ラストミニアルバム「Smile」楽曲紹介
──最終作にして、6年半の集大成となる初のミニアルバム「Smile」がリリースされます。SW!CHはこれまで多岐に渡るジャンルの楽曲を歌ってきましたが、今作は過去イチカラフルな作品に仕上がっていますね。
MAYUNA おっしゃっていただいたように、SW!CHの曲はバラエティに富んでいて、「Smile」もさまざまな色を持った曲がそろっています。じゃあ今まで通り?と言うと、それも違うんです。ラストの2曲には、これまでにない“終わり”という新たな色がある。その意味で、今までで一番カラフルな作品になったと私も思っています。
HARUKA SW!CHは本当にいい曲だらけ。特に私が加入してからの曲は自分好みで、5人のイメージに合った楽曲ばかりです。
──では、今作の収録曲をお一人ずつレコメンドしていただきましょう。
ASAMI 1曲目の「ポップしちゃう」は、サウンドや歌詞、そしてセリフ調のパートも含め、たぶんSW!CHの中で一番アイドルしている曲です。これまでもかわいい系はありましたが、ここまでストレートにかわいいに振り切ったのは初めて。最初は「どう表現しよう?」と全員がつかみ切れず、相当苦戦しました(笑)。本当に徐々に、ものにできた曲ですね。自分の中にあるかわいさを引き出して、なんか……歌うたびにSW!CH、どんどんかわいくなってきている気がします。
HARUKA 2曲目の「オードパルファン」は振付にパラパラが入っていて、ちょっとギャルぽいかな?と思わせつつ、歌詞では「美しい大人の女性」の部分が強調されています。“大人SW!CH”を見せられる曲ですね。この曲をステージで披露すると、なんというか……K-POPアイドルや海外アーティストみたいな、“理想の女性”のようなオーラをまとえる気がして自信が持てるんですよ。「ポップしちゃう」のあとに入っているので、私たちの持つ振れ幅をより感じてもらえると思います。
AKARI SW!CHの楽曲にはダンスナンバーもあって、全身を使ったダンスが多いんですよ。3曲目の「ダンス・アヴェニュー」はタイトルの通りダンスが見どころで、フォーメーション移動が複雑ですし、“踊れるSW!CH”を全開にできる曲です。ただ難しいだけでなく、真似して一緒に踊れる振りもあるので、ライブでは私たちに合わせてファンの皆さんもフロアを移動したりして(笑)。すごく激しいのに、今まで以上に一体感を感じられる楽しい曲です。
MAYUNA 4曲目の「nirvana」は、初期のSW!CHではこの雰囲気は表現できなかっただろうなと思うくらい、今までにないテイストの曲です。私は「君の見えないDance Floorなんて No way No way 満たされないの」という歌詞がすごく刺さりました。アイドル活動の中でライブってすごく重要で。ライブをよくするためにレッスンしたり、メンバーみんなで気持ちを合わせたりして日々がんばっている。でもフロアに来てもらえないなら、パフォーマンスを観てもらえないなら意味がないんですよね。言葉ではうまく気持ちが伝わらないし。そもそも「ライブを観に来てね!」とアピールするのも得意じゃなんですけど(笑)。だから、「君が来てくれないと、このフロアは成り立たないんだよ」という思いをストレートに伝えられる、私たちの気持ちを投影したこの曲が好きなんです。私たちの活動の積み重ねを感じてもらえて、ファンの方も盛り上がれる、すごくいい相互作用が生まれる曲だと思います。あと「涅槃(nirvana)」という言葉に合った振付によって曲の魅力が増しているので、ぜひCDでもライブでもこの楽曲を体感してほしいですね。
