結局サバプロに帰ってくる
──アルバムとしてのコンセプトのようなものはあったんですか?
Yosh いや、はっきりとしたコンセプトはありませんでしたが、俺は「『WABI SABI』2号を作る」って言ってました。
──「『WABI SABI』2号」というのはどういう意味で?
Yosh 単純に前作「WABI SABI」(2017年8月発売のアルバム)の制作が楽しかったんですよね。あのグルーヴ感が欲しかったので、同じようなことをやりたいなと。「WABI SABI」は初めてメンバー5人が同じところを向いて作れたという感覚があって。「FIXED」(2016年10月発売のアルバム)あたりからいろいろ探って、「WABI SABI」で掴んで、今回でようやく確信になったみたいな。
──そのグルーヴ感は、今お話を伺っていても感じます。
Yosh 誰かが発したことを、聞いてるのか聞いてないかくらいの感じで聞いて、ツッコむところがあればツッコんで、耐えられないときには怒る。最近は本当に人間らしくバンドをやってます。
一同 うん。
──その感覚、バンドを続けていると難しくなってくると思うんですけど、結成から5年以上経った今もその関係性でいられるのはすごいですよね。なんなら会わなくても曲が作れる時代に。
Yudai そうですね。
Show 会わないで曲を作ってると、必ずどっかで歪みが生まれます。「なんでバンドを組んでるか?」っていうことは常に考えていたいですね。もし歌を届けたいだけなら、Yoshが歌って楽器隊はサポートでもいいのかもしれないし。
──その考え方はYoshさんが[nZk](澤野弘之のプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]。Yoshは同プロジェクトにボーカリストとして参加している)に参加していることでさらに大きくなったり?
Yosh ちょっと! 気まずいじゃないですか!(笑)
──いやいや、悪い意味じゃないです。Yoshさんが[nZk]で手応えを感じて「俺はシンガーとしてやっていく」と言ってもおかしくないと思うんですけど、Survive Said The Prophetのボーカリストで居続けるというのはバンドに魅力を感じてるからだと思うので。
Yosh もし俺がソロシンガーになるとするじゃないですか。そしたらサポートメンバーはサバプロのメンバーなんですよ。それは自分でも想像がつく。どんなに泣いても、どんなに怒っても、結局ここに戻ってくるんです。だから安心していろんなことができるんだと思います。
Yudai うん、Yoshは昔から「俺は1人じゃ何もできねえ」ってよく言うんです。「俺はバンドをやりたいから」って。それは俺も同じ気持ちで。だから信頼してる。いろんなところに行って、その経験を持ち帰ってバンドの力にしてくれるという意味で尊敬もしています。
Yosh ありがとうございます。普通にうれしい。
Tatsuya ほかのメンバーもみんな以下同文ですよ。
Yosh まさに「s p a c e [ s ]」です(笑)。[nZk]での現場のあと、「誰々さんが新しいベースコンプ使ってたよ」とか「やっぱりドラムセットはPEARLがいいね」とか、そういう情報をバンドに持ち帰ってみんなで楽しく話してます。
Tatsuya あと自分のバンドのボーカルが歌ってるステージを客席から観ることってあんまりないから面白いですよね。
Yosh 前にLIQUIDROOMでの[nZk]のライブをIvanが観に来て。まだ俺が[nZk]に参加したてで、「ロックしてやろう」ってめちゃくちゃ気負ってシャウトしてたらちょうど照明がIvanに当たって、彼が俺を指差して爆笑してるところが目に入って、なんか安心しましたね。
──すべてがいい経験としてバンドに戻って来てるんですね。
Yosh それは、もう間違いないです。
「s t i l l b e l i e v e」を聴いてYoshが号泣
──アルバムの制作は順調でしたか?
Yosh 正直、俺は「s p a c e [ s ]」というタイトルのアイデアが実現できたときに、もうアルバム用の楽曲制作はこれでおしまいにしてもいいかもしれないって思ったんですよ。まだアルバムの制作の序盤だったんですけど、達成感がすごくて。そんなときにIvanが「s t i l l b e l i e v e」を作ってきて、聴きながら1人で号泣しました。「あきらめそうになっても信じていよう」っていう歌詞なんですけど、それが俺には「俺らがこれまでやってきたことは何かにつながるって信じてるよ」っていうメッセージに感じられて。ここからまた何か始まる。そんな期待を感じられたんです。この曲をライブで大合唱するのが楽しみですね。
──Ivanさんはこの曲をどういう気持ちで書いたんですか?
Ivan この曲を書いたとき、環境的にいろいろあって大変で。YoshはYoshで不安定な時期で。
Yosh よくあるんですよ。
Tatsuya 自分で言う?(笑)
Yosh よくあるんですけど、中でもそのときは一番不安定だったような気がする。
Ivan だからYoshも含めて周りの人たちへの自分の考えを書いた感じです。「信じ続ければ前に進めるんじゃない?」って。ある意味で、自分に対する気持ちなのかもしれないです。
──サウンドもアルバムの終わりにふさわしい、壮大な仕上がりですね。
Yosh アウトロのギター2人のソロ、いいですよね。王道な感じ。
──2本のギターのハモりが絶妙です。
Ivan ずっとTatsuyaと「ギターソロでハモりたいね」って言ってて。
Tatsuya 突然、俺がこの曲に入れようとするっていう(笑)。
──サバプロの曲はすべてをYoshさんが作っているわけではないんですね。
Yosh はい。メンバーそれぞれが持ってきたものに歌詞とかメロディを乗せるのが自分なので、調整することがあるっていうだけで。もちろん逆もあるし。「絶対にこの曲は触らないでほしい」って思う曲が1アルバムに1曲くらいあります。
──今作でそう思った曲は?
