感情移入しすぎて何度も録り直した「あかり」

──2曲目には優しさを感じるミディアムナンバー「あかり」が。これはどんなきっかけで生まれた曲ですか？

これは上京する前、北海道にいる頃に書いた曲です。人の心に灯る“あかり”をイメージして書きました。人の気持ちっていうのはまだまだあったかいんだなっていう気持ちであったりとか、2011年にあった震災の1年後くらいにふと思ったことがこもってますね。ストリングスの入ったアレンジにしてもらうことで、すごく温かみのある曲になったと思います。メロディはかなり不思議な感じですけどね。自分でもなんか変だなってたまに思います（笑）。

──以前のインタビューで、メロディにフックをつけるためにわざと音をくいっと上げたり下げたりするとおっしゃってましたけど、これもそうやってできたものなんですかね？

これは作ったときのことをよく覚えてるんですけど、あえてひねりを入れたっていうのはあったと思います。こっちに進んだら普通なメロディになるだろうなあ、みたいなことを考えながら。それによってちょっと変なメロディにはなったんですけど、それが繰り返し聴いているうちに心地良くなってくるし、そこで優しさを表せてる部分もあるような気がしますね。

──感情のこもった歌声がサウンドにしっかり寄り添っていますね。

この曲って歌ってるとたまに泣きそうになるんですよ。レコーディングのときにも感情移入しすぎて何度かやり直すことにもなっちゃいましたし。それはきっと、自分の中で変わらない、大切にしていきたい気持ちを歌っているからなのかもしれないです。

「BABY BABY BABY」で地球三兄弟と奇跡のコラボ

──そして3曲目には真心ブラザーズのカバー「BABY BABY BABY」も収録されています。なぜこの曲をカバーしようと思ったんでしょう？

私は元々、真心ブラザーズが好きで、だからキューンが良かったんですよ。さらに事務所の先輩でもあるし、イベントで共演させてもらうこともあったので、ここでぜひカバーをしてみたいなと思って。選曲に関しては、自分の曲にはあまりないノリノリなものをやってみたかったので「BABY BABY BABY」にしたんです。やってみたらものすごく難しかったんですけど（笑）。

──レコーディングではものすごい奇跡が起こったそうですが。

そうなんですよ。たまたま同じスタジオでレコーディングしていた地球三兄弟にコーラスとクラップで参加していただいちゃって。コーラスは真心ブラザーズとして入れてくださったんですけど、「ちょっと自分出しすぎ？」「もうちょっと消えるような感じ？」とかお2人が会話してるのが楽しくって。最終的には、「あれ、これ真心？」ってちゃんとわかるくらいのコーラスにしていただけたんでうれしかったですね。初めて聴く人はきっとビックリするんじゃないかなって思います。

──クラップには奥田民生さんも参加されたんですね。

はい。一緒にブースに入って4人で録りました。私がシクって「えー？」って感じになったら大変なのでかなり緊張しましたね（笑）。まあ、失敗したからって怒る人たちではないんですけどね、皆さん優しいので。

──原曲とは一味違うニューオリンズ風味のサウンドもステキですし、最高のカバーになりましたね。

曲自体セッションで楽しく録れましたし、その上で楽しく歌えましたし、さらにその後にはコーラスとクラップでさらに楽しいこともあって。すごいなあって思いました。カバーという部分ではプレッシャーみたいなものがなくはなかったですけど、最終的に完成したものをYO-KINGさんに聴いてもらったときに「いいじゃん」って言ってもらえたので、ホッと胸をなでおろしました（笑）。

──さて、このシングルで幕を開ける住岡さんの2013年。何か目標ってあります？

去年と変わらず、いろんなところでライブがしたいっていうのはありますね。あとは健康に生活していきたいです。去年の夏に声が出なくなってしまったことがあったので、今年は常に体調を整えていかないとなって。この歳で目標が健康っていうのもアレですけど（笑）。

──あははは（笑）。でもそれが基本ですから。

こないだ奥田民生さんにお会いしたときに、「俺は10年くらい風邪をひいてないんだ」って言ってて。「なぜですか？」って訊いたら、「葛根湯があるから」って。なので私も葛根湯に頼っていこうと思います（笑）。あとは今、アルバムの制作もやっているので、いいものが完成するようにがんばりたいと思います。

住岡梨奈　『ハレノヒ (short ver.)』