音楽ナタリー Power Push - sumika

休養期間を経て導き出した答え

メンバー間に改めて生まれた愛情

──ほかのメンバーの皆さんは、活動休止からこのアルバムの制作に入るまでに、どのような心境の変化がありましたか?

荒井智之(Dr) バンドとして活動休止する前に健太が休養期間に入って、そのあと3人でプロモーション稼働したり、ワンマンライブを東名阪でやらせていただいたり。そのときに今まで健太がsumikaのボーカルとして矢面に立って、ずっと受けていたプレッシャーだとかを各個人が体感することができて。実際自分たちがその立場に立つと「こんなにも今まで大変なことをやっててくれたんだ」っていうことを身に染みて感じました。今まで以上に健太に対して感謝しましたし、それこそ愛情というものがメンバー間に改めて生まれて。健太が休んでる期間中、おがりん(小川貴之)と隼ちゃん(黒田隼之介)は健太が戻ってきたらすぐに動き出せるようにずっと曲を作ってくれていたんです。

──今作に入っている「明日晴れるさ」は黒田さんが作曲されていますが、活動休止中に制作した楽曲ですか?

黒田隼之介(G, Cho)

黒田隼之介(G, Cho) 「明日晴れるさ」は、僕がもともと19歳のときに作った曲なんです。片岡さんがお休みをしていた期間に「片岡さんに何かできることがあったらいいな」って考えたときに、「片岡さんに向けて曲を作ることが今できることなんじゃないか?」という結論が出たんですね。そのときにふと「明日晴れるさ」のことが頭に浮かんで「この曲を片岡さんに聴いてもらって元気になってほしい」って思ったんです。それでもともとあった「明日晴れるさ」のデモを録り直しました。

──この曲の歌詞は黒田さんと片岡さんの共作ですが、もともと歌詞があった曲なんですか?

黒田 そうです。その歌詞が片岡さんに贈るのにぴったりだなと思って、1度みんなで集まったときに僕から片岡さんに向けてっていうことで聴いてもらいました。それで「この曲を収録しよう」って決まったときに、今度はsumikaからファンに向けて聴いてもらうために片岡さんが歌詞に手を加えてくれたんです。

──黒田さんが片岡さんに向けた思いとはどのようなものだったのでしょうか?

黒田 「明日晴れるさ」って言ってるんですけど、最終的に「晴れなくてもいいよ」「『明日晴れるさ』って思うところから今が変えられるよ」っていうことを伝えたくて。だから片岡さんが病気で辛いときにも、「治んなくてもそのままでもいいよ」っていう歌詞です。「『このまま一緒にやれるよ』って思うことから変えていこうよ」っていう感じですね。

片岡 隼ちゃんとおがりんはかなりの数の楽曲を作ってきてくれたんですけど、本当に良作ばかりで。休止期間中に2人がデモを作ってるっていうのは聞いてて、それで僕も復帰が見えてきたときに制作を始めていたので、みんなで聴かせ合おうっていう流れだったんですけど、「めっちゃいいね!」「よすぎてどうする!?」ってなりました(笑)。

片岡さんに元気を出してもらいたい

──これまでのsumikaの楽曲の作詞作曲はほぼ片岡さんが手がけてきましたが、休止期間中にメンバーが曲を作ってると知ったとき、どんなことを思いましたか?

片岡 おがりんが2015年2月に加入して、僕は5月に倒れたんですよ。加入して3カ月でいなくなるっていう(笑)。実はおがりんが加入した頃からスタッフと「ほかのメンバーが曲を書いたらさらによくなるよね」っていう話をしていたんです。それを伝えられないまま倒れたんですけど、元気になって戻ってきたらみんな曲を作ってくれているし、思いがちゃんと伝わっている感じがしてすごくうれしかったですね。

小川貴之(Key, Cho) 「片岡さんに元気を出してもらいたい」っていう気持ちが強かったので、倒れて1週間後には1曲できあがっていましたね。

──片岡さんが参加できなかった東名阪ツアーはゲストを迎えて行われましたが、基本的には小川さんがボーカルを務めていたんですよね。

sumika

小川 そうなんです。最初はやっぱり気負ってしまう部分があって。片岡さんっていうボーカリストの存在がいる中で、「お呼びじゃないよ」って思われるんじゃないかっていう恐怖心もありましたね。でも結局みんなで戦うことができました。

荒井 最初はもう不安だらけでしたね。「健太がいないsumikaのライブを、どれぐらいの人が観に来てくれるのかな?」って思って。メンバー間では「まあ、来ないよね」っていう覚悟はしていたんですけど、ステージに立ったらたくさんの人が遊びに来てくれていて。しかもみんなすごい笑顔で、僕たちよりも僕たちの現状をすごく理解してくれてるのかなって思いましたね。

黒田 ほぼキャンセルなしで来てくれましたからね。逆に元気付けてもらえたよね。

ミニアルバム「アンサーパレード」/ 2016年5月25日発売 / 1944円 / [NOiD] / murffin discs / NOID-0011
「アンサーパレード」
収録曲
  1. sara
  2. Lovers
  3. 明日晴れるさ
  4. 1.2.3..4.5.6
  5. enn
  6. 溶けた体温、蕩けた魔法
  7. 「伝言歌」-Answer Parade ver.-

「アンサーパレード」Joint Live Tour -Parade-

2016年7月18日(月・祝)
香川県 DIME
<出演者> sumika / SUPER BEAVER
2016年7月20日(水)
福岡県 Queblick
<出演者> sumika / イトヲカシ
2016年8月22日(月)
広島県 SECOND CRUTCH
<出演者> sumika / Czecho No Republic
2016年8月24日(水)
静岡県 Shizuoka UMBER
<出演者> sumika / Czecho No Republic / FINLANDS(オープニングアクト)
2016年9月8日(木)
新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
<出演者> sumika / フレデリック
2016年9月9日(金)
宮城県 仙台MACANA
<出演者> sumika / フレデリック
sumika(スミカ)
sumika

片岡健太(Vo, G)、荒井智之(Dr)、黒田隼之介(G, Cho)により2013年5月に結成されたバンドで、sumika[camp session]名義のアコースティック編成でも活動している。同年10月に1stミニアルバム「新世界オリハルコン」をリリース。2014年11月にはmurffin discs内レーベル・[NOiD]の第2弾アーティストとして2ndミニアルバム「I co Y」を発売する。2015年2月にサポートメンバーの小川貴之(Key, Cho)がバンドに正式加入し、2015年6月に3rdミニアルバム「Vital apartment.」をリリースした。8月には片岡の体調不良によりライブ活動を休止。その後11月に東京・Shibuya eggmanで行ったワンマンライブ「sumika復活フリーワンマンライブ」をもって活動を再開させる。2016年3月には活動再開後初の作品として両A面シングル「Lovers / 『伝言歌』」を、5月には4thミニアルバム「アンサーパレード」をリリースした。