音楽ナタリー Power Push - Tokyo 7th シスターズ

拡大するナナシスの世界 茂木総監督が語るその構想

アイドルを育成およびプロデュースするiOS / Android用ゲームアプリ「Tokyo 7th シスターズ」(通称ナナシス)の楽曲を詰め込んだ2ndアルバム「Are You Ready 7th-TYPES??」がリリースされた。

ゲーム内に登場するさまざまな個性を持ったユニットの楽曲を、2枚のディスクに分けて収録した本作。kz(livetune)の書き下ろし曲で幕を開ける「Starry Sky Disc」(赤盤)には、ゲーム内で伝説のユニットとして君臨するセブンスシスターズや、メイングループ・777☆SISTERSのライバルユニットである4U、KARAKURIの楽曲に加え、ボイスドラマを収録。一方の「Blue Sky Disc」(青盤)には、777☆SISTERSを筆頭に、派生ユニットであるWITCH NUMBER 4、SiSH、NI+CORA、サンボンリボンなどの初音源を含む楽曲群が収められている。また青盤のラストには、777☆SISTERSのメンバー春日部ハル名義による新曲「またあした」が収録されているのも魅力だ。

音楽ナタリーでは今回、ナナシスの総監督&総合音楽プロデューサーである茂木伸太郎にインタビューを実施。さらなる進化を遂げたナナシスワールドを詰め込んだ本作にまつわる話と、8月21日に開催される2ndライブへの意気込みを聞いた。また、ナナシス声優陣から募った茂木への質問に対しての回答も同時に掲載する。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 関口佳代

「ナナシスとは何か?」を打ち出したかった

──待望の2ndアルバムは2枚組の大ボリューム作になりました。

茂木伸太郎

非常にナナシスらしい作品になったので、とても満足してます。今回、アルバムを作るにあたってナナシスの楽曲を並べてみたときに、それぞれのユニットの個性や活動する時代によって曲調が全然違うなって改めて思ったんですよ。なので、その違いを2枚のディスクに分けて表現することをまず決めたんですよね。

──その具体的な違いとは?

セブンスシスターズや4U、KARAKURIは、作品の中でも現実世界でも時代や偶像をバリバリ破壊し、常識を突破してくれるような情熱を持っている。777☆SISTERSやそこから派生したユニットには青春感や現在進行形で成長していっている“匂い”がすごくある。そういった雰囲気の違いだと思います。今回はその違いをそれぞれ赤と青という色でも表現してますね。

──「Are You Ready 7th-TYPES??」というアルバムタイトルにはどんな意味を込めましたか?

シングル「SEVENTH HAVEN」をリリースしたときに、「Are You Ready STEREO-TYPES??」というキャッチコピーにしたんですけど、それは「準備はいいか、固定観念さん?」というイメージだったんですね。

──ちょっとシニカルな表現でしたよね。

そう。で、今回のアルバムではステレオタイプから新しいタイプへの移行っていう意味を出したかったんですけど、いわゆる“NEW-TYPES”ではなく“7th-TYPES”っていう言葉を使ったのはファンの人たちに対しても、作品世界のキャラクターたちに対してもこれがナナシスですという気持ちをここで改めて打ち出したかったんです。

“赤盤”は行きすぎた感があってもいい

──「Starry Sky Disc」と名付けられたDisc1、通称“赤盤”はkzさんによるインストで幕を開けます。

この曲は「SEVENTH HAVEN」のときにはすでにオーダーしてました。2枚組のアルバムにするコンセプトにおいて、それぞれのディスクには“イントロ”が絶対必要だったんですよ。で、赤盤は「SEVENTH HAVEN」から始まるので、それにつながるインストをお願いしますという依頼をして。もう間違いない仕上がりでしたね。

──そこからセブンスシスターズ、KARAKURI、4Uの曲が続きます。先ほど、これらのユニットに対して“情熱”というワードが出ましたけど、確かに攻めた楽曲ぞろいですよね。

  • セブンスシスターズ「SEVENTH HAVEN」ジャケット
  • KARAKURI「-Zero」ジャケット
  • 4U「TREAT OR TREAT?」ジャケット

777☆SISTERという12人のユニットはポップカルチャーを代表する設定である以上、ある程度、音楽性と大衆性のバランスを取らないといけないと思ってはいるんですけど、でも、この3組に関してはあまりビジネス的な観点とか、そういうことをあんまり考えなくていいと思っているんです。個性全開でいいというか。特にセブンスシスターズは過去のグループであり、その物語には終わりがあるわけですから。

──最初から解散することがリスナーにはわかっているわけですもんね。

そうです。だからこそ楽曲に関してもバランスをあまり考えなくてもいいんじゃないかなって。ちょっと狂ってるくらいの、行きすぎた感があってもいいと思って今のサウンドにしました。

──4Uの「TREAT OR TREAT?」はEMO editとHINA editを加えた3バージョンが収録されています。これはどうしてなんでしょう?

