ももいろクローバーZの高城れにがライブDVD / Blu-ray「まるごとれにちゃん」を8月30日にリリースした。今作は3月9日に彼女の地元・横浜にある神奈川県民ホールで行われた自身3度目のソロコンサートの模様を収めた映像作品。彼女が客席に降りてファンのすぐ近くで歌うシーンや、時間をかけて思いを伝えたMCの様子など、ライブの模様をたっぷり楽しめる内容となっている。
音楽ナタリーでは、高城へのインタビューを実施。取材前日にDVDを観たばかりだったと言う高城は、ソロ活動を始めた経緯や、ソロコンサートのセットリストを組んだ際のエピソード、理想とするファンとの関係性などについて語ってくれた。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 草場雄介
ソロ活動のきっかけは架空のチケット
──高城さんがソロを始めたきっかけはなんだったんですか?
ざっくり説明しちゃうと、架空のチケットを作ったことが始まりなんですよ。
──2014年に刊行されたムック「ももクロぴあ vol.2」の企画ですね。
そう。「高城れにソロコンサート」のチケットを作ったんですけど、日程は“20xx年xx月xx日”でなんにも決まってなくて。でも「このチケット、いつか使いたいね」っていうのが始まりだったんですよ。結局なかなか機会がなくて、しばらく時間が経ってから「そういえばあんなチケットあったよね」という話が出て、その流れで「じゃあ、やるか」ってなったのが2015年の最初のソロコンサートだったんです。
──架空のチケットには開催場所が東京キネマ倶楽部と記載されていましたけど、実際は名古屋CLUB QUATTROでやることになり。
最初のソロコン(2015年3月9日開催「高城の60分4本勝負」)は1日4回公演だったんですけど、そのうちの1回は架空のチケットを持ってる人だけのライブにしたんです。だからもともとは自ら進んでソロをやりたいっていうことじゃないという。で、初ソロコンの最後に、スタッフさんが「来年もソロコンをやる」って発表をしたんですよ。
──本人のあずかり知らないところで(笑)。
ももクロによくあるサプライズ発表で。それで「来年もあるんだね」ってことで、2016年にも同じ日に名古屋でやらせていただいて(名古屋市民会館で開催「さくさく夢楽咲喜共和国 ~笑う門にはノフ来る~」)。
──そもそも「いつかソロでやってみたい」という思いはあったんですか?
実はあんまり(笑)。5人でステージに立っていても緊張するくらいだし、1人でやるって選択肢自体が私の中になかったです。もともと人前に出るのがあまり得意じゃないし、1人で歌うこともカラオケくらいしかなかったので。
──「ソロはイヤです!」とはならなかった?
イヤとはならなかったな。架空のチケットを作ったときにやるって言っちゃったのもあるし(笑)。最初からやりたいという気持ちはなかったけど、やる流れになっても「イヤだな」って思うことはなかったです。そのときはどのメンバーもソロコンサート自体をやったことがなかったので、いろいろと未知すぎて。
紫の服を着ている人はみんな友達
──高城さんに続いて、有安杏果さん、佐々木彩夏さんもソロコンサートを開催して、百田夏菜子さんと玉井詩織さんは“ももたまい”コンビでコンサートを行いましたが、ほかのメンバーのソロコンを観て、どう思いました?
1人ひとりカラーがあるなって思いました。ももクロの5人でいるときの個性が、それぞれのソロコンサートにも出ていて。やっぱりそれぞれ思い描いていることが違うから、ライブの雰囲気や楽しみ方も違ってくるし、観ていて面白かったです。なんかももクロの自分がメンバーのライブを観ると言うよりも、ファンになれると言うか。
──新鮮な経験だったんですね。
今までメンバーのライブを客観的に観るのってテレビぐらいしかなかったので、不思議な感じがありました。「ああ、ファンの人ってこういう気持ちなんだ」とか、モノノフさんが何にうれしさや楽しさを感じるかがわかった気がしました。
──なるほど。
あと、「ももたまい婚」はももクロのライブに近かったと思う。今まで私たちがやってきた基礎に倣ってやっているなって。
──「ももたまい婚」は2人の結婚披露宴という設定からしてぶっ飛んでいますけど、なんだか初期のももクロっぽさがありましたよね。で、有安さんのソロコンはストイックに音楽と向き合ったもので、佐々木さんはあーりんワールド全開のエンタテインメント性があって。そういった中で、高城さんのソロコンにはどういう特色があると思いますか?
