鈴木実貴子ズ「いばら」特集|インタビュー&47都道府県路上ライブツアー「いばらのみち」福岡編レポート (3/3)

47都道府県路上ライブツアー「いばらのみち」福岡編レポート

鈴木実貴子ズの路上ライブツアー「いばらのみち」は、2025年12月1日に徳島駅前から始まった。

2人は12月4日までに高知、愛媛、香川を回り、四国を制覇。12月13日に東京・ダンスホール新世紀で自身最大規模のワンマンライブ「危機一発」を開催したのち、12月22日からは近畿地方を回った。毎回10数名のファンがSNSの情報を頼りに現地に駆け付けており、滋賀では無観客ライブになるかと思いきや、開催場所を探し当てたファンや路傍の人が鈴木実貴子の歌声に耳を傾けたという。また大阪では警察に止められ、その場にいた観客とともに公園へ大移動。セットリストを事前に決めない実貴子はこの日、バラードを中心に楽曲を披露した。インタビューでも語られている通り、この一連の流れに本人はひどく感動したそうだ。

路上ライブを行う場所に向かう鈴木実貴子ズ

路上ライブを行う場所に向かう鈴木実貴子ズ

年明けには九州編がスタート。1月2日から4日までに宮崎、鹿児島、熊本、大分、佐賀、長崎を回った2人だったが、長崎で実貴子は声が出なくなり、悔しさのあまり号泣してしまう。観客がいる以上、全力を尽くしたいという本人の思いと、その気持ちとは裏腹にうまく歌えない現実が重なり、精神的に追い詰められていた。1月5日の福岡では、日本クラウン、ホリプロのスタッフが合流。路上ライブの一部を鈴木実貴子ズのYouTube公式チャンネルで生配信するという企画も行われた。

福岡に到着した鈴木実貴子ズは、ホテルにチェックイン後、カフェで本特集のインタビューを受けた。前日の長崎で実貴子が「絶対やめられないから、でも演奏も声もできないから。きっつい」と号泣している様子がズのXアカウントに投稿されたこともあり、神経質になっているのではないかと懸念していた。しかし、2人の様子は至って普通。実貴子は喉を気遣わなければいけない状況にもかかわらず、インタビュー中もテンポよく話を進めてくれた。

鈴木実貴子(Vo, G)

鈴木実貴子(Vo, G)

取材後、実貴子はホテルで仮眠を取り、ズは路上ライブができるはずだという福岡の中洲エリアにある福博であい橋の下見へ。通行人の往来を妨げない形でできると判断し、ここをこの日の路上ライブ会場とすることになった。ライブの開始予定時間は20:00。ズはその前に1人、街へ繰り出した。

ズが戻ってきたのち、19:30に実貴子とズはホテルを出発。移動中の様子はYouTubeで生配信された。実貴子はアコースティックギターを、ズはアンプ、マイク、マイクスタンドなどを背負って福博であい橋へ向かい、準備にかかった。

中洲の夜景をバックに、まずは「いばら」に収録されていない未発表曲を歌った実貴子。咳払いをし、喉の調子は万全でない様子ながら、振り絞るような歌声で「壊してしまいたい」を寒空に響かせた。さらに「止まるな危険」「0月0日」と、「いばら」に収録される新曲もしっかりセットリストに織り交ぜ、満身創痍のライブを続けた。

一方その頃、ズはまず集まった観客にビラを丁寧に配って回る。配り終えたらスマートフォンで路上ライブを撮影し、時間を見つけては行き交う人や立ち止まった人にビラを渡す。ビラ配りと撮影を繰り返しながら、ズは歌う実貴子を見守った。

鈴木実貴子(Vo, G)

鈴木実貴子(Vo, G)

実貴子の力強い歌声に引き寄せられるように、周辺にはいつしか人だかりができ、人が人を呼ぶ形で徐々にその輪が大きくなっていく。もちろん立ち止まる人ばかりではない。見向きもせずに通り過ぎる人、何事かと様子を一瞬うかがって去る人、興味本位でカメラを向けてその場を去る人、行き交う人の数も多い。外国人観光客は日本での路上ライブに新鮮な反応を示しており、「Wow, people are crying」とつぶやいた。実貴子を見守る群衆の中には、確かに涙を浮かべている人もいた。実貴子が歌う曲のほとんどは、彼女が自身に向けて歌っている。生々しいまでの感情の吐露は、聴く者の心に刺さり、寄り添い、代弁しているかのよう。そんなリアルなメッセージと全力の歌唱が、福岡でも観客の気持ちを捉えた。

鈴木実貴子ズ

鈴木実貴子ズ

鈴木実貴子(Vo, G)

鈴木実貴子(Vo, G)

この日歌われた「いばら」からの新曲は、「止まるな危険」「0月0日」の2曲だけだった。未発表の新曲は3曲。実貴子は最後に「寒い中、どうもありがとうございました」と観衆に声をかけ、歌詞の一部を「2026年1月 外は寒い」と変えながら「坂」を演奏した。「このままでいいのだろうか 風は何も語らず」「人生の坂 ころころ転がってどこへ向かうのか 答えは無いと知る」という歌い続けてきたフレーズが、声の枯れてしまった実貴子の姿に重なった。

「いばらのみち」はこの先、春以降に再開される予定。実貴子とズが2人で回る路上ライブツアーを、ぜひ生で体感してほしい。2月19日からはライブハウスを舞台にした「いばら」のリリースツアーが各地で行われる。

鈴木実貴子ズ

鈴木実貴子ズ

鈴木実貴子ズ

鈴木実貴子ズ

公演情報

鈴木実貴子ズ「いばら」リリースツアー

  • 2026年2月19日(木)東京都 新代田FEVER
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / 竹原ピストル
  • 2026年3月8日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / 日食なつこ
  • 2026年4月10日(金)福岡県 INSA
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / and more
  • 2026年4月21日(火)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / 炙りなタウン
  • 2026年4月22日(水)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / 炙りなタウン
  • 2026年5月8日(金)北海道 KLUB COUNTER ACTION
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / and more
  • 2026年5月10日(日)宮城県 FLYING SON
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ / toddle
  • 2026年5月25日(月)東京都 SHIBUYA CLUB QUATTRO(※ファイナル)
    <出演者>
    鈴木実貴子ズ

プロフィール

鈴木実貴子ズ(スズキミキコズ)

2012年結成、愛知県名古屋市を拠点に活動する鈴木実貴子(Vo, G)、ズ(Dr)による2ピースロックバンド。鈴木の心を揺さぶるような歌声、ズが繰り出すエモーショナルなドラムが合わさり、リスナーの心に刺さる楽曲を多数発表している。インディーズでアルバム3枚、EP2枚をリリース。2024年10月にシングル「違和感と窮屈」を配信リリースし、日本クラウンのPANAMレーベルからメジャーデビュー。2025年1月にメジャー1stアルバム「あばら」をリリースし、3月からアルバムのリリースツアーを開催した。3月以降、「TOKYO GUITAR JAMBOREE」「FUJI ROCK FESTIVAL」「豊洲サンセット」などに出演。2026年1月にメジャー2ndアルバム「いばら」を発表する。現在は47都道府県を回る路上ライブツアー「いばらのみち」を開催中で、2月からライブハウスを舞台に「いばら」リリースツアーを行う。