MAN WITH A MISSIONが10月23日にニューシングル「Dark Crow」をリリースした。
このシングルには、現在放送中のテレビアニメ「ヴィンランド・サガ」第2クールのオープニングテーマとなっている表題曲をはじめ、Fall Out Boyのパトリック・スタンプ(Vo, G)との共作曲「86 Missed Calls feat. Patrick Stump」、注目の女性シンガーソングライターであるmiletをフィーチャーしたバンドにとって初の女性アーティストとのコラボ曲「Reiwa feat. milet」など全4曲が収録されている。
音楽ナタリーでは新作リリースに伴い、MAN WITH A MISSIONのJean-Ken Johnny(G, Vo, Raps)と、「ヴィンランド・サガ」第1クールのオープニングテーマに「MUKANJYO」を提供したSurvive Said The ProphetのYosh(Vo)による対談をセッティング。両者の出会いや音楽のルーツ、互いの魅力、同じアニメのオープニングテーマをバトンタッチすること、12月3日に行われるマンウィズのライブツアー「Remember Me TOUR 2019」チームスマイル・豊洲PIT公演にサバプロがゲスト出演することなどについて語り合ってもらった。なおJean-Ken Johnnyの発言は編集部で日本語に翻訳している。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 新元気
音楽でモメていたあの頃
──まずはお二人の間柄についてお聞きしたいんですが、初対面ではないんですよね?
Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION / G, Vo, Raps) 全然初対面ではないです(笑)。
Yosh(Survive Said The Prophet / Vo) もう長い付き合いですよね?
Jean-Ken ブラザーです、ブラザー! Yoshとは10年くらい前に共演したこともあるんですよ。それこそサバプロが世に出る前に、「こういうバンドを立ち上げるんだ」みたいな話から聞いてましたしね。
Yosh そうそう(笑)。ツアーファイナルに出させてもらったり、イベントで共演したり。
Jean-Ken そうだね。あの頃は、よく行ってたバーでほぼ毎日Yoshと会ってました。「ほかに行くところないのかよ!」っていうくらい(笑)。あの頃、Yoshはめちゃくちゃとがってたよね。
Yosh ちょいちょいバトってましたもんね。(Jean-Ken Johnnyの目の前に顔を近付けて)本当にこの距離で(笑)。けど、殴ったりはしないっていう。結局、モメるのは音楽のことがきっかけなので。「てめえ、ロックしてんのか?」みたいなことをひたすら言い合ってました。
Jean-Ken 「お前、ちゃんとやってんのか!?」「やってるよ!」ってね。友達でもあるけど、お互いミュージシャンだからいろいろ熱くなっちゃって。いい思い出ですよ。結局、そういう話が自分の糧にもなってますし。
日本とエモ
──音楽のルーツも近そうですね。
Jean-Ken 好きな時代は重なってるよね?
Yosh そうですね。Jean-Kenさんとは1つのバンドというよりも、1つの時代のサウンド、ロックみたいな話をすることが多くて。
Jean-Ken 好きなバンドはお互い違ったりするけど、1990年代から2000年代初頭の音楽はだいたい話せる感じ。Yoshはエモ、スクリーモ系が特に好きでしょ?
Yosh 僕は完全にそっちですね。Jean-Kenさんは歌声も含めて、Rage Against the Machineの印象がある。Rageを語ると熱いっすもんね!
Jean-Ken ヒップホップをまだ聴いてなかった頃、初めて出会ったラップシンガーがザック・デ・ラ・ロッチャだからね。Yoshはエモで言うとどのへん?
Yosh 刺激が強かったのはThe Usedかな。香港で対バンさせてもらって、めちゃくちゃうれしかったです。
──エモって、日本においては決してわかりやすく浸透してない音楽ですよね。
Yosh そうそう。日本の音楽がもともとエモに近いからだと思うんですけどね。サウンドの話ではなくて、感覚の意味で。なので、あえて海外のエモというジャンルを求める必要がないのかもなって。そんな中でどう取り入れながらプレゼンテーションしていくのかはすごく考えてます。
Jean-Ken エモは言葉自体がいつの間にかすげえ広い意味になっちゃったから。
Yosh 日本人が「エモい」と言い始めたのにはびっくりしましたもん!
Jean-Ken この国って叙情的だったり、逆に感情を押し殺すことだったりに美しさを求める人が多いのかもしれないね。メインストリームで流れてるポップスにもどことなく儚さや切なさがあって、ジャンルというより音楽としてエモいものが広がっているのは日本らしいのかなと思います。例えば暑いところで育った南米の人は性根が元気だし、ラテンとかボサノバが生まれるのが納得できる。それと同じように、日本海の荒波を見てたら、それは演歌が生まれますよね。
Yosh 確かに、地域性や土地柄は関係あるかな。だから、日本とエモはやっぱり合ってるとも思うんですよ。
──ちなみに、インタビュー前の時間にお二人は英語で会話してましたけど、いつもああいう感じなんですか?
Jean-Ken そうですね。
Yosh 出会ったときは僕の日本語が本当にヘタクソすぎたんですよ(Yoshはアメリカのインターナショナルスクールに通っていた)。でも、そこで「(英語で)大丈夫だよ」と言ってくれたのがJean-Kenさんで。英語でしゃべると素直な言葉が出てくるというか、「この瞬間は自分でいていいのかな」と思えるんです。そういう入口をいつもくれるのがうれしくて、英語で話させてもらってます。
Jean-Ken ああ、そうだったんだ! 確かに、英語でしゃべるほうがYosh本人が出てる感じがあるよね。海外の友達と話してても「そっちのほうが楽なのかな」と思うと、僕は英語にしますね。そしたらお互いに会話の風通しがよくなるので。相手によって自然とスイッチが切り換わるんです。
Yosh ありますよね、突っ込んで話すときのスイッチって。
Jean-Ken 確実にある。でも、Yoshはもう日本語上手になったんでしょ?
Yosh いやー、がんばりましたよ! 日本語で伝えたいこともありますし!
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やりたいことに挑戦し続ける精神