SPYAIRが前作「KINGDOM」以来、3年半ぶりとなるニューアルバム「UNITE」をリリースする。

テレビアニメ「銀魂（第4期）銀ノ魂篇」オープニングテーマの「I Wanna Be...」、同じくテレビアニメ「ハイキュー !! TO THE TOP」エンディングテーマの「One Day」、映画「銀魂 THE FINAL」主題歌の「轍〜Wadachi〜」といったシングル曲を含む本作。これまでのSPYAIRの楽曲は作曲をUZ、作詞をMOMIKENが担ってきたが、本作ではメンバー全員が作詞、作曲に関わり、バンドの表現の幅を広げている。

音楽ナタリーではアルバムリリースに際し、メンバー全員にインタビュー。4人の音楽的センスと情熱を結び付けたアルバム「UNITE」の制作について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

3年半をパッケージした作品

──ニューアルバム「UNITE」が完成しました。メンバー全員が作詞作曲に関わることで、SPYAIRの新たな表情がたっぷり感じられる作品になりましたね。

IKE（Vo）　そう言ってもらえてよかったです。バンドにとって、いい“顔”になるアルバムができたのかなと思う反面、今までにない“球”だとも思うので、聴いてくれる人がうまく受け取ってくれることを願ってます。

KENTA（Dr）　初めて自分で作った曲も入ってるので、いろんな反応があると思うんですよ。それは甘んじて受け入れるつもりです。

IKE　低姿勢で構えてるね（笑）。

──ファンのリアクションに対する不安もある？

KENTA　誹謗中傷が来るとは思ってないですけど、どう受け取ってもらえるかわからないところもあるので。楽しんでもらえたらうれしいですけどね、もちろん。

──UZさんはどうですか？自分以外のメンバーが作った曲が半数を占めるアルバムだし、今までとは違う手応えがあると思うのですが。

UZ（G）　今までは俺がアルバム全体を考えて曲を作ってたので、今回は「アルバムを作り終えた」という実感はあまりなくて。ただファンにとっては、SPYAIRのニューアルバムであることに変わりないですし、聴いてくれる人に委ねたいと思ってます。

MOMIKEN（B）　うん。アルバム自体3年半ぶりだし、ずっと待っていてくれてたファンの皆さんが楽しんでくれればいいなと。それに尽きるかな。

IKE　だいぶお待たせしちゃったけど、その代わり、この期間をパッケージした作品ができたので、そこはよかったのかなと。この3年半、SPYAIRはこういう感じで進んでましたよっていう。そういう意味でも“アルバム”だと思いますね。だいぶ前に作った曲も入ってるんですけど、その間の変化も出ていると思うし、1曲1曲で味が違うものができたんじゃないかなと。

UZ　そうだね、「結果として、こういうアルバムになりました」という感じです。

こういう機会を与えてくれてありがとう

──改めて確認しておきたいのですが、メンバー全員が作詞、作曲に関わったのは、UZさんが2019年にロサンゼルスに留学するタイミングで「みんなにも曲を作ってほしい」と言ったのがきっかけなんですよね？

MOMIKEN　UZがアメリカに飛ぶ前のレコーディング現場で、「お願いがあるんだけど」って改まった感じをふいに出してきたんですよ。そのとき「MOMIKENとKENTAにも曲を作ってもらいたいんだけど」と言われて、「あ、いいの？」って。

UZ　「あ、いいの？」と言われたの覚えてる（笑）。そのときは1人で10数曲作ってアルバムにするということに何年もかかりそうな気がしたし（笑）。MOMIKENがコソコソと曲を作ってたのも気付いてたし、お願いしようかなと思って。

MOMIKEN　コソコソって（笑）。めちゃくちゃ恥ずかしかったんだよ。

UZ　あ、その気持ちはすごくわかる。でも2人のおかげで、このタイミングでアルバムを出せたので。2人が曲を作ってくれたことで自分は重い荷物を置けたというか、“ありがとう”という気持ちですね。

──すべての作曲を担い続けるのは大変ですよね。

UZ　そうですね……SPYAIRって活動の根本が全部“曲から”だったんですよ、この10年。俺が曲を作って、そこからすべてが動き出してたし、俺が止まったらバンド自体も止まってしまう。そのプレッシャーがなくなったことでちょっとラクになりましたね。

IKE　なるほどね。

──UZさんとしては「MOMIKENとKENTAは曲が作れるはず」という確信もあったんですか？

UZ　そこに関しては、アレンジャーのtasukuさんに任せられる部分も大きかったですね、正直。

MOMIKEN　そのことも曲を作り始めるタイミングで話してたんですよ。自分でフルコーラス作って、どういう曲にしたいかが見えるところまではやれるんだけど、それをプロのクオリティにする作業はtasukuさんと一緒にやればいい、って。

UZ　SPYAIRのことをよく知ってる人だし、ライブでもギターを弾いてもらってますからね。俺としても、tasukuさんがいてくれれば大丈夫だろうと。

KENTA　俺はそこまで頭が回ってなくて。作曲自体やったことがなかったし、メロディが作れたとしても「コードって何？」というところから始まってるので。もちろんtasukuさんにも相談したし、MOMIKENやUZにも質問して、とにかく必死でした。楽しかったという感覚もあるんですけどね、もちろん。こういう機会を与えてくれてありがとう、という気持ちもあったし。

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俺じゃ絶対に作れない曲を待ってた

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