すとぷり|リスナーのみんなと次のステージへ、リーダーななもり。が新作アルバムを解説

すとぷりが2ndフルアルバム「すとろべりーねくすとっ!」をリリースした。

昨年は2枚のCDの発売をはじめ、初の全国ツアーや埼玉・メットライフドームでの2DAYSライブを開催するなど、1年を通して精力的に活動し、大きな躍進を遂げたすとぷり。その後もメンバーのソロ活動も含め、勢いを落とさずに走り続けている中、HoneyWorks、ナユタン星人、DECO*27、れるりりといった作家陣を迎えて2ndフルアルバムを完成させた。

音楽ナタリーではリーダーななもり。へのソロインタビューを行い、グループにとって怒涛の1年間であった2019年を振り返ってもらいつつ、アルバムの収録曲について話を聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦

やりたいことが実現した2019年

──2019年はすとぷりにとって飛躍の1年でしたね。

努力と挑戦の1年でした。振り返ってみると、2017年まではライブをやる回数が少なかったんですよ。それは単純にやりたいことがたくさんあっても人手が足りない状態が続いていたからで。でも2018年頃から僕らの活動に協力してくださる方々が増えてきたんです。2019年はライブに限らず、僕らがやりたいことがどんどん実現するようになった年でもあり、いろんなことに挑戦できた1年だったと思います。

──去年の1年間の中で、特に印象に残っている出来事はなんですか?

やっぱり9月のメットライフドームでのライブは大きかったですね。もっと具体的に言うと、メットライフドームに至るまでの夏ツアーからの3カ月間がとても充実していて、僕らにとって勝負のタイミングだったなと感じています。実は、夏ツアーを開催する前にメンバーみんなで話したことがあるんですよ。それは「ネットでの活動ペースを落とすくらいなら、ツアーの開催もCD制作も全部止めよう。それでもやりたいと思えるなら、普段の活動もツアーも音源制作も全部本気でやろう」ということ。やっぱり僕らは動画投稿者、配信者ですから、その自分たちの足場を崩したくなかったんですよね。夏ツアーからメットライフドームでのライブにかけての3カ月間は、ネットでの活動ペースを落とすことなく、ライブに来れない方々を楽しませながら新しい挑戦もできたので、すごく達成感がありました。

埼玉・メットライフドームで開催された「すとろべりーめもりーvol.10」の様子。(写真提供:すとぷり)

──ネット発の動画クリエイターやアーティストが多数生まれていく中で、すとぷりの強味はどんなところにあると考えていますか?

活動量ではどのアーティストさんや配信者さんにも負けていないと思います。僕ら1人ひとりが動画を投稿したり生配信したりしているので、リスナーの皆さんが暇にならないくらいのコンテンツを提供しているんですよね。この間、おそらく小学生のお子さんを持つ親御さんから「うちの娘が眠れなくなってしまうので、配信は夕方から20時までの時間にしてください」という意見をいただきまして、「申し訳ないな」と思いながらもどこか光栄に思う部分もあったんですよ。僕らの動画に夢中になってくれている人がいるという証拠ですから。

──2019年は動画投稿も含め、メンバー個々の活動が充実した1年でもあったんじゃないでしょうか。

2018年はそれぞれのメンバーが“どの山に登るのか”を決める1年だったんです。例えば、るぅとくんだったら作詞作曲に挑戦していくとか、莉犬くんなら物語を作ることと演じることが好きなので、それらの要素を活動とどう結び付けるのか、とか。メンバーと話し合いながら、それぞれが得意なこと、やりたいこと、リスナーの皆さんに喜んでもらえることを選んで活動して、ようやく実り始めたのが2019年でした。

リスナーさんと一緒に進むアルバム

──ななもり。さんはグループの中でプロデューサー的な目線を持ったメンバーだと思いますが、2ndフルアルバム「すとろべりーねくすとっ!」はどのような作品にしようと考えたのでしょうか?

「すとろべりーすたーと」(2019年3月発売の1stミニアルバム)は、タイトルの通り“始まり”をテーマにした作品で、僕たちらしさを詰め込んだアルバムでした。その次にリリースした「すとろべりーらぶっ!」(2019年7月発売の1stフルアルバム)は、現状に甘えず挑戦し続ける姿を見せることがリスナーさんに愛を伝えることにつながるんじゃないかと考えて作ったアルバムで。そして「すとろべりーねくすとっ!」は“新しさ”と“自分たちらしさ”を半分ずつ詰め込むことで、リスナーさんと一緒に次のステージに上がることをテーマにしました。

──収録曲のうち「ギンギラ銀河」は、テレビアニメ「妖怪学園Y ~Nとの遭遇~」のオープニングテーマです。すとぷりがアニソンを担当するのはこれが初めてですよね?

はい。最初にこのお話を聞いたときはうれしいというより「僕らの活動が認めてもらえた」という思いが強かったですね。以前に僕らのことをテレビに取り上げていただいたときも、どちらかと言えばテレビで放送されることがうれしかったというより、それによってリスナーの皆さんが喜んでくれていることに心が動かされました。

──「ギンギラ銀河」の作詞作曲を手がけたナユタン星人さんが、すとぷりと同じくインターネットの動画カルチャー発のアーティストであることも大きいですよね。

ナユタン星人さんは僕らの活動のことをよく知っていてくれていたみたいで、「妖怪ウォッチ」の世界観に“すとぷりらしさ”をうまくかけ合わせてくれました。「ギンギラ銀河」は歌割りがすごく細かくて、パートごとにいろんな個性を付けながら、自由に歌う形でレコーディングができたんです。なんだか普段の動画投稿のときのような空気感があって、とてもすとぷりらしい曲になったと感じています。

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新しさへの挑戦