FUYUKA ストレートなバンドサウンド系の楽曲は、5曲目の「アオハライト」がたぶん初です。最初にイントロを聴いた時点で「好き!」って思いました。そしてレコーディングの日に歌詞と改めて向き合ったら、「これは自分たちの歌だ」と思えて、すごく沁みました。特に、「物語の終わり始まりも同じだよ ねぇあとはスイッチを押すだけ 時は止まらないで進む 怖がらなくっていいよ ひとつ踏み出したなら広がるアオ」というフレーズ。“終わり”に向けての曲なのに、みんなで明るく終わろう、新しい未来へ進んでいこうねって、最後まで私たちに前向きに寄り添ってくれるイメージで。この曲を披露するときにメンバーみんなが見せる笑顔が、本当に素の、いつも通りの表情なんです。メロディも、歌詞も、振付も、飾りすぎない。「SW!CHというグループ」がすべてに表れているし、タイトルから受ける印象も合わさって、この曲は私たちの青春だなと。ひと言ひと言を噛みしめながら最後まで歌い続けたいと思います。
「ありがとう」と伝えられること、それがすべて
──そして、Sugaya Bros.さんが約3年ぶりに手がけた楽曲「hikari(the last song)」がミニアルバムの最後に収録されます。今作が誕生した経緯について、まず伺えれば。
MAYUNA 活動終了が決まったとき、Sugayaさんに「最後はSugaya Bros.さんがサウンドプロデュースした曲を歌いたいんです!」と、みんなでお願いしたんです。そうしたら「嫌だよ!」って、見事に断られました。
一同 (笑)。
MAYUNA しかも即答ですよ!? 本当にひどい! 言い返したいグッと気持ちをこらえて「なんでですか?」と聞いたら「この先歌われない曲を、書きたくない」という、子供みたいな返答をされて。
FUYUKA 本当にきっぱり断られたからね。
MAYUNA ああ、もうこの人は書く気がないんだと思っていたら、何かがきっかけで心変わりしたのかその気になってくれて。その心境の変化を私たちは一切知らないので、この場を借りてその理由を聞きたいです。
AKARI・ASAMI・HARUKA・FUYUKA (口々に)確かに、確かに。
Sugaya Bros. まあ……天邪鬼なんだよ。
メンバー一同 (笑)。
Sugaya Bros. 丁寧にお願いされると、「嫌だよ」って言いたくなっちゃう(笑)。まあ正直な話をすると、2022年頭に活動を一旦休止した際、再始動に向けて制作体制を大きく変えていって、楽曲制作の面ではSugaya Bros.としては一度手を引くことにしたんです。再始動後、時間を重ねていく中、メンバーの成長や楽曲の力もあり、5人のSW!CHの形が日を追うごとに強固になっていって。その完成されていくSW!CHの中に、僕ら(Sugaya Bros.は兄弟での制作ユニット)の作る曲が果たして必要なのか?というのは常々客観的に考えてはいて、必ずしも必要ではないのかなとも思っていました。なのでメンバーからそう言ってもらえたのは本音ではうれしいですし、もしこの曲が産み出されなかったら「アオハライト」が最後の曲になる予定でした。
──「アオハライト」にも最後に向けた言葉が色濃くにじんでいるのは、そうした理由があったからなんですね。
Sugaya Bros. はい。「アオハライト」は、何も考えずにメンバーたちだけに向けた曲にしたいなと思い、歌詞をオーダーする際に「メンバーが共感する、メンバーにしかわからない部分があってもいいので詞にしてください」と作家の方に伝えました。だからある種とてもクローズドな世界の曲ではあるんですけど「『アオハライト』が好き」とメンバーが言ってくれるのはすごくうれしいし、この曲で伝えたかった思いが通じたのかなと。そんな中、最終的に「hikari(the last song)」に着手することになるんですけど、メンバーに向けた曲はもう「アオハライト」がある、ではどんな曲にするか?と考えて。ならば、メンバーとファンとの関係性や思い、そして僕からのメンバーへの気持ち、SW!CHを取り巻くすべてを歌詞にしてくださいとお願いして、作詞の松村PONYさんとはかなりたくさんのやりとりをさせていただいて完成に漕ぎ着けました。
──「hikari(the last song)」の中で、皆さんにとって印象深い歌詞は?
