Superfly|あの頃の自分と悩める中学生たちを肯定する“Gifts”

ネガティブだった自分を肯定したかった

──「Gifts」は歌詞に関しても、中学生が歌うということを強く意識して書かれている印象です。そこで伝えたかった思いとはどんなものなのでしょうか?

中学生の頃って、人と人との距離がすごく近いじゃないですか。だから自分を見つめることよりも先に他人のことが見えてしまい、そこで勝手に比べてしまうものだと思うんですよね。私自身、幼い頃からそういうところがあったので、劣等感がとにかくすごくて。他人と比較することで、「あー私には本当に何もないなあ」ってずっと思っていたんです。

──同じような感情を抱いている子供たちは多いでしょうね。

うん。でも、中学生のような多感な時期に、自分のダメなところばかりを見るのではなく、自分にしかないいいところに気付けていたらきっとポジティブな気持ちで楽しい日々を送れていたなって思うんです。本当に些細なことでいいから自分の中にあるものをしっかり噛みしめることができていたらよかったなって。だからこの曲のサビでは“あるから”を連呼しているんですよね(笑)。聴き終わったときに、「あ、自分の中にはこんなものが“ある”んだな!」って感じてほしいなと思ったので。

──歌詞の中で描かれているのは本当に些細なことですからね。そこに気付いて肯定してあげるだけで気持ちが楽になる部分はありそうです。

当たり前すぎて恥ずかしいくらいなレベルのことをあえて言いたいなと思ったんです。中でも自分の名前や誕生日のことは絶対書きたかった。それってみんなが確実に持っているものじゃないですか。「自分には何もない」って言っているけど、「いやいや、あるから!」って言う。で、そういう些細なことに気付いていくことで、自分の中にあるものはこれからもっともっと増えていくんだっていう気持ちになってくれたらいいと思うんですよね。

──痛みさえも自分の中にある大切なものとして描かれているのも素敵ですよね。

痛みがあるからこそ人への思いやりが生まれるわけですからね。自分の中にあるイヤな感情、ネガティブなことさえもあなたの個性なんですよっていう。そうやって自分の中にあるものを見つけていくと立体的に自分のことが見えてきて、「あ、私って個性的じゃん」って思えるようになるとも思うんですよ。客観的にちょっと笑えてくると言うかね(笑)。私自身すごくネガティブだったので、それを自分で肯定したいがためにこの歌詞を書いたところもあったとは思いますね。

休養期間に気付いた自分の中に“ある”こと

──強い劣等感を持ち、ネガティブだったという志帆さんが、この歌詞のように自分の中にあるものを認識し、肯定していけるようになったきっかけは何かあったんですか?

そういう考え方になったのは本当に最近、お休みしている期間だったりするんですけど。それまでの私は足りないものをとにかく補って完璧になりたいとストイックに思っていたんですよね。理想とする自分を思い描き、足りないものを逆算して見つけていたと言うか。

──自分の中にすでにあるものの大事さに気付けていなかったと。

そうそう。でも、足りない足りないってことばかり考えていると疲れるだけなんですよ。だったらこれまで生きてきた中で見つけてきたもの、もともと自分の中にあるものをフラットに考えてみようと思ったんです。今の自分はどんなものが好きで、何が楽しいんだろう、みたいなことをお休み期間に見つけてみたことで、「あ、あるじゃんいろいろ」って思えて、それで楽になったんです。

──志帆さんの実体験が注ぎ込まれているからこそ、この曲には大きな説得力が生まれてもいるんでしょうね。

もちろん自分に足りないものがあることが悔しくて、がんばり続ける人もいても全然いいと思うんです。でも「もうダメだな」ってつらい気持ちになっちゃってる子は今の自分を見つめ直して、もう少し自分のことを認め、褒めてあげてもいいんじゃないかな。そういう生き方があるということに中学生くらいの年齢で気付けたら、人生はより豊かなものになると思うから。

──今の志帆さんはありのままの自分を明確に認識できていますか?

言葉にするのはなかなか難しいですけど、見えてきてはいると思いますよ。でも、そこで見えた自分って、ちっちゃい頃に見てた自分と大して変わってないんですよね。人間、年齢を重ねても根本的なところはあんまり変わらないんだなって。大人になっても変わらないんだったら最初から肯定してあげればよかったなって思いますよね(笑)。

──「Gifts」のメッセージは中学生以外にも響き得るものでもありますよね。大人が聴いてもすごくハッとさせられると思います。

そうそう。案外、大人の方々からの評判もよくって(笑)。この曲を作っていたときは、自分の中にある“Gifts”に気付いてほしいという気持ちが前のめっていたんですけど、潜在的にはみんなが誰かのいいところを教えてあげられるようになったらいいなという思いのほうが大きかったと思うんです。「そのヘアスタイルかわいいね」とか「センスいいね」とか、そういうことをポロっと言ってあげられるだけで、気持ちって和んでいくものじゃないですか。そこに年齢はもう関係ないし。

