sumika|“家族”だから届けられる、初のフルアルバム

ようやく出せた「Familia」

──家族について描かれている「ここから見える景色」は、まさに「Familia」な楽曲ですね。ゲストベーシストはLITTLE CREATURESの鈴木正人さんです。

片岡 「正人さんでいきたいです!」ってマネージャーに提案するところからこの曲は始まっています(笑)。「ここから見える景色」はもともとあった曲なんですけど、結婚式に呼んでいただく機会も増えてきた中で、結婚式で歌えるような曲にしたいなあと思って、正人さんに相談しました。結婚についてはやっぱり、僕らよりも圧倒的に正人さんのほうが知っているので(笑)。そのイメージを伝えつつ弾いていただいたらドンピシャでしたね。

──家族の大事さっていうところは「enn」(「アンサーパレード」収録曲)でも歌われていますし、ライブのMCでもよく話していますよね。

片岡 うれしいことに、sumikaの活動がここ1年とかですごく忙しくなったから、自分の実際の家族と会える時間が少なくなって。だからこそ、離れたからわかる大事さもあって。なんか……親に好きになってもらいたい、みたいな(笑)。3、4年前はとにかく外にしか向いていなかった意識が、ようやくすごく近い“円”の中にも向いてきたんです。それはメンバーやスタッフ、メンバーの家族に対しても同じ気持ちがあります。

──「Familia」というアルバムタイトルには、そういう思いも込められているんでしょうか?

片岡 そうですね。メンバー、スタッフの関係性ってなんて形容するのが正しいんだろうなって考えたときに、心の中にスって落ちてきたのが“家族”っていう言葉で。家族って2種類あると思うんですよ。生まれて自分の目の前にある家族と、そのあと自分の意思で他人と結び付く家族。僕は結婚をしたことがないから、選べる家族の大切さはわかんないなあって思ってたんです。でも実はその関係性にメンバーは近いんじゃないかなと気付いたときに、こんな幸せなことはないなって。1人は1人としか結婚できないし、それが複数いるっていうのはめちゃくちゃ稀だし(笑)。

荒井智之(Dr, Cho)

小川 「Familia」っていうタイトルは、まさに今取材を受けているこの部屋で発表されました(笑)。片岡さんがホワイトボードに最初カギカッコだけを書いていて、その中に「Familia」って書き込むっていう発表形式で。

荒井 “Familia”という言葉は昔のイベント名にもなっていたし、健太が大事に使ってきてるっていうのは知っていて。だからこそ、僕はここでその単語を出してくるのは少し意外でした。

片岡 僕は昔から1stフルアルバムを出すなら「Familia」ってタイトルにしようって決めてたんです。これまで、「内容に嘘が出るようならアルバムは作らない」ってだだをこねてて。今じゃないような気がするって心のどこかで思っていたから、「ミニアルバムぐらいのボリュームのほうが集中力が持ってたぶんいいですよ」って逃げてきたんですよ。今回このチームだからこそ、聴いてくださる方々の前でようやく「Familia」というタイトルを付けて音楽を発表できます。もう満を持してとしか言いようがない。

ハヤシベトモノリの曲から演奏が始まるバンド人生

──先ほど挙がった曲以外にも、今作には多彩なゲストが参加しています。アルバムの中盤にある、ハッピーな空気感のインストゥルメンタル「ピカソからの宅急便」はPlus-Tech Squeeze Boxのハヤシベトモノリさんとの共作曲です。sumikaはライブのSEでPlus-Tech Squeeze Boxの「Dough-Nuts Town's map」を使っていますよね。

片岡 はい。sumikaはバンド活動が始まってから、ずっとハヤシベさんが作った曲をSEにして入場してたし、僕はその前のバンドのSEもPlus-Tech Squeeze Boxの曲を使っていて。だから僕のバンド人生の中で、ハヤシベさんの曲から演奏が始まらなかったことはないんです。今回、アルバムを2部作にしたいという思いがあったので、それならハヤシベさんの曲から2部を始めたいなと。まずはハヤシベさんとの接点がなかったんで、うちのマネージャーを探偵として、所在を探っていきました(笑)。

──この曲があることで、14曲入りでも聴きやすい印象を受けました。そしてアーバンな雰囲気の「Summer Vacation」にはampelの河原太朗さんをコーラス、LUCKY TAPESの田口恵人さんをベースに迎えていて。こういう楽曲にぴったりな人選ですよね。

小川 2人とは個々でもつながりがあって、この楽曲ができた時点で、やってもらいたいっていうイメージがすでにできてたんです。

黒田 太朗くんとは、昔一緒にバンドをやってたんですよ。そのとき太朗くんはキーボードで。それを経て、またこういう形で一緒に音楽ができてすごくうれしいです。

──小川さんが作曲をしていますが、アダルトな雰囲気の楽曲ですよね。

片岡 そう、エロい。

黒田 うちのエロ担当です(小川を指しながら)。

小川 え、俺!? 初めて言われたなあ(笑)。楽曲は、今までやったことのないものに挑戦したいなっていうのと、片岡さんの艶の部分が出る、こういうアーバンな楽曲を歌ってみてほしいなっていう思いから作りました。

片岡 実は最初はアルバムの曲数がもっと少なかったんですけど、曲を並べてたときに、これで「sumikaってこういう者です」って言い切れるのかなって思って、曲を足していきました。最後にできたのは「Answer」ですけど、その前がこの「Summer Vacation」だったんですよ。アルバムに足りないものを小川くんが持ってきてくれて、名刺代わりのような作品になったなと。

冷静な状況でも興奮させられるライブ

──今作は新しい一面もありつつ、今までsumikaが言ってきたこと、表現してきたことを総括したような1stフルアルバムになりましたね。

片岡 そうですね。そこに嘘はないというのは、レコーディングをしてて随所に思ったことで。「あの時間ってなんだったんだろう」とか、意義を感じられないことも今までは多々あったんですけど、実はそのすべてに意味があったんだなって。レコーディングを経て、それに気付いたときはうれしかったですね。でももう……あと5年ぐらいアルバムはいいです(笑)。次は「Familia2」でお会いしましょう。

荒井 確かに、それ以外のタイトルはないね(笑)。

──ちなみに、今皆さんが活動するうえで一番の原動力ってなんですか?