HARUKA まず目を通したとき、メンバー全員の名前が入っていることに気が付きました。
AKARI 私たちだけでなく、卒業していったメンバーの名前も入っているんですよ。だけど、まゆちゃんだけが見当たらなくて。
MAYUNA あれ、私どれだろう?と探しても見つからない。そうしたら冒頭に「真夜中過ぎ」という歌詞がありまして。真夜中、まよなか、まゆなか、まゆな……これ!? 無理やりだなー!って(笑)。なので、レコーディング時にSugayaさんに「ここ、“まゆな感”出して歌ったほうがいいですか?」と聞いたんですけど、「どっちでもいいよ」って冷たく返されて。む~!ってなりました(笑)。
Sugaya Bros. まあ、そう受け取ってもらってもいいし、もしかしたら違う意味の歌詞かもしれないし(笑)。
MAYUNA (不機嫌なトーンで)違ってたらねえ、私の名前はいったいどこにあるの?って話ですよ。
ASAMI ほら、ほかに隠しMAYUNAがあるかも。
FUYUKA 縦読み、斜め読みがあるのかも(笑)。
──なぜ最後の最後にそんなトリッキーなことを(笑)。
FUYUKA あと、メンバーの名前だけでなく、過去の楽曲の要素がいろいろな形で織り交ぜられているんですよ。
HARUKA 初期曲の「Bon Voyage」へのアンサーっぽさもあるよね。
AKARI 今の自分の気持ちを代弁してくれているなと感じました。中でも「さあどこへ行こう どこにだって行けるさ コンパスが教えた方角じゃなくて今こそ僕が決める 明日からはどんな未来でも自分次第で 少し怖い気持ちもあるけれど」というフレーズが、今の自分の心境にすごく合っているんです。この歌詞のように未来へ向けて、明るいまま歩いていけたらいいなと思っています。
MAYUNA 「終わりなんだけれど終わりじゃないよ」って。この先もそれぞれの人生は続いていくことを表現した、前を見ている歌なんですよね。
──この曲をファンの前で堂々と歌えたときに、SW!CHというグループが完成するのかもしれませんね。
メンバー一同 (静かにうなずく)
ASAMI 「大好きだよ ありがとう」というフレーズで終わるのもすごく好きです。ファンのみんなに向けて私たちの思いをストレートに伝えられるのがうれしい。
Sugaya Bros. 僕は歌詞に関しては受け取った人の捉え方、解釈に委ねているので、これまでもメンバーやファンの方にも曲ごとに「こういう歌詞だよ」という意味の説明はあえてしてきませんでした。ただ、「hikari(the last song)」に関しては、ラストの「ありがとう」、このひと言に伝えたいことがすべて集約されていると思います。
MAYUNA 6年半という歴史の中、メンバーや応援してくれた方々それぞれに思いがありますが、最後に「ありがとう」と伝えられること、本当にそれがすべてですね。
SW!CHがくれた大切なもの
──こうして話している間にも刻一刻とSW!CH OFFの日は近付いています。消灯後の皆さんは、どんな道に進む予定なのでしょう? 現時点での考えで大丈夫ですので、ぜひ聞かせてください。
HARUKA 私は……この先、アイドルを続けるかもしれないし、アイドルという形じゃないかもしれないけど、みんなでたまに集まって、一緒に楽しい時間を共有したいなって。具体的に何をするかは全然決まっていませんが、どんな形でもいいので実現させたいと思います。
FUYUKA この6年半の活動の中、心が折れかける瞬間が何度もありながら、ここまで続けてこられたのは、本当に楽しかったから。「今が人生で一番楽しい」と言い続けきてたくらい、今も常に“一番”が更新されている状況で。自分がこういう心境になるなんて活動前は正直想像していなかったから、この気持ちをくれたSW!CHという居場所に感謝しています。それに、応援してくれるファンの方々も本当にいい人ばかりで。その方たちに会えなくなることがすごく寂しい。この先自分が何者になるかまだわからないけれど、SW!CHとしての私の時間が終わったあとも、ちろちゃんのように、みんなと会えるような何者かでいられたらいいなと思っています。
