T1419日本人メンバーが2年ぶり帰国、日本デビューミニアルバムで魅せる新たな表現

T1419が日本デビューミニアルバム「OUR TEEN:BLUE SIDE」をリリースした。

T1419はMOMOLANDの後輩にあたる9人組ボーイズグループ。韓国人のノア、シアン、ケビン、ゴヌ、オン、日本人のレオ、ゼロ、カイリ、キオで構成される。2021年1月にシングル「BEFORE SUNRISE Part.1」でデビューを果たし、K-POP期待の新星との呼び声も高いT1419の7曲入り作品「OUR TEEN:BLUE SIDE」では、混沌としながらも無垢な透明感を持った青春というテーマが据えられている。

音楽ナタリーでは帰国中の日本人メンバー4人にインタビュー。ワイルドなイメージを押し出してきたグループが「OUR TEEN:BLUE SIDE」で見せるさわやかな一面とは。デビュー後の約1年を振り返りながら、ミニアルバムの魅力について語ってもらった。

取材・文 / 海渡理恵撮影 / 入江達也

2年ぶりに帰国したレオ、ゼロ、カイリ、キオが振り返る韓国生活

──ひさびさの帰国と伺いました。まずは、おかえりなさい。

カイリ 約2年ぶりに(日本に)帰ってくることができて、今は清々しい気持ちでいっぱいです!

レオ 僕は懐かしい気持ちになりましたね。

──韓国で着実にキャリアを積んでいる皆さんですが、T1419としてデビューすることが決まってからの向こうでの生活はいかがでしたか。

レオ 日本にいたときと比べて、実力面や精神面で成長を実感できました。

ゼロ 韓国でグループメンバーと集団生活を送ったことで、精神的に大きく成長できたと思います。韓国語が話せるようになって、たくさんの人と交流できるようになったときに、韓国に来てよかったなと感じて。

カイリ 渡韓したからこそ出会えたメンバーと一緒にチキンを食べている瞬間は幸せでしたね。

キオ 僕は韓国に渡ったことで、人としてすごく成長することができたと思います。最近、よく周りの人から、「性格が変わった」と言われるんです。内気で人と話すのが苦手だったけど、韓国に来てからは人前で話す機会も増えて、少しずつ社交的になれました。でも、まだまだ自分から話しかけるのは苦手かな……。

ゼロ 僕とカイリとキオは、シャイだよね(笑)。

レオ 初対面の人に自分から積極的に話しかけられるのは、この中だと僕だけだね(笑)。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

──そうなんですね。こうしてインタビューしていても、皆さんが堂々とお話されている印象を受けます。渡韓して特に大変だったことは?

レオゼロカイリキオ 韓国語です!

レオ 毎日レッスンを受けて、韓国人メンバーと話すことで少しずつ習得していきました。勉強に疲れたらお散歩に行っていたな。外を2、3時間歩くと気持ちが晴れるんです。そういえば、みんなのリフレッシュ方法も聞きたい。

キオ 僕はいつも練習室のソファをベッドにして、練習の合間に寝ることで元気を取り戻してるよ。

カイリ 僕は寝ることと食べることでリフレッシュしてる! デビュー前はたまに、全員が帰ったのを確認してから、練習室にある倉庫に向かって、「あー!」と叫んでたこともあったな(笑)。あと、僕は悩みがあっても人に相談できない性格だったから、スマホのメモにつらいことを書き出すことですっきりしてました。今は僕が元気がなさそうにしていると、メンバーがすぐに声をかけてくれます。

ゼロ  僕も寝ることで気持ちを切り替えてる。最近は、その日あったことをバスタイムのときに振り返って、お風呂から上がったら、それ以上考えるのは止めて寝ます(笑)。

──韓国での活動を経て一旦帰国することが決まり、韓国人メンバーからかけてもらった言葉はありますか?

ゼロ 「ひさしぶりの日本を楽しんできて! アルバムのPR活動もがんばってきてね」と送り出してくれました。

キオ あと、「4人だけの活動というのは不安なこともあるだろうけど、しばらくしたら慣れるから大丈夫だよ」と勇気付けてくれたので、がんばろうと思いましたね。

憧れのウジ先輩が目の前に

──早いもので、シングル「BEFORE SUNRISE Part.1」で韓国デビューしてから約1年が過ぎました。振り返ってみていかがですか?

レオ デビューしたての頃は、カメラの前での基本的な手順や振る舞いがわからなくて、何をするにしても苦戦していました。でもこの1年でメンバー全員で支え合い、場数を踏むことで、なんとかボーイズグループらしくなれたし、緊張に打ち勝てるようになったと思います。弱気になったときは「やるしかない!」と自分に言い聞かせています。

ゼロ 僕はデビューして実際に舞台に立ったり、先輩アーティストのステージを間近で観たりしたことで、自分に足りないものが明確になりました。特に衝撃を受けたのは、NCTさんのパフォーマンス。その完成度の高さはもちろん、スタイルも完璧で、もうちょっと筋トレしないといけないなと思いました。歌、ラップ、ダンス、表情の作り方……すべての面において「レベルを底上げしないといけない」と痛感して、空き時間があればずっと練習をしています。デビューしてからは「とにかくうまいパフォーマンスができるようにならないと」というプロ意識が芽生えました。

