこをグッとこらえてすごく低い声でしゃべってます。

──あのセリフで一度クールダウンさせるからこそ、サビが爆発的なパワーを持つんだと思いますよ。

秋本 ダーンって殴られるようなサビですよね。

大黒 あれ殴られてるの?

秋本 うん。すごく気持ちよく(笑)。

大黒 サビで菜緒が気持ちよく高音を出せるかは、ほーちゃんのセリフにかかってくるよね。

秋本 がんばりますね。

咲良 よろしく(笑)。

打ち込み生まれ打ち込み育ち

──「TEAM」の1曲目「POSITIVE BEAUTIFUL!~後ろ向きま宣言~」は、フレンズのおかもとえみさんが作詞、PARKGOLFさんが作曲した楽曲です。ラウドな曲が多かったTEAM SHACHIにとっては新しいテイストの楽曲ですね。

秋本 「どうにかなるさ」とか「楽しんだもの勝ち」みたいな歌詞は私たちっぽいというか、普段思っていることとリンクしていていいなあと思ったし、素直な気持ちで歌えました。

咲良 そうだね。ありのままって感じ。

──グループとしてもポジティブはテーマの1つですもんね。TEAM SHACHIになってからはバンドサウンドが多かったですけど、今回は打ち込みサウンドで。

咲良 しゃちほこ時代は、打ち込み曲ばかりだったから歌いやすかったですね。

坂本 うちら打ち込み生まれ打ち込み育ちだもんね。

咲良 初期は打ち込みまくってたからねえ。

秋本 へへへ(笑)。

坂本 テンション感とかノリながら歌える感じとかすごくよかったよね。

大黒 馴染み深いよね。

咲良 打ち込みだとリズムがバチってわかるじゃん? そのよさがある。

咲良菜緒

咲良菜緒

──バンドサウンドじゃないから物足りない、みたいなことはなかったですか?

坂本 全然ない。むしろ新鮮だったから楽しんじゃった(笑)。

大黒 あとさ、仮歌がえみそんさんでめっちゃよかったんだよね。完成されてた。

咲良 かわいい、カッコいい、おしゃれな歌だった。

──おかもとさんは歌い上げる系が得意というか、いわゆる歌ウマな人ですよね。歌について何かディレクションはありました?

秋本 レコーディングにも遊びに来てくれたんですけど、ディレクションというか、ポジティブな言葉をたくさんもらいました。

あ、今がここぞというときなんだ

──新曲の「Rainbow」はどんな曲になりましたか? ファンへの思いが詰まった曲だなと思いましたが。

坂本 実は5年前のチームしゃちほこ時代にすでにあった曲なんですよ。

大黒 「JUMP MAN」や「カラカラ」と“同期”なんです。

──言われてみれば作家がyouth caseさんで「パレードは夜空を翔ける」とも近い雰囲気がありますし、その頃のチームしゃちほこっぽいですね。

秋本 わかるのさすがすぎる(笑)。

坂本 本当にずっと観てくれているからそう感じてくれるんだよね。きっとファンの皆さんもあの頃の曲だって知ったら「なるほど」となると思う。みんなお気に入りの曲だったんだけど、「ここぞというときに出そう」という話になってずーっとずーっと温めてきた曲。だからやっと聴いてもらえるのがうれしいです。ブラスが入って雰囲気も変わったよね。

秋本 おしゃれになった!

大黒 私、「Rainbow」を歌うまで死ねないって思うくらいこの曲が好きで、ずっと出したかったんだよね。「ここぞというときに出す」と言われ続けていたので、「TEAM」に入ると決まって「あ、今がここぞというときなんだ」と思って。

咲良 ねえ、重いんだけど(笑)。もう死んでもいいの?

大黒 新しい目標がきっとできるから大丈夫(笑)。

──でもチームしゃちほこ時代から数えると今年で10周年。本当に「ここぞ」のタイミングな気がします。

秋本 このタイミングで明るいだけの曲が出せるのがうれしい。

坂本 明るいだけの曲ってどういうこと?

秋本 暗い要素が一切ない、ただただ幸せな気持ちになれる曲。ライブでみんなと一緒に歌いたい「Today」のあとに入っているのもいいよね。