Yosh 4曲目の「Right and Left」ですね。今、音楽業界全体でメロディラインがR&B調のものが増えてると思うんです。エド・シーランとかジャスティン・ビーバーとか。サバプロの曲にもそういうメロディが合うんじゃないかなと2年前くらいから思っていて、やっとうまく入れられたのがこの曲。ちなみに失恋の曲なんですけど、もうサバプロで失恋の曲書くの、これで最後にします。決めました。
Ivan 絶対、言うだけっすよ(笑)。
Show 俺「また失恋の曲書く」に5万円賭けるよ(笑)。
──(笑)。ちなみにYoshさん、失恋の曲を最後にすると決めたのはなぜですか?
Yosh もう十分さらけ出したかなって思って。「もっといろんなことお話ししよー」みたいな(笑)……でもみんなに言われて「確かに」って一瞬思っちゃったからやっぱり書くかも(笑)。
──Yoshさんの書く失恋の曲が好きって言う人もいっぱいいるでしょうしね。
Yosh この前、ファンの人に恋愛相談されましたよ。「僕、恋愛が得意じゃないからこういう曲ができるんだよ」って返しましたけど(笑)。
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好きな曲は
- Survive Said The Prophet
「s p a c e [ s ]」 - 2018年9月26日発売 / Sony Music Records
-
[CD]
2700円 / SRCL-9939
- 収録曲
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- s p a c e [ s ]
- T R A N S l a t e d
- S P I N E
- Right and Left
- found & lost
- p a c e s [ s ]
- NE:ONE
- The Happy Song
- UPLIFTED
- s t i l l b e l i e v e
- 公演情報
Survive Said The Prophet「s p a c e [ s ]TOUR 2018-19」 -
- 2018年10月5日(金)愛知県 豊橋 club KNOT<出演者>Survive Said The Prophet / ENTH / ヒステリックパニック
- 2018年10月7日(日)大分県 club SPOT<出演者>Survive Said The Prophet / ACCIDENT I LOVED / Paledusk
- 2018年10月8日(月・祝)長崎県 Studio DO!<出演者>Survive Said The Prophet / ACCIDENT I LOVED / 彼女 IN THE DISPLAY
- 2018年10月12日(金)千葉県 千葉LOOK<出演者>Survive Said The Prophet / tricot
- 2018年10月13日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE<出演者>Survive Said The Prophet / G-FREAK FACTORY / tricot
- 2018年10月14日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA<出演者>Survive Said The Prophet / tricot
- 2018年10月19日(金)秋田県 Club SWINDLE<出演者>Survive Said The Prophet / Azami / Newspeak
- 2018年10月20日(土)青森県 LIVE HOUSE FOR ME<出演者>Survive Said The Prophet / Azami / Newspeak
- 2018年11月9日(金)山口県 LIVE rise SHUNAN<出演者>Survive Said The Prophet / a crowd of rebellion
- 2018年11月10日(土)島根県 アポロ<出演者>Survive Said The Prophet / and more
- 2018年11月11日(日)岡山県 IMAGE<出演者>Survive Said The Prophet / and more
- 2018年11月16日(金)富山県 Soul Power<出演者>Survive Said The Prophet / NOISEMAKER / and more
- 2018年11月17日(土)石川県 vanvan V4<出演者>Survive Said The Prophet / NOISEMAKER / and more
- 2018年11月18日(日)新潟県 CLUB RIVERST<出演者>Survive Said The Prophet / NOISEMAKER / and more
- 2018年11月22日(木)群馬県 高崎club FLEEZ<出演者>Survive Said The Prophet / HER NAME IN BLOOD / SHADOWS
- 2018年11月23日(金・祝)福島県 郡山CLUB #9<出演者>Survive Said The Prophet / Creepy Nuts / SHADOWS
- 2018年11月25日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2<出演者>Survive Said The Prophet / HER NAME IN BLOOD / SHADOWS
- 2018年12月7日(金)京都府 KYOTO MUSE<出演者>Survive Said The Prophet / and more
- 2018年12月8日(土)兵庫県 KINGSX<出演者>Survive Said The Prophet / and more
- 2018年12月9日(日)香川県 DIME<出演者>Survive Said The Prophet / and more
- 2019年1月11日(金)北海道 cube garden<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年1月13日(日)岩手県 Club Change WAVE<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年1月14日(月・祝)宮城県 仙台MACANA<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年1月18日(金)福岡県 Queblick<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年1月19日(土)大阪府 FANJ twice<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年1月20日(日)愛知県 ell.FITS ALL<出演者>Survive Said The Prophet
- 2019年2月3日(日)東京都 マイナビBLITZ赤坂<出演者>Survive Said The Prophet
- Survive Said The Prophet(サバイブセッドザプロフェット)
- Tatsuya(G)、Yosh(Vo)、Yudai(B, Scream)、Show(Dr)、Ivan(G)からなる5人組バンド。ネイティブな英語を操るバイリンガルのボーカリストYoshの圧倒的な歌唱力とカリスマ性を筆頭に、確かなスキル、ミュージシャンシップ、そして個性的なキャラクターを持った5人のメンバーからなるインターナショナルロックバンド。その異彩を放つ音楽性はロックに限らず、ポップ、エレクトロ、ヒップホップ、R&Bまで幅広いバックグラウンドをベースに、既存のシーンの枠に収まらないダイバーシティを武器に様々なフィールドを活動の場とし、日々進化し続けている。2018年5月に劇場アニメ「コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道」の主題歌を収録した両A面シングル「NE:ONE / HI | LO」を、8月にテレビアニメ「BANANA FISH」のオープニングテーマを収録したシングル「found & lost」を発表。9月にはSony Music Recordsに移籍し、通算4枚目となる10曲入りのアルバム「s p a c e [ s ]」をリリースした。