私はライブっていうことをまず忘れてますね。感覚的には、お正月に親戚がみんなで集まってわちゃわちゃして、「また来年も集まろうね」っていうような雰囲気。私、勝手に紫の服を着ている人はみんな友達だと思ってるので、ソロコンサートの空間ではアイドルとファンっていう関係性をできるだけなくしたいんです。
──ももクロとは全然違う感覚?
そうですね。自分の思ってることを言葉にするのがそんなに得意なほうではないんですけど、ソロコンサートでは時間をかけてでも、それを伝えたいと思っていて。昨日このDVDを家で観てたら、「MCがなっがい!」って感じました(笑)。でもたぶん、そのときの私は、時間をかけてでも思いを伝えたいって思っていたし、ファンの方との信頼関係が成り立っているからこそ、あんなに長くしゃべれたんだなって。
──それでも伝えきれない部分はあったんでしょうか?
伝えたかったことは全部伝えました。主に2016年に思ったことや感じたことを報告する場所だったし、ソロコンサートが自分にとって1年を総括する機会だと思っているので。私、普段から話にまとまりがなくて、家族と一緒にいるときとか思ったことをポンッて言っちゃうんですよ。うまく説明できないのに思ったことをざっくりと。ソロコンを振り返ると、自分がそういうまとまりのない感じになっていたから、ステージでは家族といるときみたいに落ち着いていたんだなって思います。最初まとまってなくても、時間をかけてゆっくり言いたいことを伝えて。そういうところでも、あのコンサートの空間は私にしか作れないものだと思っています。
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「自分がファンだったら」
- 高城れに「まるごとれにちゃん」
- 2017年8月30日発売 / KING RECORDS
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[Blu-ray]
7344円 / KIXM-287 -
[DVD2枚組]
6264円 / KIBM-665~6
- 収録内容
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- まるごとれにちゃん
- 好きだ。
- 好きな人がいること
- 病名恋ワズライ
- White Love
- なんでもないや
- 君のようになりたい
- スターダストセレナーデ feat. 高木ブー
- はい!もしもし…夏です!
- 金曜日のおはよう -another story-
- 最強パレパレード
- ハッピー☆彡
- 残酷な天使のテーゼ
- realize
- てをつなごうよ
- RPG
- BELIEVE
- co・no・mi・chi
- しょこららいおん feat. 高木ブー
- 一緒に
- 3月9日
overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
- Making of「まるごとれにちゃん」
- 高城れに(タカギレニ)
- 1993年神奈川生まれ。2008年に結成されたももいろクローバーのオリジナルメンバーで、メンバーカラーは紫を担当している。キャッチフレーズは「ももクロの鋼少女」。2015年3月9日に愛知・名古屋CLUB QUATTROでももクロメンバー初となるソロコンサート「高城の60分4本勝負」を行った。これ以降、1年に1回のペースでソロコンサートを行っており、2016年3月9日には愛知・名古屋市民会館で2回目のソロコンサート「さくさく夢楽咲喜共和国 ~笑う門にはノフ来る~」を、2017年3月9日には地元である神奈川・横浜にある神奈川県民ホールで「まるごとれにちゃん」を開催。7月には世界遺産の1つである沖縄・今帰仁城跡(なきじんじょうあと)で自身4度目のソロコンサート「ハイサイ!れにちゃん」を成功させた。これまでにソロ楽曲として「しょこららいおん」「まるごとれにちゃん」「一緒に」「『3文字』の宝物」を配信限定でリリース。8月には神奈川県民ホールの模様を収めたライブBlu-ray / DVD「まるごとれにちゃん」を発表した。
2017年10月6日更新