黒田隼之介(G, Cho)

黒田 一番の原動力……バンド。

片岡 ああ、確かに。バンドをやって、原動力にしている感じはあるよね。

小川 うんうん。

片岡 例えば仕事の悩みってお酒飲みに行ったからって解消されるわけじゃなくて、仕事をやって解消するべきだと思うんですよ。お酒を飲んでも結局本質的には解決しないから。僕たちにとっては、やりがいも音楽だし、悩みも音楽だし、解決方法も音楽、かな。

荒井 まさしく。

黒田 やればやるほど面白いなって、思いますね!

片岡 飽きないってすごいことだよね! ほかに飽きないことなんてないもんね。

小川 ない!

──sumikaの今後の展開としては、秋にホールツアーが決定しています。このアルバム、ホールにとても似合うと思うんですが、そこは視野に入れていたんですか?

片岡 いやー、ホール向きですよね。なんとなくチラ付いてはいたけど、そこが直結していたかと言うと……たまたま?(笑) ちゃんと座っても聴ける音楽を演奏することだったり、冷静な状況で観ているお客さんでも興奮させるっていうのは、自分たちが活動するうえで越えたい壁だったので。ホール公演で音楽家としてまた1つ成長したいですね。

小川 僕はもともとJ-POPのど真ん中みたいなものばっか聴いてたんで、そういう人たちが立っていたホールのステージに立ちたいっていう夢があって。sumikaでその夢を叶えられるのがうれしいっていう思いが素直にありますね。

──黒田さんはどうですか?

黒田 「やったことない……やってみたい!」って。目標に向けてみんなでがんばることで動いてきたバンドだと思うので、単純に、「よーしまたやるぞ! 楽しみだな!」っていう気持ちがありますね。

sumika

荒井 僕は、まあー、実感はないですね。縁遠すぎて。もちろん楽しみですし、がんばるし、とは思うんすけど……実感が湧かないですね。埋まるんすかねえ? できるんすかねえ?

一同 あははは(笑)。

片岡 ライブハウスとホール、どっちも大事にしたいなっていうのはもちろんあって。両方できるバンドっていうのが今の目標です。

sumika「Familia」
2017年7月12日発売 / [NOiD] / murffin discs
sumika「Familia」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4860円 / NOID-0019

Amazon.co.jp

sumika「Familia」通常盤

通常盤 [CD]
3024円 / NOID-0020

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. Answer
  2. 春風
  3. Lovers
  4. KOKYU
  5. Someday
  6. アネモネ
  7. ここから見える景色
  8. ピカソからの宅急便(Instrumental)
  9. MAGIC
  10. アイデンティティ
  11. Summer Vacation
  12. まいった
  13. 「伝言歌」
  14. Door
初回限定盤DVD収録内容

sumika「SALLY e.p」Release Tour Final@Zepp DiverCity TOKYO

  • Lovers
  • ソーダ
  • カルチャーショッカー
  • MAGIC
  • 1.2.3..4.5.6
  • sara
  • まいった
  • 知らない誰か
  • リグレット
  • リフレイン
  • グライダースライダー
  • チェスターコパーポット
  • マイリッチサマーブルース
  • ふっかつのじゅもん
  • オレンジ
  • 雨天決行
  • 「伝言歌」

ツアー情報

sumika 1st FULL ALBUM「Familia」Release Tour
  • 2017年9月18日(月・祝)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2017年9月22日(金)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2017年9月24日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年9月30日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2017年10月1日(日)石川県 Kanazawa AZ
  • 2017年10月6日(金)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年10月8日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年10月9日(月・祝)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2017年10月13日(金)京都府 磔磔
  • 2017年10月15日(日)香川県 高松オリーブホール
sumika 1st FULL ALBUM「Familia」Release Tour -ファイナルシリーズ-
  • 2017年10月26日(木)東京都 東京国際フォーラム ホールA
  • 2017年11月5日(日)大阪府 フェスティバルホール
  • 2017年11月24日(金)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
sumika(スミカ)
sumika
片岡健太(Vo, G)、荒井智之(Dr, Cho)、黒田隼之介(G, Cho)により2013年5月に結成されたバンドで、sumika[camp session]名義のアコースティック編成でも活動している。同年10月に1stミニアルバム「新世界オリハルコン」をリリース。2014年11月にはmurffin discs内レーベル・[NOiD]の第2弾アーティストとして2ndミニアルバム「I co Y」を発売する。2015年2月にサポートメンバーの小川貴之(Key, Cho)がバンドに正式加入し、6月に3rdミニアルバム「Vital Apartment.」をリリースした。8月には片岡の体調不良によりライブ活動を休止。その後11月に東京・shibuya eggmanで行ったワンマンライブをもって活動を再開させる。2016年3月には活動再開後初の作品として両A面シングル「Lovers / 『伝言歌』」を、5月には4thミニアルバム「アンサーパレード」を、12月には4曲入りCD「SALLY e.p」をリリース。2017年7月には1stフルアルバム「Familia」を発売した。