MAYUNA 私は2つのことを同時に進行できない人間なので、今はSW!CHを6月30日までやり切ることしか考えていなくて。その先は……まだ見えていません。ただ6年半、休止時期もありつつ常に走り続けていたので、改めて「自分が本当にやりたかったことはなんだろう?」と、ちょっとわからなくもなっていて。少しお休みして自分が興味あることや夢について考える時間を一度作ろうかなと考えています。この先、アイドルという選択肢を私はたぶん選ばないと思いますが、SW!CHの活動を通じてお芝居も経験できたので、それを生かして皆さんの前に出る仕事をするかもしれませんし、また全然違うことを見つけるかもしれない……まあ、言っちゃうと完全に未定!(笑) だけど、その見えない未来も楽しめたらいいなと思っています。
AKARI アイドルになるという夢は叶えられたけれど、目標や憧れのすべては叶えられなかったなというのが本音。その目標や憧れを形にしたいので、いい出会いがあればアイドルを続けたいという気持ちがあります。その一方で「そうじゃないかも」という気持ちもあって、正直葛藤中です。もう、この先は運命に任せようかなって(笑)。
ASAMI 私はずっとアイドルになりたくて、SW!CHでその夢を叶えられました。だからこそ、まゆちゃんと一緒で今は先のことをまだ考えられていません。本当にアイドル以外にやりたいことが見つけられないし、今後それが見つかるかも不安。ただ、唯一の地方出身メンバーで、しばらく家族と離れて過ごしていたので、家族との時間を大切にしたいなって。そこから、徐々にやりたいことを見つけられたらいいなと思います。
──ではラストの質問です。SW!CHは約6年前、「さまざまな経緯を持ったメンバーが、人生を変える(スイッチ)を押した!」というコンセプトを掲げて始動しました。この活動が、自分自身のどんなSW!CHをONにしてくれましたか?
MAYUNA 活動を通じて物事へのさまざまな見方を得たことで、自分の嫌いだった部分を好きになれて自信を持てました。それは私にとってすごく大きいことだったなって。
FUYUKA 私は先ほどお話ししたように、心が折れそうになって何度も辞めたいと思ったことがあります。自分に合わない環境もありますし、続けることが必ずしも正解ではありません。けど、私は6年半続けたことで、間違いなくいろいろな出会いと発見を得ました。それは続けなければ知り得なかったこと。続けることの大切さをこの6年半で学びました。
HARUKA 新たな私を見つけられました。この世界に長くいますが、それまでになかった新しい私がSW!CHで生まれました。そのことがすごくうれしい。
AKARI 今の私のすべてをONにしてくれました。とにかく未熟で何も知らない子供だった私に、人として大切なもののすべてを与えてくれて、「アイドルの私」を作り上げてくれたのは、全部SW!CHでの時間でした。
ASAMI 目標に向かってがんばれば叶うんだということを、SW!CHでのすべての時間が気付かせてくれました。
──最後にSugayaさんにも同じ質問をさせてください。
Sugaya Bros. 僕はアイドルの世界はまったくの未経験で、メンバーとともにいろいろと学びながらの6年半でした。1人だったらこの長い時間をきっと走り切れなかったと思います。メンバー、スタッフ、いつでも真正面から支えてくれるファンの方々、活動を支えてくれた関係者の皆さん……出会う人たちに常に恵まれていたことが財産でした。活動を通しての「人」との出会いがSW!CHを大きく「ON」してくれていたんだと思いますね。
公演情報
SW!CH LAST ONEMAN LIVE「SW!CH OFF」
2025年6月30日(月)東京都 WWW
プロフィール
SW!CH(スイッチ)
ディスクユニオンの自社制作・マネジメント部門「DIW PRODUCTS GROUP」が手がけるアイドルグループとして2018年12月にデビュー。過去に芸能活動をしていたり、人生の岐路に立ちアイドルという選択肢を選んだりと「人生を変えるスイッチを押した」個性豊かなメンバーからなる。2022年1月に活動を休止し、同年6月に再始動。2023年1月にHARUKAを含む現在の5人体制となった。2025年6月30日に開催するワンマンライブをもって“活動のスイッチをOFF”する。