VAMPSが気付かせてくれた「ヴィジュアル系をやりたかった理由」

──SuGってとても間口が広いバンドですよね。ビジュアルから入る人もいれば、単純に曲だけ聴いてそのキャッチーさに惹かれる人、さらに聴き込んでマニアックさに気付いてしまう人、そこからさらにアルバムのコンセプチュアルな部分に興味を持って小説に行き着く人、いろいろいると思います。しかもSuGは全てに対して一切妥協しない。「sweeToxic」もビジュアルやファッション、楽曲、PV、全てに全力を注ぎ込んでるからどこから入っていってもすごく安心できるなって強く感じました。

今までも割と同じことをしてきてたんですけど、やっぱりスキルアップしてたり洗練された部分が出てきたりしたからこうなったのかなって思いますね。これと同じことを2年前にやったとしても、今よりも届きにくかっただろうし。最近特に思うんですけど、進化したというよりは結局原点に戻ってきてる気がするんです。自分が元々やりたかったこと、高校生の自分がやりたかったことってこういうことだなって。アルバム「Lollipop Kingdom」とシングル「sweeToxic」を通してしっかり戻ってきました。言い方は悪いかもしれないですけど、ヴィジュアル系ブームがやっと自分の中で終わった感じがすごくあるんです。

──ヴィジュアル系ブームがやっと自分の中で終わった？

はい。実はなぜ自分はヴィジュアル系をやりたかったかを、VAMPSが出演した「ROCK NATION」（8月12日開催。VAMPSのほか、CNBLUE、土屋アンナ、sadsが出演）を観に行って再確認したんです。やっぱりHYDEさんだったり清春さんだったり、グラムロックとかいろんな要素が混ざり合ったあのスタイルに憧れて。高1のときにHYDEさんのソロとsadsと、あとはHAWAIIAN6とELLEGARDENとイギー・ポップをもう同列に見てたんです（笑）。自分の中にジャンルの線引きがなかったから、あっちが好きでこっちがダセエって言ってるのを理解できなかった。ヴィジュアル系もそうでない音楽も両方好きだったけど、自分はヴィジュアル系の世界を選んで……極論としてはどっちでもいいんですけどね。

──そこまでヴィジュアル系というジャンルに執着していないと？

そうですね。正直何かを背負う気もないし、何かに縛られる気もないし。っていう発言をするとdisってるみたいに取られるのも正直バカらしいなと思う。俺はただヴィジュアル系の中に尊敬する先輩がいるってだけで、ヴィジュアル系の中には嫌いなところもたくさんあるし。で、そういうリスペクトする気持ちはほかのジャンルの先輩に対してもあるし……好きなものがいくつかあって、それぞれからインスパイアされて今の自分がいるんだなってことを、「ROCK NATION」に行って気付けたんです。原点には戻ったけど、最初の頃よりも一歩前に進んでるとは思いますよ。もちろん影響を受けたたくさんの先輩方や、今までいたこのジャンルというかシーンに対しての感謝の気持ちはすごくあります。

──いろんなジャンルを分け隔てなく聴いて「こういう音楽をやりたい」と思っていたけど、最初の頃はうまくやれなかった。でも今はそれを自由にやれる環境、技術、能力が身に付いたってことなんでしょうか？

身に付き始めたのも最近の話ですね。だけど「もっともっとこうしなきゃいけない」っていうことはいっぱいありますし、そういう意味でもよりスキルアップしたいなって思います。最近はオフもあったりして、諸先輩方と話す機会もちょっと増えたんですけど、アンテナを張ってる人は皆さんすごくフラットに見てるなと思いますね。逆に「すごくヴィジュアル系だよね、SuGは」っていう先輩もいて。ヴィジュアル系って言われることはすごく光栄ですし、面白いなって思います。