要は4Uの佐伯ヒナと鰐淵エモコバージョンなんですけど、もともと録ってはいたんですよ、音源化されていなかっただけで。そのできがよかったんで、日の目を見ないのはもったいないだろうと。別に4Uびいきってことではないです(笑)。

──赤盤のラストには「Is This it, Sisters!?」と題されたボイスドラマも。茂木さんにとって、CD作品にドラマトラックを収録する意図とは?

ナナシスの中にはユニットごとのエピソードとか物語がホントに星の数ほどあるんですけど、それをアウトプットする場所という意味合いが1つありますね。CDに込めた思いがそのドラマトラックと絡んでいる場合もあれば、そうでない場合もあって、今回はそれほど内容的なリンクは狙ってないんですけど、「t7s Longing for summer」や「H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!」のドラマは完全にリンクしています。

──とは言え、赤盤の楽曲がより広がりを持って聴ける内容にはなっていますよね。

そこはもちろんそうです。総監督&音楽プロデューサーとしての自分はそれを単なるアウトプットの場だけとして捉えたくはないので、何かしらの意味は持たせたい。でも脚本担当としての自分がそれにこだわってばかりいると作品の面白さや幅を見失ってしまう……。だから赤盤に入っているグループに関することを777☆SISTERSの子たちがやるっていう話にしました。そこに関してはちゃんと狙ってます。ただ、今回のドラマトラックは幕間みたいなイメージが強いかな。赤盤から青盤に行く間にワンクッション置くというか。

──ということは、2枚のディスクに分かれてはいるけど、通して聴いてほしいという思いも強いですか?

その思いは強いですね。ぜひ通して聴いてください! というか、むしろ通して聴いてもらわないとあんまり意味がないと思ってるくらいです(笑)。

2ndアルバム「Are You Ready 7th-TYPES??」 / 2016年6月29日発売 / Victor Entertainment
プレミアムボックス[ボックスセット] / 10000円 / VIZL-988
「Are You Ready 7th-TYPES??」ジャケット
初回限定盤[CD2枚組+DVD+グッズ] / 4320円 / VIZL-989
通常盤[CD2枚組] / 3564円 / VICL-64589~90
DISC 1 Starry Sky Disc(赤盤)
  1. Intro~Are You Ready 7th-TYPES??~
  2. SEVENTH HAVEN / セブンスシスターズ
  3. FALLING DOWN / セブンスシスターズ
  4. -Zero / KARAKURI
  5. TREAT OR TREAT? / 4U
  6. TREAT OR TREAT? (EMO edit) / 4U
  7. TREAT OR TREAT? (HINA edit) / 4U
  8. Is This it, Sisters!? / (ドラマトラック)
DISC 2 Blue Sky Disc(青盤)
  1. Intro -to be the Blue Sky...-
  2. 僕らは青空になる / 777☆SISTERS
  3. FUNBARE☆RUNNER / 777☆SISTERS
  4. ラバ×ラバ / WITCH NUMBER 4
  5. さよならレイニーレイディ / SiSH
  6. You Can't Win / NI+CORA
  7. セカイのヒミツ / サンボンリボン
  8. YELLOW / Le☆S☆Ca
  9. Behind Moon / Le☆S☆Ca
  10. ハネ☆る!! / はる☆ジカ(ちいさな)
  11. Snow in "I love you" / 777☆SISTERS
  12. I need you ~「僕らは青空になる」 original piano arrange~
  13. またあした / 春日部ハル
t7s 2nd Anniversary Live in PACIFICO Yokohama 16'→30'→34'-INTO THE 2ND GEAR-
2016年8月21日(日)
神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
茂木伸太郎(モテギシンタロウ)

株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。

Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)

2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのリズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。