sumikaが5月25日に4thミニアルバム「アンサーパレード」を発売した。2015年8月から約4カ月間、片岡健太(Vo, G)の体調不良によりライブ活動を休止していたsumika。バンドの活動再開や、両A面シングル「Lovers / 『伝言歌』」のリリースなどを経て完成したミニアルバムは、ストリングスによって彩られた楽曲や黒田隼之介(G, Cho)と小川貴之(Key, Cho)がそれぞれ作曲したナンバーなど、sumikaの新たな魅力を感じられる全7曲で構成される。音楽ナタリーではメンバー4人にインタビュー。活動休止から今作の制作に至るまでの経緯をたどりながら、「アンサーパレード」に込めた思いを聞いた。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 後藤壮太郎
曲がよくなることを一番に考えたアルバム
──今作「アンサーパレード」は2015年11月のライブ活動再開後、初のミニアルバム作品です(参照:sumika「もう無理かなあと思った」復活フリーワンマンで片岡が号泣)。片岡さんは「アンサーパレード」について、以前ライブで「休養期間に出た答えを伝えながら、パレードしていくような作品」だとおっしゃっていましたが、その答えとはどのようなものだったのでしょうか?
片岡健太(Vo, G) バンドを始めてから、ライブ、制作、プロモーションなどでメンバーとほぼずっと一緒にいるような時間が続いていて。休養するまでは1人になることがなくて、孤独から離れていたんです。今回休養してみて、個人的にはメンバーがいないと何もできないんだなって思ったし、sumikaとしてはスタッフやお客さんがいないと何もできないんだなと改めて思いました。そのありがたさに気付いたときに、メンバーに対して、スタッフに対して、待っててくれたお客さんに対して抱いていたこの感情は、愛情なんだろうなって、なんとなくだけどわかって。
──それが答えだったんですね。
片岡 そうですね。個人的に今まで愛情みたいなものを表現することがあまりできなくて。ライブとかでは気分がすっごい高まったときに「愛してます」とか言うときもあるんですけど、冷静になったときに人に「愛してます」なんて言えないんですよね。海外だとハグして、キスして、「I love you」って言う、みたいな習慣があると思うけど、お国柄なのか、僕の精神構造的にそうなのか「愛してる」って言う機会がなくて。なかなか使いづらい言葉だなあと思っていたんです。
──その愛情が今回は作品に出ているんですね。
片岡 そうですね。「Lovers」では特に、僕にとっての音楽への愛情みたいなものを表していて。それはメンバー、スタッフ、そして聴いてくれる方々も含めて「今だけじゃなくてずっと一緒にいたいな」っていう気持ちです。それをみんなの大事な人とか大事なものにちゃんと当てはまるように意識して書いています。恋愛じゃなくて結婚というか、おじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒にいるためにはどうしたらいいかっていうことを考えた歌詞ですね。長く一緒にいると相手がよそ見しちゃうことも当然あると思うから、浮気を助長するような歌詞も入ってるんですけどね(笑)。作品全体には「音楽ってやっぱり楽しいなあ」っていう思いが間違いなくパッケージされていると思います。例えば曲調がマイナーであっても、たぶん自分たちが楽しんで演奏している表情みたいなものが伝わる音になっているかなって。
──今作はこれまでと比べて全体的に楽曲のテンポがゆったりとしてますよね。
片岡 意識面が変わったのが大きいかもしれません。これまではギターが2本いるから2本入れなきゃいけないし、キーボードも入れなきゃいけないし、生ドラムがいるべきだしっていう、全員の音を絶対に入れなきゃいけないっていう使命感みたいなものがあって。半ば強引にでもその音を入れようとしてたんですけど、今回は曲がよくなることを一番に考えたアルバムなんです。例えば「Lovers」はエレキギターのパートがほとんどないですし。
──ストリングスや鉄琴などさまざまな楽器の音色が入っていますよね。
片岡 それがちゃんと聴こえるように、いい意味で隙間を作ることを考えていって。そうしたら自然にテンポが下がっていったんですよね。
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収録曲
- sara
- Lovers
- 明日晴れるさ
- 1.2.3..4.5.6
- enn
- 溶けた体温、蕩けた魔法
- 「伝言歌」-Answer Parade ver.-
「アンサーパレード」Joint Live Tour -Parade-
- 2016年7月18日(月・祝)
- 香川県 DIME
- <出演者> sumika / SUPER BEAVER
- 2016年7月20日(水)
- 福岡県 Queblick
- <出演者> sumika / イトヲカシ
- 2016年8月22日(月)
- 広島県 SECOND CRUTCH
- <出演者> sumika / Czecho No Republic
- 2016年8月24日(水)
- 静岡県 Shizuoka UMBER
- <出演者> sumika / Czecho No Republic / FINLANDS(オープニングアクト)
- 2016年9月8日(木)
- 新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- <出演者> sumika / フレデリック
- 2016年9月9日(金)
- 宮城県 仙台MACANA
- <出演者> sumika / フレデリック
sumika(スミカ)
片岡健太(Vo, G)、荒井智之(Dr)、黒田隼之介(G, Cho)により2013年5月に結成されたバンドで、sumika[camp session]名義のアコースティック編成でも活動している。同年10月に1stミニアルバム「新世界オリハルコン」をリリース。2014年11月にはmurffin discs内レーベル・[NOiD]の第2弾アーティストとして2ndミニアルバム「I co Y」を発売する。2015年2月にサポートメンバーの小川貴之(Key, Cho)がバンドに正式加入し、2015年6月に3rdミニアルバム「Vital apartment.」をリリースした。8月には片岡の体調不良によりライブ活動を休止。その後11月に東京・Shibuya eggmanで行ったワンマンライブ「sumika復活フリーワンマンライブ」をもって活動を再開させる。2016年3月には活動再開後初の作品として両A面シングル「Lovers / 『伝言歌』」を、5月には4thミニアルバム「アンサーパレード」をリリースした。