──言ったほうも言われたほうも心地いいですもんね。

うん。そういう連鎖が起きたらいいなという願いはありますね。そうなればもう世界は絶対に平和になっていくはずだなって(笑)。

──「Gifts」のミュージックビデオは中学生をフィーチャーしたドキュメンタリー仕立ての内容ですね。

完成するまでどういう作品になるかわからなかったのですが監督に観せてもらったときに、生徒さんの笑顔が素晴らしくて涙をこらえるのに必死で喉が痛くなるほどでした。冷静に見るのが大変なほどでとても感動する作品になりました。

幸せなオーラは他人をも巻き込んでいく

──カップリングには「ハッピーデイ」というナンバーが収録されています。こちらも志帆さんが作詞と作曲を手がけられていて、石原さとみさん出演の柔軟剤のCMソングとして使われています。

エフォートレス(=がんばりすぎない、肩肘張らない)な女性が主人公のCMだということで、今の越智志帆として書きやすいテーマなんじゃないかというお話があり。「はい、書きやすいです」ということで作らせていただきました(笑)。

──まさに気ままっぷりが炸裂している歌詞が痛快です。

気ままな女性が「ハッピー」とか言ってると妬まれたりすることもあるじゃないですか。でも、そこを貫き通してしまえば、その幸せなオーラは他人をも巻き込んでいくと言うか。不思議とつられてしまうところがあると思うんです。なので、「幸せで何が悪いの?」くらいな気持ちを、見た目は石原さとみさん、心は私という合体させた主人公のイメージで書いていったんですよね(笑)。そういう書き方はすごく面白かったです。

──“ありのままの自分が一番”というメッセージはある意味、「Gifts」で描かれたものと同じでもあって。そこは志帆さん自身の思いであるわけですよね。

うん。でも、この曲でそう言ってるのは石原さとみさんだという設定(笑)。だから言葉のチョイスが少し変わったところもあるんですよね。“いい女”とか“好きな靴を買おう”みたいな言葉は普段の私だったら出なかったと思うので。最初はもうちょっと軽やかなサウンドだったんですよ。でも歌詞では“ハッピーハッピー”言ってるから、少しドロッとしたダークな部分を入れないと曲自体が甘すぎる印象になっちゃうなと思って。途中でアレンジャーのUTAさんに「激しいリフを入れてください」ってお願いしたんです。そうしたらどんどんヘヴィになっていったので、今度はまた言葉や歌でバランスを調整したりして。結果、すごく不思議な感じの仕上がりになりましたね(笑)。

──インパクトはあるけど、CMにしっかりマッチしてますからね。絶妙なバランスだと思います。

最終的にバランスを取ってくれたのはコーラス隊なんです。いろんな人の声が入ってくるイメージは最初からあったんですけど、男性や朗々と歌う女性の声が入ることで甘さがだいぶマスキングされたなって。少し甘めの歌とポップなメロディ、そしてヘヴィなサウンドをコーラスがうまいこと調和してくれたと思いますね。

──ギャップのある2曲が並んだ、面白いシングルだと思います。

うれしいです(笑)。皆さんにも楽しんでいただけたらいいですね。

──Superflyは今夏、ひさしぶりにいくつかのフェスにも出演されましたよね。その際の映像が初回限定盤付属のDVDに収録されます。

そんなに本数は多くなかったんですけど、フェスに出たのは4年ぶりでしたからね。ちょっとした浦島太郎状態だったりもして(笑)。でも歌っていて気持ちよかったです。

──4年前から変化を感じるところもありましたか。

出演者のラインナップがけっこう変わっていて、時代の移り変わりを体感しました。ライブ自体はうまくパフォーマンスできるか最初はちょっとドキドキしてたんですよ(笑)。でも、やっぱりいいものですね。街が1つできるんじゃないかってくらいのお客さんがいるので、ゾワゾワしながら楽しむことができました。

Superfly(スーパーフライ)
Superfly
2007年4月にシングル「ハロー・ハロー」でデビュー。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録し、2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収めた。その後も多くのヒット曲を連発し、2011年には3rdアルバム 「Mind Travel」でアルバム4作連続1位を達成。初のアリーナツアーも大成功に収める。2015年5月に2年8カ月ぶりのオリジナルアルバム「WHITE」をリリースし、7月からは33都市39公演のホールツアーを開催。2016年1月からは7都市全11公演のアリーナツアーを実施した。デビュー10周年を迎えた2017年4月にファン投票で選曲したベストアルバム「Superfly 10th Anniversary Greatest Hits "LOVE, PEACE & FIRE"」を発表。11月には東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにてライブ「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」を行い、年末には2015年以来2年ぶり2度目となる「NHK紅白歌合戦」に出演した。6月6日に23枚目のシングル「Bloom」をリリース。10月には「第85回NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部の課題曲として書き下ろされた「Gifts」をシングルとして発表した。