カイリ この1年間は、あっという間だったけど濃い1年でした。ファンの方に声をかけてもらえるようになってホントにうれしかったんです。練習生時代はデビューすることを目標にひたすら努力する日々を送っていましたが、デビュー後は、応援してくれる人のことを一番に考えてがんばれるようになって。ファンのために努力すると、湧き出るエネルギーの量がぐっと増えるんですよね。一番記憶に残っているのは、僕の誕生日(2月24日)の前日にあった、ビデオ通話のイベント。そのときにファンの方がケーキを準備してくれたり、温かい言葉をかけてくださったりして! 生きてきた中でこんなに大勢の人に祝ってもらうことはなかったので、忘れられません。

キオ 僕は宿舎にいなかった1年だったなと思います。作品のPR活動や次のアルバムの準備をしていたので、練習生のときよりも練習室にこもっていました(笑)。今までの人生の中で一番忙しかったけど、その分、楽しいことも多くて。憧れのSEVENTEENのウジ先輩が、「Asia Artist Awards(AAA)」の授賞式で目の前に座られたときは、うれしくて涙をこらえるのに必死でしたね。ステージ前は、メンバー同士で背中を叩き合って、気合いを入れていました。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

──濃密な1年間の中で、韓国では「ASURABALBALTA」「EXIT」「FLEX」などの楽曲を発表しました。T1419は「10代の代弁者」というコンセプトで活動を続けてきましたが、自分たちの曲が若い人たちに届いている感覚はありますか?

ゼロ 日本に帰ってきてから行ったイベントに同い年や僕たちよりも年下のファンの方がたくさん遊びに来てくださったんです。そのときに「会えてうれしい」「『EXIT』という曲の歌詞に共感して、何度も聴いています」と声をかけてもらったりして、僕たちの音楽を聴いてくれてるんだなと実感できました。

レオ ゼロの言った通り、イベントをやって、たくさんの方々を目の当たりにするとうれしいですね。ファンの方と直接会う機会をもっと作っていけたらなと思います。

日本のファンと初対面

──3月9日には、日本オリジナルの「Run up」「Daydreamer」「HOME」と、これまで韓国でリリースした楽曲の日本語バージョンが収録された、日本デビューミニアルバム「OUR TEEN:BLUE SIDE」が発売されます。新たに日本でのリリースが決まった心境をお聞かせください。

レオ 韓国デビューして1年後に、日本でデビューミニアルバムを発表できるのは率直にうれしいです。しかもリリースイベントで全国各地を回って、直接ファンの皆さんに挨拶できるのは幸せなことですね。

ゼロ 僕も子供の頃から憧れだったK-POPアーティストとして、日本でデビューすることができて胸がいっぱいです。今回の日本滞在中にたくさんのファンの方と交流して、思い出をいっぱい作りたいです。

カイリ 今回、日本のファンの方々の目の前でパフォーマンスする機会を持てたことが本当にうれしい! ついこの間は、僕の地元大阪でイベントができて感慨深かったです。

キオ 日本のファンの方とはビデオ通話でしか交流したことがなかったので、いざ直接お話しするとなったら緊張してしまって……。言葉に詰まることもありましたが、ファンの方の楽しそうな姿を見ていたら、ちょっとずつ緊張もほぐれていって。今はリラックスして会話できるようになりました!

──では、さっそく「OUR TEEN:BLUE SIDE」について詳しく聞かせてください。どのような作品に仕上がりましたか?

ゼロ このアルバムでは、青春の中にいる10代が感じる葛藤を表現しています。これまでT1419が韓国でリリースした曲はヒップホップ色が強かったのですが、新たな日本オリジナル曲は今までとは違うさわやかさがあふれる作品になりました。

カイリ サウンドもパフォーマンスも清涼感があって、美しいよね! 新たな僕たちの姿に驚いてもらえると思います。

──今までとは異なる、さわやかなテイストを表現するうえで難しさもあったのではないでしょうか。

レオ これまでの楽曲はワイルドなテイストのものばかりで、その表現が自分の中に染み付いていたので、新曲の練習を始めたばかりの頃はぎこちなさを感じることがありました。でも衣装がダークカラーから明るいトーンになったり、ミュージックビデオの撮影も屋内から開放感のある野外に変わったりする中で、自然とこのコンセプトになじんでいった気がします。

カイリ 「Run up」のMVで走るシーンがあって、そこでカッコよく走ることに苦労しました。“一生懸命だけど、どこか余裕のある走り”を目指して、鏡の前で腕の振り方を研究しました。難しかったー!

キオ 僕は笑顔の練習をがんばりました。これまではクールな表情を作ることばかりで、それに慣れていたので、鏡を見ながらいろんな笑顔の作り方を探りました。

ゼロ 僕もキオと一緒。睨みをきかせるとか、カッコいい表情を作るのは慣れていたけど、柔らかい表情は活動の中であまりしたことがなくて。だから今回は、表情の練習にかなり力を入れました。グループ全体でもさわやかさをどうやって表現するかを話し合ったんです。さわやかといっても、メンバーそれぞれで捉え方がまったく違う。それぞれの個性を生かしつつも、グループ全体で統一感があるパフォーマンスになるように細かい話し合いを重ねました。

──そういった話し合いでは、どなたが中心となってメンバーを引っ張っていくんですか?

ゼロ リーダーのノアくんを筆頭に年上のメンバーが集合をかけてくれて、意見もまとめてくれますね。

キオ ちなみにアイデアをいっぱい出してくれるのは、ケビンくんです! 僕は、今作でもケビンくんにたくさんのアドバイスをもらいました。ジャケット写真の撮影のときも目線の位置や表情の作り方、ポージングについて教えてくれて、カッコいい写真を撮ることができました。