スピッツの全国ホールツアー「SPITZ JAMBOREE TOUR“とげまる2011”」が、11月18日の埼玉・三郷市文化会館公演より再開された。

当初この公演は、ツアーの初日として3月に行われる予定だったが、3月11日に発生した東日本大震災の影響で延期されたもの。メンバーとファンの双方にとって念願の公演だっただけに、約2時間半におよんだライヴは終始熱気で包まれた。

開演時間を迎えると、待ちわびたファンからの拍手が会場いっぱいに響く。そして、熱い歓迎を受けたサポートのクジヒロコ（Key）を含むステージの5人は、力強く丁寧な演奏でライヴをスタートさせた。

アルバム「とげまる」の収録曲を中心に、懐かしいナンバーもたっぷり披露されたこの日。観客は5人が紡ぎ出すアンサンブルに酔いしれ、曲が終わるごとに温かな拍手を贈る。ときにはイントロが鳴った瞬間に悲鳴のような歓声が起き、熱狂的な空気が漂った。

MCでは草野マサムネ（Vo, G）が「久々のライヴなんで、遠距離恋愛中のカップルのデートみたい」と口にすれば、三輪テツヤ（G）が「逆に燃えるね！」と笑顔を浮かべる。久しぶりのライヴに若干の緊張をにじませつつも、メンバーたちもファンと過ごすひとときを心から楽しんでいる様子だ。中盤ではマサムネが自ら弾くギターに乗せて「三郷市」にまつわるうんちくを歌い上げるというユーモラスな試みが、ほのぼのとした雰囲気を会場内に作り出していた。

さらに、久しぶりのライヴを盛り上げるべく、できたての新曲もプレゼントされた。この曲はキラキラしたメロディと、マサムネの甘くかすれた声が印象的なミディアムチューン。スピッツからのうれしい贈り物にオーディエンスは沸き立ち、体を揺らしながら美しいサウンドに聴き入った。

田村明浩（B）はアンコールのMCで「8カ月前はライヴができるのかという状態だったけど、今日みんなに会えてよかったです。三郷が始まらないとツアーが始まった気がしなくて」とコメント。ラストナンバーを届け、念願の“初日公演”を無事終えると、メンバーは「また会いましょう！」とオーディエンスとの再会を約束した。

「SPITZ JAMBOREE TOUR“とげまる2011”」は、このあと震災の影響で延期された公演を含め10公演を実施。ツアーファイナルはクリスマスイブの12月24日に秋田・能代市文化会館で行われる。